造り方の合理性を追求
製造業、「TIE」の業務効率化への
ABEJA Platform Annotationの導入

会社名

DENSO International Asia Co.,Ltd.(DIAT)

事業内容

自動車部品世界シェア1位の子会社。ASEAN域内での部品生産を行う

インタビュイー

DENSO International Asia Co., Ltd. (DIAT)

TIE & SHE & PIP Department
Regional Production Innovation Division
内野 洋 / Hiroshi Uchino 氏

導入の背景

ムリ・ムダ・ムラをなくす
「TIE」の作業効率分析にアノテーションを導入

我々デンソーには「TIE」を担当する社員がいます。TIEは“トータル・インダストリアル・エンジニアリング”を略したもの。モノづくりに関わるすべてのプロセスを工学的に分析し、ムリ・ムダ・ムラを徹底的に排除、造り方の合理性を追い求める思想を指します。

例えばあるラインで働いている工員が、部品Aを右手でつかみ、手元に引き寄せて部品Bに載せ、左手でラインの右側に流す、といった1つの部品に対する一連の工程に10秒かかっていたとします。この場合、我々は一連の作業を、つかむ、ひく、載せる、流す、といった“要素作業”にわけ、それぞれに何コンマ何秒かかったかを計測します。そして、想定される目標値との差分を把握し、その差分が何に起因するか分析するのです。具体的には「右手の軌道が非効率的だよね」とムダをなくし、「左手でやった方がばらつきがなくなるのかな」などとムラを排除し、さらに「部品がここにあるとつかみそこねる回数が多い」などとムリをなくし、効率化していきます。

世界の市場は、工員が思い思いに作業をして勝てるほど甘くありません。だから我々TIEの担当者は、生産プロセスを細かく分析し、ベストの動き、スピード、時間を見定めて、工員の見本となる“標準作業”をつくります。そして、これらを工員に共有し、最高のQDC(クオリティ・デリバリー・コスト)で製品を作りあげるのです。そのため、アジアを担当している我々は、地域内のラインを「今週はここ、今週はここ」と分析を重ね、現地の方と文字通り手を取り合って、日々、改善に取り組んでいます。

ただし、TIEにはアナログな作業が残っていました。工員の作業を見ながら、どの作業にどれだけの時間がかかったかストップウォッチで計測し、エクセルに入力し、分析するしかなかったのです。

実際の活用方法

「ABEJA Platform Annotation」は自社開発しているかのような進化を見せた

我々がABEJAさんと出会ったのは2017年末のことでした。実は最初から「AIを導入しよう」もしくは「AIをTIEに使おう」と決めていたわけではありません。我々はAIの可能性については認識していました。しかし同時に「AIやIoTを使うことが目的になってはいけない」「あくまで現場が必要とするなら導入しよう」という意識もあったのです。そこで当初、ABEJAさんには「まずはAIモデルを一つ回すこと」を目的にAIの実証を依頼しました。そして当社がAIについて学び、ABEJAさんにも当社のものづくりについて理解を深めていただきつつ「AIはどこで使える?」と候補を挙げていったのです。

その結果、我々は2018年3~4月にかけ「TIEに導入できる可能性がある」と判断しました。TIEは専門性が高く、担当者の育成には長期間の研修が必要です。だから工員100人以上に対し1人程度しかおらず、ラインの本数に対して人手が足りません。もし将来、カメラを据え付けるだけでAIが工員の動きを分析できるようになれば、効率は飛躍的に向上するはず。また、取得するデータが100倍、1000倍になれば改善のスピードも高まるでしょう。

実作業は、モデルとなるラインを決め、カメラを設置して工員の作業を撮影することから始めました。ただし簡単だったわけではありません。人間が見やすい角度とAIが分析しやすい角度は違ったのです。結局、我々は何度も試行錯誤を繰り返し「対象作業の特徴を認識させるために必要となる角度は真上だ」という結論を得ました。

動画の撮影が終わると、さらに大きな課題が見つかりました。動画を「今、どんな作業を行っている」と分類していく作業、……すなわち「アノテーション」についてです。

最初は我々が動画を見て「これは部品Aをつかむ作業」「ここからは部品Bに載せる作業」と分類し、AIが学習する教師データをつくる必要がありました。

しかし、TIEの本当の仕事は、作業を見て、要素作業に分解して、時間観測して……といったことではなく、分析結果をもとに実作業を改善し、生産効率を高めることにあります。教師データは多いほどよい一方、アノテーションに時間をかけたくありません。

ここで役だったのが「ABEJA Platform Annotation」でした。

最初に感じたのは「直感的に操作できる」こと。私は試しに触ってみただけで「動画の中から物体を抽出する」「どんな作業かラベルを貼っていく」といった操作方法が理解できました。しかも、現地採用したプロジェクトメンバーも特段の説明がなくてもすぐに使いこなすことができたのです。これは現場に普及させやすいツールだな、と感じました。将来、TIE担当者以外も分類ができるようになれば、我々の負担は少なくなるはずです。

また、ABEJAさんがこのツールを次々と改善、アップデートをしてくれたことも助かりました。例えば電話会議で使い勝手等についてのフィードバックを行うと、翌週には「これでどうですか?」と改善されたツールを提供してくれたのです。TIEは専門性が高く、他社が使っているプラットフォームを流用するだけでは実現できないこともありました。しかし度重なる改善の結果、「ABEJA Platform Annotation」はまるで自社開発したかのように使い勝手がよくなっています。

さらには効率化の議論にも加わっていただけ、ここから大きな気付きが生まれています。「工員の作業を見て、何をしているか要素作業に切り分けていく仕事自体がアノテーションと同じ業務だ」とわかったのです。これにより、アノテーションという追加作業を発生させず、工員の作業を見ながら同時にアノテーションも行っていくように業務を改善、大幅に作業時間を短縮することもできました。

実をいうと我々はAIの実証を通し、AIに関するパートナーをどの企業にすべきか選定しようとも考えていました。判断要因は「情熱」と「スピード」。そして一連の対応を受け、我々は今「ABEJAさんこそが高度な要求も的確に叶えてくれるパートナーだ」と感じています。

現在は、テストしたラインで工員の動きを可視化できた段階です。TIEの作業は、人間が計測している限り計測に若干のズレが出ます。また、過去のデータを検証、利用することもできません。しかしAIは計測が正確で過去のデータも蓄積していけます。このため、分析の精度はより向上するのではないか、と考えています。また、将来もっと教師データが集まれば、AIが「この作業は左手右手の軌道にどんなばらつきが出やすい」「パーツをここに置くと作業者がつかみ損ねやすい」といった分析を開始でき、次々に新しい気付きが生まれるのではないかとも期待しています。

今後の展望

AIの導入に不可欠なのは
「互いを理解し、チームになること」

ABEJA Platform Annotationの導入を通して期待しているのは「横展開ができるはず」ということ。当社は多種多様の製品を製造しており、全世界に様々なラインがあります。汎用性を高め、もしカメラを据え付けるだけでどんなラインでも分析できるようになれば、当社のTIEは革命的な進化を遂げるでしょう。

さらには、ビッグデータも取得・分析できるようになるはずです。現場ではやはり、作業者のミス、設備の急な不具合など、日々、何かが起きています。今まではTIEがはりついていた数時間のデータ、もしくはTIE担当者それぞれの経験から「ここが原因では?」と決め打ちをして改善していましたが、ライン全体のビッグデータを取得できれば別の改善のポイントも示されるのでは?と期待が持てます。

AIを利用するにあたっては、その前段階の作業としてアノテーションが必要です。前段と考えていたしかし、この作業を行うだけでも改善点が見えてきました。今後は、ABEJA Platform Annotationアノテーションの利用をベースに、引き続きABEJAさんと一緒にAIの開発、現場の改善スピードの向上を目指していきたいと考えています。

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