目が離せない!Apple Musicのユーザー獲得戦略と定額音楽サービスの課題とは?

WRITER : 柏倉 明郎

  小売業界トレンド

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引用:razorianfly.com

今日人々の音楽の楽しみ方は、CDやiTunesでの楽曲の購入から、ストリーミングサービスの利用へと変化しつつある。

すでに、アメリカやヨーロッパでは、ストリーミングサービスが人気を集めている。そして、アメリカ音楽大手ワーナー社は2015年第二四半期の決算報告で、ストリーミングサービスの売り上げが6億7700万ドルとなり、ダウンロードによる売り上げを超えたと発表している。

このように、非常に勢いを感じさせるストリーミングサービスであるが、Appleが本格的に参入することになった。今回はAppleの定額制音楽ストリミーングサービスの戦略について紹介したい。

▼関連記事

徹底比較!定額制音楽配信サービスの勝者はどこに?

目標ユーザー数は1億人!Appleの桁違いのユーザー獲得目標

2 (2) 引用:jp.techcrunch.com

Appleは定額制ストリーミングサービス「Apple Music」の目標ユーザー数を、業界でも桁違いの1億人に設定した。

定額制ストリーミングサービスで現在、世界トップのSpotifyは有料会員数を2,000万人、それ以外の無料会員を5,500万人有している。また、SpotifyのライバルであるフランスのDeezerは、有料会員数が600万人、それ以外の無料会員が1,600万人だ。

また、アップルが昨年買収して話題となった、Beats Musicは2014年1月からのサービス開始から有料会員30万人強を獲得する結果となった。これらの例から、アップルが定額制ストリーミングサービスで狙う有料ユーザー数の規模が桁違いであることがわかる。

「Apple Music」は利用できる地域と端末が他の定額制ストリーミングサービスよりも圧倒的に多い。Spotifyは58ヶ国で利用できるのに対して、「Apple Music」は100ヶ国で利用することができる。

また、実際に利用できるまでのは秋からとされているが、「Apple Music」はAndroid端末やWindowsからでも利用することができる。果たして、Appleは1億人ものユーザーを獲得できるのだろうか。以下で、Appleの戦略を見ていきたい。

▼参照記事

米音楽大手でストリーミングの売上がダウンロード上回る

Apple Musicはヒットとなるか?競合サービスとの比較で見る、強みと弱点

話題独占!Appleのユーザー獲得戦略とは?

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引用:jp.techcrunch.com

1億人という桁外れのユーザー獲得目標を掲げているAppleは、いったいどのような戦略を考えているのだろうか。

Apple Musicプロモーションに、「ストリーミング育ち」の若手プロデューサーを起用

Apple Musicは、世界から注目を集めているノルウェー出身の若手DJでプロデューサーのKygoと、定額制音楽サービスのプロモーションでパートナーシップを発表した。

彼は自身のキャリアを「ストリーミングの音楽によって作られた」と言うほど、ストリーミングで名を上げてきたアーティストであり、音楽ファンや音楽業界から次世代のスターとして期待されている人物だ。

Apple Musicサイト上には、ピアノを弾くKygoのビジュアルが登場しており、短期間での人気の上昇が伺える。

大物アーティストの作品を、自社のサービスのみで発信

Appleは他社に対して排他的なコンテンツをユーザーに提供するため、Pharrell WilliamsやDr. Dreなどの大物アーティストの作品を、自社のサービスのみで公開する予定だ。このようなAppleの動きは、Spotifyを始めとする音楽配信サービスを提供する他社には大きな打撃となるだろう。

全世界で24時間聞くことができる、ラジオステーション

「Apple Music」のラジオステーション「Beats 1」は、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスから全世界に毎日ライブを放送する。さらに、ライブでの音楽を楽しむことができるだけではなく、音楽や音楽文化の注目トピックに関する議論や、独占インタビューも放送される予定だ。

ソーシャルネットワークの活用により、アーティストとファン双方向のコミュニケーションが可能に!

「Apple Music」の「Connect」がアーティストのためのソーシャルネットワークとなることで、アーティストとファンが動画や歌詞、デモトラックを共有することができる。

さらに、ファンはアーティストのアカウントをフォローすることで、コメントをつけることができ、ファンからのコミュニケーションも可能になるのだ。

▼参照記事

アップルが新しい定額制音楽ストリーミングサービスで狙うは「会員数1億人」

Apple aims for bigger bite of music market

Apple Music」対「Spotify」–音楽ストリーミングサービスの特徴を比較

 定額制ストリーミングサービスに立ちはだかる課題とは?

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引用:blogs.itmedia.co.jp

定額制ストリーミングサービスは、アーティストやレーベルに対して、利益を生みずらい。ストリーミングサービスに楽曲を提供することで、CDやダウンロードで音楽を販売しているよりも、収益が減少してしまうアーティストは少なくない。

結果として、アーティストが楽曲の創作活動を続けることが困難となったり、レーベルが自社を運営していくことが困難となる可能性もあるのだ。

データジャーナリストのDavid McCandlessが行った分析結果によれば、アメリカの月の最低賃金 $1,260を得るために、レーベル側は180,000回、アーティスト側は1,117,021回の再生回数が必要となる。

先日、Taylor SwiftがApple Musicに「1989」を提供しないとして、Appleを批判し話題となった。このTaylor Swiftの批判を受けて、Appleは無料視聴期間中でもアーティストに対する著作権料の支払いを行うと、方針の変更を発表したが、この問題の根本的な課題は解決されていない。ストリーミングサービスの普及による、アーティストやレーベルの収益の減少という課題は、今後解決されるのだろうか。

▼参照記事

月額制ストリーミング「Apple Music」開始で喜ぶ人、困る人

ミュージシャンがストリーミングやダウンロードサービスで得る収益を分かり易く表したインフォグラフィックス

ストリーミングサービス vs アーティスト!今後の定額制ストリーミングサービスはどうなるのか?

定額制ストリーミングサービスは利用者にとっては、もちろん魅力的である。たしかに、一部のアーティストやレーベルは定額制ストリーミングサービスを魅力的に感じている。

彼らは定額制ストリーミングサービスを利用して自身の楽曲を広めることで、より多くのファンを生み、ライブツアーへの観客の動員数を増加させようとしている。

しかし、全てのアーティストやレーベルにとって、必ずしも魅力的であるとは言い難い。無名のアーティストがストリーミングサービスの中で知名度を向上させることが、容易であるのは火を見るより明らかだ。そうしたアーティストやレーベルが今後、ストリーミングサービスに対して、楽曲の削除を求める事例が増加する可能性は拭えないだろう。

「音楽が売れない時代」と言われて久しい現代で、音楽サービスの提供者、アーティストやレーベル、音楽サービスの利用者の三者にとって魅力的な仕組みを作ることは可能なのであろうか。今後のAppleをはじめとした、各社の動きに目が離せない。

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