必見!アメリカ最大の百貨店が打ち出す次世代のオムニチャネル戦略

WRITER : Editorial department

  小売業界トレンド

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Arch for Startupより寄稿

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引用:Macy’s to Pay $650,000 in Shopper-Profiling Probe

Macy’s, Inc. (以下Macy’s) は45州、840店舗をもつ米国最大の百貨店チェーンである。1858年創業以来、多大な影響力をもたらしてきたMacy’sは新たな戦略を打ち出している。

Macy’sは伝統的な手法から、オムニチャネルと呼ばれるマーケティング戦略に移行し、より多くの顧客を増やすことに成功している。これは顧客の購買方法の変化に合わせた結果だと言えるだろう。Macy’sはオムニチャネルをいち早く導入し、それが有益な戦略であり、かつ効率的で利益性があるものであることをリテール業界に示したのだ。

またこの戦略はMacy’sが打ち出すM.O.M戦略に基づいている。2008年からこの戦略を打ち出し、2012年の時点でMacy’sはこう述べている。”Today, we consider ourselves to be America’s Omni-Channel Store.”(「今日、私たちはアメリカのOmni Channel storeになった。」)

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引用:Connecting with every customer

このMacy’sの要となるM.O.M戦略がどのようなものか、具体的に説明していく。

My Macy’s

1つ目の“My Macy’s”という戦略では、個々の店舗がそれぞれの顧客の多様性に対応できるような戦略を立てている。

Macy’sは2012以降、14店舗を閉鎖し、2店舗オープンした。店舗を縮小する代わりに、地域への密着度、従業員の質と全体の機能を高めることを目的としている。

それぞれの地域に合うように、店舗のカテゴリーやブランド、また服などの色・サイズ・重量・形がその地域の気候・文化などに受け入れられるものであるように戦略を立てている。例えば人種によっても、服の選択、サイズなどは全く異なるだろう。この異なるニーズに応えるため、マーケティングの方法やスタッフも異なってくるだろう。この型にはまらない戦略により、Macy’sは顧客を増やしてきている。

Omni-channel(オムニチャネル)

2つめの戦略は“Omni-channel”(オムニチャネル)である。この戦略により、様々なサービスを顧客に提供することができる。店舗・On-line両方からの対応ができるような設備の充実だけでなく、顧客が購買時によりよいサービスを受け、より早く商品が受け取られるように様々な面でアプローチを試みている。

Same Day Delivery(注文した日に届けてくれるサービス)

Macy’s Inc. が持つmacys.combloomingdales.comのサイトから注文した商品が同日に届くサービスが2014年の秋からmacys.comは8つ、bloomingdales.comは4つの州で開始された。この配送はクラウドソーシングサービスであるDeliv (http://www.deliv.co/)、またGeneral Growth PropertiesMacerichSimon、そしてWestfield Corporationなどを含めた主要な企業の協力によって強化されるだろう。このシステムの導入により、顧客がonlineで買ったものを店舗で受け取るというサービスも可能となった。(BOPSサービス: Buy Online Pickup in Stores)

Image Search(顧客にあったイメージの商品を提案するアプリ)

顧客がコーディネート写真や普段好んで着る服・アクセサリーなどの写真を提出するだけでその人が好みそうな商品を挙げてくれるという機能がアプリで開発されている。アプリ内で表示された商品を購入することもできる。このImage SearchはiPhoneのアプリで可能となっており、Macy’sのアプリにも搭載される予定である。

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引用:Macy’s fires back at Amazon with showroom-busting image search app

Shopkick社のiBeacon導入

前回の記事(「アメリカ最先端テクノロジーに見る、2020年までに起こる小売業界5つの変化」)でも述べたが、Macy’sはshopkick社のshopBeaconというテクノロジーを店舗に搭載する予定だ。このテクノロジーは、顧客がアプリをインストールするだけで、店舗に入った時や商品に近づくだけでBluetoothが搭載された端末を通じ、商品の情報や、おすすめの商品、割引のクーポンなどをアプリで表示してくれるというものだ。このテクノロジーが導入されれば顧客への宣伝・マーケティングなどもより顧客に合わせたものとなるだろう。

RFID(radio frequency identification)導入の成果

RFIDとは微小なチップにより人やモノを認識・識別する仕組みになっている。2011年から商品のタグに搭載し、アイテムのサイズ・スタイルにより正確に区別されるように改良してきた。現在は商品そのものの認識だけでなく、売上・値下げなどがリアルタイムで正確に読み取れるように改良されてきている。

Magic sellingと呼ばれる3つ目の戦略では、新たなテクノロジーの導入も含め、店舗内でどのように顧客にアプローチし、顧客が購買に至る決断をサポートしていくかというカスタマーサービスの面を強化している。ここではどのようなテクノロジーが店舗に導入されてきているのかを説明したい。

In store assistance(店舗内での顧客へのアプローチ)

New YorkのHerald Square にある店舗では、靴売り場のサービスにiPod touchを導入し、顧客満足を高める試みをしている。靴売り場の拡大に伴い倉庫も拡大し、探す手間がかかり、売り場で顧客に対応する人手が不足していた。このためMacy’sはiPodデバイスを通じてどのサイズの靴を求めているのか倉庫と連絡を取れるようにした。これにより、顧客から離れることなく接客することができるようになった。

Personal Assistant(アプリでのアプローチ)

Macy’s のアプリは店舗内での買い物にも利用できる。例えば、買い物客はアプリで価格を検索することができる。さらにバーコードを読み取ればどのサイズや色が店舗に置いてあるのか、また顧客のレビューも見ることができる。

また新たなサービスとして、店舗で買ったものを家に郵送することが可能になった。

 

引用:Macy’s narrows gap between marketing, technology to boost omnichannel strategy

Smart Fitting Rooms(フィッテングルームでのアプローチ)

5店舗に設置されているこのfitting roomでは、販売員と顧客が商品をスキャンし、他の色やサイズの在庫、他の商品の情報、レビューやおすすめの商品を検索することができる。顧客はボタンを押すだけで販売員と連絡を取ることができ、「これは普通の手助けだけでなく、他の色やサイズを試したいというリクエストにも答えることができるだろう」とMacy’sは述べた。

M04 引用:http://www.livbit.com/article/2010/10/21/macys-magic-fitting-room/

Innovation in Stores Selling Technology(新たなテクノロジーの導入)

Macy’sは店頭にての様々なテクノロジーの導入を試みている。その一つとして顧客の店舗内での買い物を効率よくするため、顧客にあった商品の提案や情報などを素早く提供してくれる小さなデバイスを開発している。Macy’sはConnect@Macy’s Centerを特定の場所で設置し、onlineで注文したものが受け取れ、スタイリングのアドバイスや自分にあった商品を探してもらえるサービスをこの場所で提供していく予定だ。

ある店舗では、顧客が電子機器や、大きなスクリーンで商品を検索し、モバイル端末で購入することができるということが試験的に行われている。このようなテクノロジーは顧客のニーズを満たすと考えられていて、他店舗への拡大を試みている。

CEO兼取締役のTerry J. LundgrenはMacy’sの戦略についてこのように述べた。

「Macy’s, Inc.はM.O.M.戦略に基づき早期に投資することで利益を得ることができている。これはテクノロジー、オムニチャネルに基づくインフラという成功できる素質があるためであろう。私たちはM.O.M戦略を私たちの目標への戦略的なロードマップとして最大限努力していくつもりだ。」

▼参照

Macy’s adjusts Marketing Organization to Multichannel Age, changes in Multicultural

また同氏はこのようにも述べている。

「私たちのビジネスは店舗だけでなくデスクトップ、タブレット、スマートフォンを通じた顧客体験の変化に合わせることで、急速に発展していくだろう」

リテール業界は、テクノロジーの進歩に伴いより顧客のニーズに沿った戦略が打ち出されている。この変化に合わせていくことがリテール業界で勝ち抜く術なのかもしれない。

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tsubasa@archforstartup.com

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※「Arch for Startup」より寄稿

Arch for Startup

10904170_709467309173264_1970155646_nクラウドコンピューティング分野で世界一と言われるシアトルを拠点にクラウド関連やスタートアップ情報を発信。

●HPアドレス:

http://www.archforstartup.com/

●Facebookページ:

https://www.facebook.com/arch4startup

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