【インタビュー】子供の才能をテクノロジーで開花させる、注目のEdTechベンチャー代表が語る教育の未来

WRITER : Editorial department

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RISU

近年テクノロジーの発展によって、教育のあり方も変化してきている。最近では、EdTech(Education×Technologyの造語)とよばれる、教育とITを掛けあわせたサービスが盛り上がりを見せており、特に米国では、EdTech系のベンチャー企業が次々と立ち上がってきている。

MOOCと呼ばれるスタンフォード大やコロンビア大など世界中の大学のオンライン講座を受けられるサービスを提供するCourseraは、2013年に6300万ドルの出資を受けるなど、大きな注目を集めている。

また日本でも、教育の現場にタブレットを用いるなどして、実際に成果をあげている学校や企業も存在し始めている。

例えば品川女子学院では、タブレット1人1台導入に備え、2014年から高校2年生約200人全員がiPad miniを支給され、Evernoteでクラス内の連絡事項の共有などや生徒会での議事録の共有などが行われている。

このような中、2014年12月から算数の先取り学習サービス「RISUタブレット」を提供する「RISU Japan株式会社」も、独自のコンテンツや仕組みを用いた先進教育を行っている。

今回はRISU Japan株式会社で代表取締役を務める今木智隆氏(以下、今木氏)に、現代の日本の教育システムの課題や、サービス提供の背景、これからの教育の未来について伺った。

 

既存の教育の枠を超えた、RISUタブレットの誕生

日本では産業革命以来、教育は画一的なものとされていた。経済発展下で大量生産を行ううえで、世の中に必要な人材やそのスキルも、画一的なものであったからである。

しかし近年になってテクノロジーが発達し、多様な世の中に発展していく中、日本の既存教育の方針は、同一の教材を同じスピードで進めるという状態から変わっていない。

今木氏はこのような現状から、「学校の外で何かできることがあるのではないか」と考え、教育サービスの提供を決めたという。

もともとコンサルティングファームに勤めていた今木氏は、マネージャーとしてメンバーと接する中で、その接し方次第で人の成長度合いが変わることを体感し、人を育てるということに興味を持ったという。

人は多様であり、人それぞれに伸びしろがあると感じたことから、「人の才能を開花させる」ということをテーマにRISU Japanを設立したと今木氏は語る。

また今木氏は、人生において価値観が大きく変わるのが、幼少期と、社会人3年目くらいまでの新入社員の時期であると考えていた。そこでまず今木氏が目をつけたのは、幼少期の子供に算数を教えることであった。

学校へのインタビューによると、算数は学校の先生が一番教えることが得意な科目と考えているにもかかわらず、生徒側は一番苦手意識を持っている科目であった。また算数は社会などと異なり、基礎でつまづくと応用に進めない科目であるため、体系的に学ばないと苦手意識ずっと染み付いてしまうものである。

そのため今木氏は、学習が得意であるという価値観を形成しやすい子供の時期に対して、算数という科目でサービスの提供を行うことを決めたという。

世界中で同じカタチのない教育方針

RISU1

中国の小学生向け英語教科書

そもそも「教育というものに、画一的な枠組みは存在しない」と今木氏は語っている。

世界に目を向けても、教育のシステムや価値観は、国によって全く異なるものである。

例えばRISUタブレットが提供している算数は、中華圏の人にとっては、将来銀行員になるための必要な道具として、親から重要視されている。またアメリカのシリコンバレーにいるインド人は、子供にアメリカでの成功を手にさせるため、教育にかけるお金に上限を設定せずに、教育の機会を与えているようである。

その結果として子供得られる年収が、インドで働く場合の数百倍になることもあるからである。

またオーストラリアでは受験が存在せず、さらに子供が小学校を自由に変えることができるため、子供の成績が学校のレベルに合わない場合、子供のレベルに合った学校に転校するというシステムになっており、塾という産業が発達しないという。

このように教育とは、世界中で同じカタチが存在するものではないため、海外で教育サービスを展開する場合は、各国独自のシステムや価値観を理解し、それに合わせてサービスを作っていく必要があると、今木氏は述べている。

子供の才能を開花させる、RISUタブレット

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RISUタブレット画面キャプチャ

RISUタブレットが目指すのは、「子供の人格を尊重し、子供の才能を開花させること」であると今木氏は語る。そのために、統一されたプラットフォームの上で、子供1人1人にカスタマイズされたプログラムを提供することが、今のRISUタブレットの世界観だという。

また、「RISUとゲームは全く別のものとして切り離したいんです。ゲームに近づければ近づけるほど、結局ゲームの方が面白くなってしまうではないですか。だから、勉強とゲームを区別させるものを作りたかったんです。」と今木氏は語る。

そのためRISUタレットでは、コンテンツにゲーム性を持たせることで子供のやる気を後押しするのではなく、いい成績をとった子供に賞状を与える、つまずいている子供に励ましのメッセージを送るなど、子供が本質的に喜ぶ行為はなにかという観点から、子供のモチベーションを上げることが意識されている。

さらにコンテンツへのこだわりとして、すべて自前で問題を作成していることを今木氏はあげている。

これは、例えばある問題で子供がどん詰まりになってしまった時、その問題そのものの中身を変更できないことが、子供の才能を前進させる壁になってしまうリスクを考えてのことである。

このようなコンテンツへのこだわりによって、RISUタブレットはサービスリリース3ヶ月あまりで利用者を拡大している。さらに日本以外にも、各国からお問い合わせが来ており、実際に北米・台湾・ドイツといった諸外国でも子供に利用されている。

RISU Japanが描く、未来の子供の学習スタイル

現状ではサービスの提供に一番最適なデバイスと考えられるために、タブレットが使用されているが、今後はデジタルペーパーなどの紙の代替品が、教育とどのように関わっていくのかということに注目していると今木氏はいう。

「家の机に座ると、机自体がデジタルになっていて、声で呼び出すと机の上にRISUの画面が現れる。自分の勉強部屋に行った時にも、同じように机の上にRISUの画面を呼び出せ、勉強することができる。そのような世界が来るのではないか。」

これが今木氏の考える20年後の学習スタイルである。

近い将来では、2020年までに小学校での英語の義務教育化が決まっている。しかし現場の先生で、英語教育への準備ができていると感じている方は10%以下にとどまっているようだ。小学生への英語教育のノウハウが教育現場にない中、RISUタブレットのような自主学習ができるサービスは、今後ますます需要が増えることが考えられる。

「あくまでRISUは学校や塾とは違うもの」として存在しており、提供する科目の切り口も既存の学校教育の枠にとらわれるものではないと今木氏は述べているが、最近では学校や塾からも問い合わせが来るなど、教育現場からもますます注目を集めてきている。

このようなRISU Japanが、日本の教育や学習スタイルにどのような変革をもたらすのか、今後もぜひ注目していただきたい。

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