三越伊勢丹の販売員成果給はEC全盛時代の対抗策となりうるか?

WRITER : 野田 勝

  小売業界トレンド

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

百貨店業界を牽引する株式会社三越伊勢丹ホールディングス(以下三越伊勢丹)が、来春から販売員の給与制度に成果報酬制度を導入することがわかった。今後、最優秀な販売員に関しては、役員並の報酬になることが期待されているという。
▼参照
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141227-OYT1T50119.html

▼関連記事

ABEJAと三越伊勢丹、最先端技術「ディープラーニング」で店舗開発|RBB TODAY 

G1サミットで語った三越伊勢丹の危機意識

file000282826464
三越伊勢丹代表取締役社長執行役員の大西氏は、以前G1サミット経営者会議のなかで、年間1億円以上売り上げる販売員がいるにも関わらず、実力に基づいて給与を評価する制度が導入できていないという現状に対して、危機意識を示していた。 その危機意識の背景にあるのは、百貨店が小売業界の中で占める立ち位置は、もはや以前のように絶対的ではなくなってきており、その理由として、本来百貨店の強みであった”おもてなし”の部分で絶対的な価値を提供できていないということを挙げている。

そこで、高いレベルの”おもてなし”を実現するために、質の高いサービスを提供する優秀な販売員が、成果型報酬という形で報われる労働環境を提供したい考えだ。 大西氏は、G1サミット経営者会議の中で、「最高の労働条件で働いてもらわなければ、最高のおもてなしは出来ない」と語っている。最高の労働条件を実現する取り組みの一環として、優秀な販売員が実力に見合った報酬を獲得できる制度を確立するほか、営業時間を短縮するなどの策も講じている。これらの施策からも、三越伊勢丹が”おもてなし”をいかに重視しているかが見て取れる。

ECサイト全盛期に再確認される実店舗経営の重要性

141110_資生堂記事⑤
G1サミット経営者会議の中で述べられているように、近年小売業界におけるECの伸びは、業界全体で大きな脅威となっている。小売業界の経営者の共通認識は、小売業体全体の売上げのパイはこれ以上広がらず、その中でシェアの奪い合いをしていかなくてはいけないという点である。Amazonや楽天といった強力なECに対抗するには、もちろん自社独自のECサイトに力を入れることも大切だが、それ以上に、依然として販売の大半を占める実店舗の経営で、いかにECサイトにはない強みを発揮できるかが鍵を握るだろう。

確かに商品はEC経由でも手に入るけれども、わざわざ三越伊勢丹に足を運んででも、そこでショッピングを楽しみたいと思わせる環境作りができるかどうかが、ECの伸びが予想されるこれからの小売業界で、三越伊勢丹が生き抜いていく鍵となるであろう。顧客に質の高いサービスを提供し続けることができれば、顧客はECサイトではなく、三越伊勢丹で商品を購入してくれるはずである。 今回三越伊勢丹が取り入れた販売員の成果報酬制度がどのような結果を生むのか、今後の動向に要注目である。
▼関連記事

ABEJAと三越伊勢丹、最先端技術「ディープラーニング」で店舗開発|RBB TODAY 
“流通革命”~新たな覇者となるプレイヤーは誰か~G1経営者会議2014全文【前半】
“流通革命”~新たな覇者となるプレイヤーは誰か~G1経営者会議2014全文【後半】
三越伊勢丹、ローソン、ヤマト運輸の対談から読み解く流通業界の課題と展望

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

各種お問い合わせはこちらから

  • マーケティング資料請求
  • お問い合わせ
  • 会社資料請求

あなたにオススメの記事

  • 人工知能の全貌に迫る!人工知能の活用事例10選

  • 今、数々のファッションブランドが飲食業界への参入を急ぐ理由

  • シリコンバレーの大企業が注目するグラフデータベースとは?その魅力に迫る!

  • どうなる3Dプリント業界? "幻滅期"を抜け出すカギはどこにあるのか

  • 【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

  • 【連載企画】いま、ファッション業界でIT革命が起きている

  • シリコンバレーの天才達が土日も休まず働く理由

  • もし桃太郎が現代のWebマーケティングで鬼退治をしたら