書店経営の現状
O2Oやオムニチャネルというキーワードが騒がれる中、出版業界は、現在65%まで縮小している。もちろん、書店の経営も厳しい状態だ。原因としてAmazon.co.jpなどによる販売拡充や、中古書店や図書館利用率の上昇もあげられるだろう。神戸の老舗書店・海文堂が歴史に幕を下ろしたのも記憶に新しい。このままでは書店の売上は右肩下がりになるばかり。あなたの町の本屋さんも、涼しい顔して実はとっても大変なのだ。
引用元:日本著者販促センター
実は「イノベーションの宝庫」!?
先日、dot.にて『ホリエモン「書店営業でひらめいた出版の近未来」』という記事が紹介されていた。「書店にはまだ改革の余地があるはず」というのが堀江貴文氏の意見だ。コラボシステムやキュレーションに特化した展開をすることで、書店の売上は伸びるという。確かに、ビールを片手に本探しができる下北沢のB&Bはドリンクの販売や著者や編集者を招いたイベントを開催するなど、本以外のビジネスをコラボさせることで、トータルで利益を出し、売上を伸ばしている。また本を効果的にキュレートでき、見やすいかたちで客に提供できるのもリアル書店ならではのことである。
つまり「本棚に陳列し、売れ筋や特集は平積みする」という長年変わらなかった風景こそがイノベーションの宝庫なのだ。書店は今まさにまっさらな状態。見せ方・売り方次第では経営回復もあり得るのではないだろうか。
ホリエモンおすすめ、HONZ
引用元:HONZ
そこで今回紹介するのは「HONZ」というサイトの事例を紹介する。HONZには、以下の様な特徴がある。
・厳選された読み手による様々な分野の書評を読むことができる
・書籍のラインナップは有名なものに限らない
・入手性を考慮し三ヶ月以内に出版されたものを扱う
特筆すべきは本職の書評家や元社長、美術家、タレントといった厳選された読み手によってピックアップされた、個性の光る本に対する書評が書かれているところだ。
また出版されてから3ヶ月以内のもを対象としているため、情報が古かったり手に入らないといったことはない。表紙・タイトル・評論の見出しがコンパクトにまとまっているため、ビジュアル的にも見やすく、分野別に分けて並んでいるのも本棚のようで探しやすい。
つまり書店内をめぐる感覚で、「今ある面白い本」をオンラインで知ることができる。これがHONZの魅力である。しかしこれを応用してただウェブ上に店舗を展開するだけならばAmazon.co.jpなどですぐに購入できてしまうため、書店の利益としては上がらないだろう。実店舗、あるいは書店本体に利益が出る工夫をする必要がある。
このようなサービスと提携することで客が本を手に取る機会は増えるだろう。可能性を秘めた書店経営の動向を今後も注目していきたい。
まとめ
・現状では出版不況で書店経営は厳しい。
・売り方にまだまだイノベーションの可能性がある。
・書評サイト「HONZ」では、オンライン上で書店内を見ている感覚で書籍を見ることができる。
・インターネットを書店の敵と考えるのではなく、上手く利用することで時代に即した新しい書店像が考えられる。
参考URL BLOGOS『2013年、出版市場はピークの65%に縮小。大手3社は奮闘。特に講談社は出版不況を跳ね返し「増収増益」』