アプリでゴミをビジネスに変える時代がやってきた

WRITER : 山口 莉奈

  小売業界トレンド

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新学期が始まり、上京や転勤などで引っ越しをする人が増えてきました。新しい門出の一方、毎年この時期ひとつの問題が自治体の頭を悩ませています。それが、今回横須賀市が解決に乗り出したゴミ問題です。ゴミの多くはリサイクルすることが可能です。中国では日本のゴミの99%はリサイクル可能な資源だとも言われています。そんなゴミの資源再活用の障壁となっているのがゴミの分別です。

 

 

ゴミ問題と一言に言うと、たかがゴミと思われがちですが、上記の図でも分かるように日本はOECD加盟国の中でもダントツでゴミ焼却量が多い国です。1人が毎日1キログラム以上のゴミを出し、年間では1家庭につきトン1〜2トンものゴミが出ています。ダイオキシン排出量も多く、環境先進国と言われるヨーロッパ各国と比べると約10倍もの量です。

ITでの解決に乗り出した全国自治体

このような状況が続く中、多くの自治体が今までの広報とまた違った形でのアプローチを模索しています。インターネットの力を使い、ゴミ処理を減らそうという動きが徐々に広がっているのです。今回はその一部ご紹介するので、自分の町のリンクがあったらぜひ見てみてください。

【ごみ分別アプリ】 これらはゴミをどう分別していいかわからない人のために作られたアプリです。サランラップは可燃?不燃? そんなときにパっと教えてくれるアプリ。
神奈川県相模原市:「シゲンジャーSearch」 https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.goodbee.sagamiharagomi
山口県周南市:「ごみの分別に使えるアプリ周南市版」 https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.tryangle.gomi.shunandb

【ごみ出しアプリ】 今日は燃える日だっけ?と悩んだ時に通知してくれるアプリ。 ゴミの出し忘れで家にゴミが貯溜まることを防ぎます。
石川県金沢市:「5374ゴミナシ.jp」
http://5374.jp/
静岡県富士市:「きみもごみへらし隊」 http://www.city.fuji.shizuoka.jp/hp/page000035700/hpg000035692.htm
ざっと調べたところ、意外に多くの自治体や団体がごみに関するアプリをリリースしていました。アプリ自体に大きな差はなく、どの地域でも応用が利くものが多いです。しかし、実際使っている人は少ない印象。特に若者の一人暮らしに使ってほしいものですが、そんなターゲットが市の広報誌やプレスリリースを定期的に確認していると考え難いので、PR施策を少し捻ってみる必要があるかもしれないですね。

自治体とは少し違いますが、PIRIKAというアプリはみなさんご存知でしょうか? 「世界中のゴミを拾い尽くし、世界をきれいにする」というコンセプトの下、世界69カ国で展開するゴミ拾いアプリです。 PIRIKA http://www.pirika.org/ ゴミを分別する・ゴミを指定の場所に捨てる・ポイ捨てしない、そんな当たり前のことですが、こんな視点で世の中を変えようとしている企業もあるので参考にしてみてください。地域の企業と協力してPRポイントを増やすという点でも良いロールモデルかもしれません。

横須賀市の新たな戦略

横須賀市は可燃、不燃、缶・びん・ペットボトル、プラスチックの4つの分別方法を採用していますが、不燃と可燃の判断が難しく、混在してしまうケースも多いようです。たしかに日常生活の中で厳密に可燃と不燃を区別するのって難しいですよね。横須賀市では異物混入率が約33パーセントにも上り、困っていました。そこで考えられたのが「ゴミ分別アプリ」の導入です。最近では鎌倉市と横浜市がゴミ処理に関して罰金規定を出すなど自治体レベルでさまざまな対策が取られています。しかしあえて拘束性のない「アプリ」に目をつけたのはどうしてなのでしょうか。

スマホ世代へ向けたアラート

このアプリの最大の目的は若い世代にまず分別を知ってもらうという知識の提供です。それには、近所付き合いが薄くなってきた昨今の事情も絡んでいると思われます。昔は引っ越しと共にご近所に挨拶をし、地域のことを聞き…というのが当然でしたが、最近はお隣さんと話したことが無い方も多いのではないでしょうか。特に現在は地方自治体ごとに分別の仕方が大きく異なりまるため、悪気なく分別を怠ってしまう人たちも多い。そんな人たちのために横須賀市はアプリを導入しました。 「ごみ分別アプリ」では地域ごとの収集カレンダーや約2千品目のデータベースからなる検索機能、分別ルール解説、持込施設マップを確認できるほか、粗大ごみの申込みもワンタッチで電話予約できる仕組みを構築しました。 このアプリを開発したのはハル・エンジニアリング株式会社という神奈川県内にある会社です。これまで高槻市と横浜市のゴミ収集アプリを開発しており、横須賀市は3例目になります。ソフトウェア開発を軸に、自社開発やアプリケーション開発まで手がける創業38年目の老舗エンジニア集団です。神奈川に本社を据え、地域に密着したアプリ開発で町づくりに貢献しています。 このアプリの主な機能は5つ。

1.分別ルール分け方・出し方を解説
2.検索キーワードによる分別検索
3.収集カレンダーによる自分の町の収集日確認
4.持ち込み施設マップで直接持ち込みする場合のごみ処理施設場所の確認
5.町の美化ポイ捨て防止やクリーンよこすかの紹介
※「クリーンよこすか」は市民によって立ち上げられたボランティア団体のこと

以上の機能のように、「ごみ分別アプリ」はゴミの収集日だけでなく、分別ルール、粗大ごみの廃棄方法など横須賀市に密着した情報と通知をしてくれるアプリです。特徴は2000種類以上のゴミの分別に対応しているため、検索するときに漏れが出にくいことです。自治体だけでなく企業にも応用できることかもしれませんが、ゴミは廃棄するだけでなく、もうビジネスに応用するべき時代が到来しています。ペットボトルやアルミ缶など、すでにリサイクル品として浸透してきたものだけでなく、身の回りの多くがリサイクル可能なのです。個人的にはアプリの1つ1つに地域のゆるキャラを登用するなどし、その地域ならではの特色があると嬉しいです。今回の横須賀市は良い例ですが、自治体としても地域の企業とタッグを組んで地域の問題を解決していくきっかけになれば良いなと思います。

 

「東京新聞」 http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20140410/CK2014041002000119.html
「5分でわかる環境問題」 http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/waste_problem.html
「ガイアの夜明け」 http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview1012.html

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