世界最強の小売企業、Walmartが中国で苦戦している理由

WRITER : 朴 泳虎

  小売業界トレンド

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引用:Altavia

 

中国は人口14億人の世界最大級の経済規模を持つ国である。その経済発展の速度はめざましく、2010~2014年の間、GDPは7〜10%という速度で成長している。それに伴い、日本を含む多くの海外企業が中国市場に参入している。

しかし、市場の大きさにも関わらず、進出した多くの企業が苦戦を強いられている。世界最強の小売企業と呼ばれるWalmartも例外ではない。今回は、Walmartの中国進出から見る中国市場の特性と進出時に検討するべきことについて語りたい。

 

中国でも破竹の勢いで拡大するWalmart、しかし…

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引用:The American Prospect

Walmartは1996年から合弁事業として中国に参入し、2015年時点で415店舗を展開しているWalmartチャイナは決算情報を公開していないため、詳細は不明なものの、2015年4月時点で売上が前年比0.7%減少、一番新しい同10月の発表では中国内の21店舗が前年比売上6%減少したと報じられたことからも、同社の不調ぶりが伺える。

 

その不調の背景には性急すぎた店舗拡大がある。同社は2010年の時点で約280店舗を保有していたが、わずか5年で415店舗まで増加し、2017年までには530店舗まで拡大する計画だった。しかし、その計画も現在見直されているとの噂だ。

 

中国市場に苦戦するWalmart、その背景にあるのは?

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引用:Business Insider

同社の中国戦略で特徴的なのは売上の95%が中国製の商品、つまり現地購入された商品であるということだ。これは同社の何よりの強みである低価格を実現する上で有効な戦略に思えるが、中国でならではの難しさによりこれまで度々トラブルが生じて来た。具体的に言うと食品偽装問題だ。

2014年ごろ、消費期限の切れた鶏肉の販売していた事、不衛生な古くなった油を使ってファストフードを使っていた事などが判明したこと同社の中国国内におけるブランドは大きく毀損した。元より、現地スーパーに対してアメリカほどの価格優位性を発揮できておらず、中流階級が主な顧客だった同社の売上が落ちたのも無理からぬ話だ。

この事件の背景にあるのは中国内でオペレーションを実行することの難しさにある。前述したように、Walmartチャイナは95%を中国商品とする独自の形態で数年の間に200店舗以上を拡大してきた。こういった中で、現地従業員に対して十分な教育を施すことは非常に難しい。もちろん、基本的なルールなどはマニュアルで規定されているはずだが、(あくまで筆者個人の意見ではあるものの)そういったルールに対する遵守度がアメリカより低い傾向にある中国ではそれも通用しなかったのだろう。

人の意識や行動様式を変えるには長い時間を必要とするが、Walmartチャイナの中国の急激な出店製作はその時間を与えなかったのだ。

 

中国進出のまえに考えたいこと

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引用:Tweak Biz

以上を踏まえると、企業は中国進出を検討する前に以下の質問を問い直す必要があると筆者は考える。

①自社が国内市場で持つ強みは中国市場でも発揮できるか。特に現地競合と比べた時に強みとなるか

②想定外のトラブルが発生することをある程度織り込んだ進出戦略となっているか

③自社が国内市場で使用していたオペレーションは有効か、正確に実行可能か

 

もちろん、上記以外にも考えるべきことは山程あるだろう。中国市場が緩やかな減速を見せたことで、相対的に進出の魅力が落ち、中国進出の是非は非常に難しい判断となってきている。Walmartチャイナの上記の例を踏まえて、各社は改めて中国での戦略を慎重に考える必要があるのかもしれない。

 

▼参照

Business Insider

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