今回紹介する「RoomClip」とは、株式会社Tunnelが運営するインテリアに特化した写真SNSである。
2014年3月現在の最新のアカウント数は約25万ユーザー。計30万枚以上の写真が投稿されている。数少ないインテリアSNSとして、インテリア業界や、住宅業界から注目を集めている。
ファッションや、旅行先での写真をシェアすることは多くても、「自分の家」や「自分の部屋」を写真に収める機会はなかなかないのではないだろうか。友人や同僚の家にいくとしても、決まった人の家に集まることがほとんど。世界の殆どをしめている「家の中」が明らかになることはなかなかない。
RoomClipは、そんな「家の中」を集めたSNSだ。
おしゃれな家、住みやすい家に住んでみたい、という願望は誰にでもあるものの、雑誌に乗っているインテリアはおしゃれすぎて、どうも手が出しにくい。価格も高い。室内のおしゃれをしたくても、何から始めたらいいかわからない。
そんな悩みを解決してくれるのがRoomClipである。
RoomClipの使い方
RoomClipは現在、webサイト、iphone/androidアプリでの展開をしている。
基本的な使い方は簡単で、ユーザー写真を投稿し、その写真に「タグ」と「コメント」をつける。投稿された写真には、他のユーザーからの「コメント」と「いいね」がつく、といった手順だ。
RoomClipの特徴は、「タグ」にある。
RoomClipでは、自分で入力するタグの他に、元々組み込まれているタグがある。その中に、「IKEA」「100均」「セリア」「無印良品」といった店舗名があるのだ。気に入った投稿を参考に、自分もインテリアグッズを購入することができる。SNSのコメントの中は、「これどうやったら作れるんですか?」「私も欲しいです!」といった声であふれている。
そして、なんといっても、使い続けたくなる要因は、「いいね」が異常に多くついてくれるところだ。
だいたいのSNSにおいて、友人がいないSNSで「いいね」がつくことはほとんどない。しかし、RoomClipでは、友人0人の状態だった初投稿で、なんと25人ものユーザーが「いいね」をしてくれた。「いいね」のついていない投稿は見当たらない。
さらに、コメントまでついてしまうのだから、既存のユーザーが楽しくSNSを通したコミュニケーションを積み重ねてきて、面識のない人同士でも気負わずにコメントをし合える環境が構築されているといえるだろう。
どんなに秀逸な仕組みのサービスだとしても、SNSを構築する要素のほとんどはユーザーに委ねられる。一人でも、気分を害するような投稿をしてしまえば、SNSの評価はガタ落ちだ。RoomClipのユーザーには、そんな、気分を害するような雰囲気が一切ない。
なぜ、このようなサービスに成長したのだろうか?
ほっこりサービスが生まれた理由
昨年実施された調査によると、ユーザー15万人のうち 73%は女性である。特に、女性投稿者の中でも特に主婦・学生が半数を占めていることが特徴である。しかし、両者の仕様目的は別にある。Tunnelの調査によれば、学生の閲覧者は全体の28%、閲覧者の中の割合でトップを占めている。主婦は2番目の、21%。そして、投稿者として最も多いのは主婦の26%である。学生は打って変わって24%と減少傾向にある。つまり、学生は主に閲覧用としてRoomClipを使い、主婦は自ら投稿する傾向があるのだ。
それぞれの投稿率は、学生が約50%、主婦は76%に登る。母数の差は殆ど無いため、主婦層の投稿率が多くを占めていることがわかる。主婦層がメインだとすると、インターネットを介したやりとりに気を使うユーザーが多いのではないだろうか。主婦ということは、日常を家で過ごすことが多く、インテリアに気を配っていることも予想される。
したがって、インテリアにお金をかけることを厭わないのではないだろうか。
投稿される写真のレベルも高く、見ているだけで楽しいSNSとなっているため、ちょっとした家事の合間の休憩に除くこともできる。
このことが、Roomclipの独特の特徴を作り出していると思われる。
RoomClipのEC展開
素敵なユーザーが集まるRoomClipだが、昨年、2013年9月より、EC展開を行っている。フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当増資により、1億円を調達、人材を強化し、通販サイトへのスムーズな移動を促している。なんと、自分の写真の中にあるインテリアグッズに通販サイトの情報を付与することができるのだ。現在、webでのテスト導入を経て近くアプリを導入する。
画面右にある「商品情報の追加・編集をする」ボタンを押すと、
商品とanazon、楽天市場の商品ページがリンクする。
これによって、より詳細なインテリアグッズの情報をて手に入れることができるのだ。関連付けが終わると、「書品情報の追加・編集する」ボタンの下に、情報が表示される。
しかし、この機能、まだまだユーザーに浸透しているとは言いがたい。主に、写真の投稿はアプリを通して行われるせいか、商品情報が追加されている写真はあまりみあたらない。
まだまだECサイトとしての使い方は考える余地がある。
ビジネスモデル
様々な機能を続々と追加しているRoomClipだが、その収入源はどこになるのだろうか。
現在、商品販売連携による成果報酬、企業の公式アカウント、投稿コンテストでのユーザー課金を柱にマネタイズを組んでいる。
公式アカウントは「OakVillage」「Beaubelle」「KANAGU STORE」など、6つのインテリアショップがある。気に入った商品があれば、それぞれの公式アカウントに掲載されているURLから公式webサイトに移動し、購入出来る仕組みだ。
さらに、「Francfranc」「Airbnb」と提携、コラボレーション企画としてサービス内でコンテストを行っている。続々と提携企業を増やし、インテリア業界を盛り上げてくれることを期待する。
まとめ
O2Oは、インターネットを介した戦略だが、インターネットから実店舗、実店舗からインターネットへ動くのは生身の人間、ユーザーである。通販サイトがなくとも、ユーザー同士の会話のなかから購買意欲が湧くサービスはなかなかない。この基板を築いた「RoomClip」はあらたなるSNSの可能性を示唆していると思う。
インテリアSNSサービス「RoomClip」は、写真投稿SNSからユーザーの作るECサイトへと成長していくことは間違いない。写真と商品情報の関連付けが、スマートフォンアプリからも可能になれば、この可能性は一段と増すだろう。
「amazon」「楽天」による通販サイトへの誘導が、今後のRoomClipを左右するのではないだろうか。
ほっこりした写真投稿SNSで終わってしまうのか、新たなるECサイトとして地位を確立させるのか、今後に注目していきたい。
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<参考URL>
Slide Share-RoomClipとは?
Slide Share-RoomClip利用者分析
プレスリリース-インテリア写真共有サービス「RoomClip」運営のTunnel株式会社、1億円の資金調達を実施
アプリ概要
アプリ名:RoomClip
提供価格:無料 (App Storeからダウンロード、Google Playからダウンロード)
提供場所:App Store、Google Play
App StoreはApple Inc.の商標です。Google PlayはGoogle Inc.の商標です。
※追記(2014/4/9)
一部過去の情報が含まれたため、修正をさせて頂きました。
RoomClip様、ありがとうございました!