成城石井買収からみるローソンのオムニチャネル戦略

WRITER : Editorial department

  オムニチャネル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

ローソンは2014年7月に自社のネット宅配サービスをリニューアルし、「ローソンフレッシュ」として新たに始動した。また、9月末には高級スーパー「成城石井」の買収を発表している。買収価格は約550億円。これらには、ローソンのオムニチャネル戦略が見え隠れしている。

コンビニ業界におけるオムニチャネル戦略といえば、業界1位でもあるセブン-イレブン(2013年度売上高:約3兆7800億円)が思いつくだろう。これを追う業界2位のローソン(2013年度売上高:約1兆9450億円)は、どのようなオムニチャネル戦略を展開しようとしているのか。

ネット宅配サービスのリニューアルで販路拡大を狙うローソン

about2引用:ローソンフレッシュ

ローソンは、2013年1月から定期宅配サービスの「スマートキッチン」を展開していたが、2014年7月からサービスをリニューアルし、「ローソンフレッシュ」として始動した。「スマートキッチン」では食品・日用品合わせて約2万種類の品揃えであったが、選びやすさ・買いやすさから厳選を行い「ローソンフレッシュ」では約1万6000種類に絞り込んでいる。

リニューアルのポイントは3つある。第一に、健康にこだわった商品の拡大だ。健康志向のナチュラルローソンが監修するカロリーや塩分にこだわった10分間手料理キットや、有機・低農薬の野菜や果物。さらには製法・産地にこだわった有機の加工食品、無添加の化粧品など、健康にこだわった商品の幅は多岐にわたる。
第二に、今まで取り扱っていなかった医薬品(第2・第3類)を約500種類取り揃えたこと。他のコンビニ通販サイトでは医薬品は扱っていない。
第三に、カート購入と週イチ宅配購入を選択できるようになったことだ。リニューアル前は定期宅配であったが、カート購入も可能となり、ほしいときにほしい商品を注文できるようになった。

やはり、医薬品を扱っているというのは強みだろう。他社のコンビニ通販サイトでは、医薬品は扱っていない。一人暮らしで風邪を引いてしまった時に、風邪薬と健康に良い食品を一緒に注文できるというのは心強いだろう。また、高齢でなかなか外出できないという方に、親族の方が週イチ宅配購入を申し込んでおけば、健康にも気を使え、安心できる。

海外におけるネット宅配サービスの成功事例と言えば、オンデマンドのフードデリバリサービス「Instacart」が一例として挙げられる。即日配達ならぬ、注文から最低1時間で生鮮食品や生活必需品が届くというものだ。サンフランシスコを始めとした、ビジネスシティでの注文は多い。ローソンのネット宅配サービスも、週イチ宅配を選択すれば毎回注文する手間もなく、健康にも気を遣えることから、高齢層のほかに、忙しいビジネスマン・ビジネスウーマンにも活路を見いだせるかもしれない。

ローソンの狙いは富裕層・高齢層に対するオムニチャネル化か

ローソンは2014年9月末に、独自に開発した総菜や輸入食料品が豊富な高級スーパー「成城石井」の買収を発表した。先に挙げたローソンフレッシュの特徴からも読み取れるように、買収の狙いは富裕層を狙ったオムニチャネル戦略ではないだろうか。ローソンは、顧客に合わせて店舗開発を行っている。健康志向の方や女性向けに「ナチュラルローソン」、主婦や中高年層をターゲットに「ローソンストア100」といったところだ。ローソングループの国内総店舗数の2013年度実績は11606店である。

これらに加え、コンビニの利便性とスーパーの品揃えを兼ね合わせた「ローソンマート」があるが、成城石井の買収は、この新規出店の後押しになる。また、既存のコンビニへの富裕層の流入を見込んだ商品開発やマーケティングなども考えられる。もちろん、「ローソンフレッシュ」もこの影響を受けるだろう。富裕層・高齢層に向けたオムニチャネル戦略と言ったところだ。

yd_lowson0引用:Business Media 誠

ますます激化するコンビニのオムニチャネル戦略

コンビニ業界におけるオムニチャネル戦略のパイオニアは、セブン-イレブンだ。店舗をオムニチャネルの核に据え、商品の受け取り拠点としてだけでなく、食事宅配のセブンミールサービスなおにより、直接顧客に商品を届けることを最も重視している。

業界2位のローソンはそのセブン-イレブンを追撃する。そこではやはり、差別化が肝となるだろう。業界のリーダーはセブン-イレブンだ。すなわち、ローソンはチャレンジャーである。そして、チャレンジャーの定石は差別化であり、リーダーと違う土俵で戦うことが成功要因とされる。

以前当編集部では、コンビニ最大手3社が展開するオムニチャネルの事例を紹介したが、今後ローソンは、買収した成城石井のノウハウを使い、どうオムニチャネル戦略を打ち出していくのだろうか。コンビニ業界のオムニチャネル戦略、まだまだ目が離せない。

 

▼参照

月刊コンビニ2014年5月号
月刊コンビニ2014年8月号
ローソンが成城石井の買収発表、総額550億円で
コンビニエンスストア売上高ランキング/売上高・取扱高ランキング

▼関連記事

知らないと損!?コンビニ最大手3社が展開するオムニチャネル事例

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

各種お問い合わせはこちらから

  • マーケティング資料請求
  • お問い合わせ
  • 会社資料請求

あなたにオススメの記事

  • 人工知能の全貌に迫る!人工知能の活用事例10選

  • 今、数々のファッションブランドが飲食業界への参入を急ぐ理由

  • シリコンバレーの大企業が注目するグラフデータベースとは?その魅力に迫る!

  • どうなる3Dプリント業界? "幻滅期"を抜け出すカギはどこにあるのか

  • 【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

  • 【連載企画】いま、ファッション業界でIT革命が起きている

  • シリコンバレーの天才達が土日も休まず働く理由

  • もし桃太郎が現代のWebマーケティングで鬼退治をしたら