WeChatの最新動向に見る中国のオムニチャネル戦略

WRITER : 朴 泳虎

  オムニチャネル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

WeChat-international-users-header-image.jpg

全世界で6億人のユーザーが利用するWeChat

WeChatとは中国で82%という圧倒的なシェアを誇り、全世界で約6億人のユーザーを持つ、今最も人気の高いコミュニケーションアプリである。日本でも定番アプリとなったLINEの様に無料でテキストチャットや通話を楽しむ事ができる。WeChatは英語・中国語・タイ語・ベトナム語などを始めとして18言語に対応しており、既に数十カ国で使われている。2012年には売上が約6,585億円、純利益が1,845億円と前年比25%で増加しており、破竹の勢いで勢力を伸ばしている。

WeChat社のオムニチャネル戦略とは

WeChatが2014年3月に行ったアップデートでは、ユーザーのステータス・写真をタイムラインに表示できる機能や、自分の位置情報を投稿して特定の場所に居る事を表示する機能が追加された。分かりやすく例えるなら、LINEにFacebookのウォール・チェックイン機能が追加された事になる。これによりWeChatは顧客の位置情報を6億ユーザーから取得する事が可能になり、プラットフォームとしての価値を更に高めることに成功している。

更に、WeChatを運営するTencent社は2014年2月19日に中国最大の口コミサイトDianPingの株式20%を取得した。DianPingはカスタマーレビューの他にも、グルーポンの様なクーポン共同購入サービスも展開しており、2003年の創業以来蓄積してきた、膨大なオフラインの店舗情報データベースを連動させた予約機能をWeChatに実装させる狙いだ。更にTencent社は2014年3月からWechatを通した決済サービスを展開しており、今後は①会う日程を決める②お店を探す③その場で予約をする④事前に料金を支払う、という一連の流れをWeChat上で行う事が出来るようになる。同社は更にユーザーの利便性を向上させるために機能を追加していくと公式に発表している。まさにプラットフォーマーとしての独壇場となりつつある。

 

続々とオムニチャネル・モバイル戦略を進める中国IT界の巨人たち

他にも中国最大のECサイトを運営するAlibabaグループは2014年4月にデジタルマップ・ナビゲーションシステムを開発しているAutoNavi社を完全子会社化した。

同グループは2012年、傘下のC2Cに特化したECサイトTaobaoに、ローカル店舗の地図とクーポンを表示する機能を実装しており、AutoNavi完全子会社化に踏み切った背景には、同社の店舗を持つローカルビジネスとモバイルユーザーを直接繋げるというオムニチャネル・モバイルコマース戦略が垣間見える。具体的な施策と効果については今後注目していきたい。

 

中国IT界の巨人たちのオムニチャネル戦略に関する今後の考察

中国の今後のオムニチャネル動向については、以下の3点に注目している。

①今後も各社のモバイルコマース強化のためのM&Aが増加する
②オフラインの店舗とスマートフォンを結びつけるサービスが普及する
③各社がサービス範囲を広げていく中で競合する部分が出てきて競争が激化する

①今後も各社のモバイルコマース強化のためのM&Aが増加する

中国の大手IT企業達がこぞってモバイル戦略に注力する背景には 約7億人の中国国内スマートフォンユーザーと、2014年内に5兆円に達すると言われるモバイルコマース市場がある。中国の現在のスマートフォン普及率は55%前後と言われており、今後も増加する事が予想されている。巨大なモバイルコマース市場を獲得するために、各社のM&Aを含めたモバイルコマースへの取り組みは続くものと見られる。

②オフラインの店舗とスマートフォンを結びつけるサービスが普及する

モバイルコマース市場は5兆円と巨大であるものの、中国の小売市場全体の売上は約344兆円と更に桁違いの大きさを誇っている。オンライン上の覇権を握る巨人たちはオフラインの巨大市場を取るために攻勢に出る事が予想される。

③各社がサービス範囲を広げていく中で競合する部分が出てきて競争が激化する

オフラインの店舗とスマートフォンを繋げるサービスを提供する中で、複数の企業が競合する領域が出てくる事が考えられる。先に示した例で言えば、WeChatの店舗の発見から決済までをエスコートする取り組みと、Alibabaのオフライン店舗の地図情報とクーポンを配信する取り組みは一部競合する可能性がある。一つの企業が覇権を握るのか、それとも上手に住み分けがなされるのか、今後が非常に楽しみである。

<参考URL>

http://thebridge.jp/2013/10/wechat-reportedly-surpassed-600-million-users
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1403/07/news017.html
http://www.techinasia.com/wechats-latest-update-adds-restaurant-tagging-as-app-seeks-to-boost-local-listings/
http://thenextweb.com/insider/2014/04/11/alibaba-acquires-chinese-mapping-giant-autonavi-1-5bn-deal/
http://internetcom.jp/allnet/20140120/1.html

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

各種お問い合わせはこちらから

  • マーケティング資料請求
  • お問い合わせ
  • 会社資料請求

あなたにオススメの記事

  • 人工知能の全貌に迫る!人工知能の活用事例10選

  • 今、数々のファッションブランドが飲食業界への参入を急ぐ理由

  • シリコンバレーの大企業が注目するグラフデータベースとは?その魅力に迫る!

  • どうなる3Dプリント業界? "幻滅期"を抜け出すカギはどこにあるのか

  • 【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

  • 【連載企画】いま、ファッション業界でIT革命が起きている

  • シリコンバレーの天才達が土日も休まず働く理由

  • もし桃太郎が現代のWebマーケティングで鬼退治をしたら