2015年12月1日(火)、2日(水)、国内で7回目の開催となる「ad:tech tokyo 2015」が東京国際フォーラムで行われた。
本イベントはデジタルマーケティングに従事する人を対象としており、参加者は、広告主、広告代理店、媒体社など幅広い。
今回2日間を通して、101個のブース出展企業と183名の登壇者がデジタルマーケティングに関する最新情報を発信した。
O2Oイノベーションラボ編集部は、12月2日にad:tech tokyo 2015へ参加し、
新規出展企業ブースを実際に回って見つけた、今後注目すべき3つの企業の事業紹介と、そこで感じた今後のデジタルマーケティング市場について考察する。
台北発 「Vpon」
引用:Vpon JAPAN
Forbesの「2015年 中華圏で潜在能力のある未上場企業」に3位に選ばれたVpon。
2008年に台湾で設立されたのち、2014年8月に東京に日本法人「Vpon JAPAN」として日本に進出。モバイル広告市場においてアジアをリードしている。
Vpon JAPANが行う訪日外国人に特化した広告配信
主に台湾・中華圏からの訪日外国人が、来日の際に広告配信するといった、インバウンドプロモーションサービスを提供している。
中国からの「爆買い」が加速する昨今、小売や百貨店がこのサービスに目をつけている。
顧客の購買意欲を掻き立てるような広告をリアルタイムで発信することができれば、
さらに効果的なPRに繋がる。
しかし、短期滞在者が持参し、使用するであろうモバイル端末は広告の受信に対応しきれるのだろうか。
訪日外国人の多くが日本のWi-Fiネットワーク環境がまだ十分ではないといった不便さを感じるという。
2020年東京オリンピックに向けて訪日外国人向けモバイル広告配信の需要はますます高まる。
Vpon JAPANは日本の通信業者を巻き込んで、どこでもリアルタイムでモバイル端末をインターネット通信下におき、広告を受信できるといった環境を整えていくことが求められる。
▼参照
サンフランシスコ発 「App Annie」
2012年3月サンフランシスコで事業開始。2014年2月に日本上陸。
2015年11月には、Deloitte社が発表した、テクノロジー、メディア、通信、生命科学とエネルギー技術部門で急成長中の北米企業を紹介する「テクノロジーFast500」で10位に選出された。
App Annieの提供するアプリ市場のデータプラットホーム
App Annieは世界7ヵ国に拠点を持ち、アプリの市場データと分析ツールをゲーム業界を中心に提供している。
なんと現在各ストアのゲームアプリランキングトップ100のパブリッシャーの中、94%がApp Annieと関わりがあるという。それはアプリの市場データ量をかなり保有しているということだ。
Nielsen Mobile NetViewは「スマートフォンの利用時間全体のうち、アプリからの利用とWEBブラウザからの利用の内訳をみると、アプリからの利用時間はWEBブラウザの約2.5倍で、全体の72%を占めている。」と発表している。
今後、ゲーム業界だけでなく、ECやO2Oアプリなど様々な分野においてユーザーの行動を掘り下げていき、製品企画やマーケティングに関するアプリ戦略立案のための重要なツールとしてApp Annieサービス提供が進んでいくと考えられる。
東京発 「Videogram」
引用:Cinemacraft
2012年東京に設立。オンラインビジュアルメディアのあり方に変化をもたらし、新しいユーザー体験によってメディアの価値をさらに高めている。2013年9月にNTTドコモベンチャーズ、Turner BroadcastingのMedia Camp、500 Startupsから150万ドルを資金調達した。
Videogramがかえるビデオの楽しみ方
Videogramを利用した動画配信方法が従来と決定的に違う点は、1つの動画をまるでコミックの1ページのように複数のシーンのキャプチャを組み合わせて配信できる点だ。
また、InstagramやFlipboardのように1つ1つのキャプチャごとにクリックすることができ、クリックしたところの映像から動画を視聴可能だ。また動画投稿のプラットフォームを保有しており、コメントやいいねのできるSNSとしての機能も持ち合わせている。
昨今、動画マーケティング市場が拡大しており、動画視聴のプラットフォームとしてYouTubeだけではなく、FacebookやTwitter、Instagram、VineなどのSNSも一般化している。これらに共通して言えるのは、情報を短いメッセージで伝えているということである。
今回紹介したVideogramは、それに反して”長い動画をいかに簡潔に伝えるか”という切り口から、動画視聴前のイメージ表示を増やすことで全体の内容を視覚的に一瞬にして把握できるような工夫をしている。
今後も動画配信には短く簡潔なものが好まれるという傾向は変わらないかもしれない。しかし、それと同時に、テレビ番組やスポーツ中継といった長さのある動画の配信方法も見直されていくと考える。
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