試着ができるネットショッピング?テクノロジーで変わるECの未来とは

WRITER : Editorial department

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e-commerce.jpg 「サイズが小さすぎた」「思っていた色と違う」などインターネットで服を買うときの失敗は誰でも経験があり、一度の失敗でネットショッピングから遠ざかってしまう人も少なくないだろう。しかし、どこにいても服を買うことができ、すぐに家に届くのは非常に魅力的なサービスである。

今回はECにおける衣料品購入の現状と、それがどのように変わってきているのかを見ていきたい。

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市場規模からみるECの現状

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引用:sertek media

EC(Electronic Commerce)とはインターネットなどのネットワークを介して契約や決済などを行う取引形態のことで「eコマース」、「ネットショップ」や「ネット通販」、正式には「電子商取引」と呼ばれている。

経済産業省が発表している「国内電子商取引市場規模」によると、平成26年の日本国内のBtoC(企業−消費者間)でのECの市場規模は、12.8兆円(前年比14.6%増)まで拡大、BtoB(企業間)も、280兆円(前年比4.0%増)に拡大するなど、オンラインでの商取引が急速に進展している。 スクリーンショット 2015-08-20 1.23.51

引用:経済産業省

このように、ECは拡大している分野であり、特にネットショッピングで服を購入するなど衣料品の分野でECを利用する機会は増えてきているだろう。

では、ここから私たちが日常的に接する機会が多い衣料品にしぼってECの現状と問題点を見ていくことにする。

▼参照

平成26年度電子商取引に関する市場調査(経済産業省)

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アパレル業界のECの現状と問題点

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引用:Vulcan Post

  消費者が衣料品の購買までに至るプロセスは「集客(服が売られている場にいく)→体験(試着や実物を見る)→購買」である。

アパレル業界のECは拡大している分野であり、ZOZOTOWNやAmazonの登場は、様々なブランドの商品を一度に閲覧する、注文した次の日には商品が届くなど、「集客」と「購買」の段階における利便性を著しく向上させた。しかし、「思ったより服のサイズが小さかった」「サイズはあっていたが、着てみるとイメージと異なっていた」などネットショッピングで失敗したという声が依然として多い。これは普段身につける衣料品購買に関して、顧客は「体験」を重視しているが、バーチャルで提供される「体験」が不十分であるからだ。

変わりつつあるネットショッピング s_vfr6_2 様々な問題があるECでの販売に対して、多くの企業は苦しんでいる。

そのような中、ECモール国内最大手の楽天は、 キャッチコピーである「Shopping is Entertainment!」を体現するように、顧客体験の充実を目指して様々な様々な施策を打ち出している。 その内、衣料品に関する2つの施策を紹介しよう。

(1)実際の試着を可能にする

2015年8月7日、楽天のECモールである「楽天市場」に、返品送料無料で靴やファッションアイテムを試着して購入できるEC「ロコンド」を運営するロコンドが進出した。出店する店舗名は「LOCOMALL(ロコモール)」。初めはロコンドで取り扱う商品のうち約7万点(ロコンドでは約1000ブランド15〜20万点の商品を扱っている)の販売を行い、さらに今後ラインアップを拡充していく予定である。

楽天のファッション部門を統括する松山奨氏は、普段買わないような高価なアパレルはサイズがわからない、実際に購入してもフィットせず送料を払って返品しなければならない、など購入ボタンを押すことに踏み切れない心理がまだあると説明する。このようにインターネット上での購入に不安を抱くユーザーはまだ多く存在する。

楽天は、試着するという顧客体験を提供するロコンドの出店と、同時に返品送料無料商品の特設ページを用意する。そして今までは困難であった、実際に手に取ってから服を返すことができるという新しい顧客体験を提供し、消費者の持つECでの購入に対する心理的障壁を取り払おうとしている。

(2)バーチャルでの試着を可能にする

 

2014年6月頃に楽天は、Fits.meを買収した。同社が開発したのはバーチャル試着室と呼ばれるテクノロジーである。具体的には、オンラインのバーチャル・マネキンに、ユーザーが関心を抱いたファッション・アイテムを着用してみせるというものだ。

このテクノロジーにより、消費者は関心を持ったファッション・アイテムが自分に似あうかどうかオンラインで試着できる。これはオンラインで購入する際の「最適なサイズはどれか」「選んだ服がイメージ通りか」という2つの大きな問題を解消する。さらに同じ服の違う色をすぐに試着することや、既に持っている服や欲しい服とのコーディネートをバーチャルで再現することも可能となるのだ。

加えて、楽天と、楽天市場に出店している事業者も、どのような層の顧客が、どの服を試着し、最終的にどれを購入したのかというカスタマージャーニーの情報を得ることができる。この情報を活用することでより顧客のニーズに合わせたきめ細かい顧客体験を提供できるようになるのだ。

以上のように楽天は、ユーザーがオンラインでより現実感のあるショッピング体験をできるようにする(楽天代表取締役会長兼社長:三木谷浩史)、そしてその先の体験の充実を図ることで、さらなるECの拡大を目指している。

▼参照

TechCrunch 2015年8月7日 靴とファッションの通販サイト「ロコンド」が楽天市場に出店

楽天プレスリリース 2015年7月13日楽天、バーチャル試着サービスを提供するFits.me社を買収

fits.me

 

アパレルECから紐解く、ネットショップの未来

s_スクリーンショット 2015-08-20 1.27.39

引用:THE HUFFINGTON POST

では、これからECでの購買体験はどのように変わっていくのだろうか。

(1)試着の場の変化

前述のfits.meように店頭以外での試着の可能性が高まる。同社以外にもMetailやPhiSixのようなバーチャル試着室のサービスを提供する競合が存在する。これらが競争することで、自宅にいながら、または街中で、より質の高いバーチャルな試着体験ができるようになるかもしれない。

(2)店頭と同じような接客を受けることができるようになる

現状でのEC による購入は、あらかじめ欲しい商品に目星を付け、それが含まれるであろうカテゴリから商品を探すことになる。しかし、それでは顧客の目的に最適な商品が提案されるとは限らないし、明確ではないが、「なんとなく欲しいもの」を手に入れることは難しかった。

しかし、ディープラーニングを使った予測分析技術の発達により、「なんとなく欲しいもの」に対して店員が売り場で商品をレコメンドしてくれるように、インターネット上でも「なんとなく欲しいもの」を手に入れられるようになるかもしれない。

具体的にはFluid Incが例として挙げられる。これは、IBM Watsonに、利用者の利用頻度や購入履歴、製品情報、ユーザーレビュー、ブログ、関連雑誌といった小売に関わる人や物のデータを蓄積、解析させることで、店員との対話のようなレコメンド可能となっている。これにより、「週末のパーティーに着ていく服がなくて」という要望などに答えてくれるようになるだろう。

バーチャルでの顧客の体験が充実していくことで、ECという場での購買が急速に増加していくのは明白であろう。 「服を買う」という行為がどのように変わっていくのか、今後の展望に注目していきたい。

▼参照

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