※「Arch for Startup」より寄稿
アメリカの小売業界では自社ブランドのスマートフォンアプリを開発するのが常識になりつつある。自社アプリを通しての商品販売、ポイント制などのリワードを通して顧客確保が主な手段である。事実、Arch for Startupが今までの記事で紹介してきた大手企業は全社アプリを提供している。
今回はアメリカの十店舗を持つ小売業者の中でも、より売上やリピート率への効果が出たアプリをダウンロード数の多い順にまとめた。
1, Walgreens -アメリカ最大の薬局-
引用:Walgreens
Walgreensとはアメリカ全土に展開する創業100年以上の老舗薬局である。薬品だけではなく化粧品や雑貨なども多く販売する。Walgreensの提供するアプリの特徴は3つある。
1つは健康管理。顧客が今までにもらった処方箋の一括管理や、薬の処方をリマインドする機能や近隣の病院への予約もできる。
2つ目は写真の印刷である。Walgreensは写真の印刷事業の大手でもある。アプリの利用者がカメラロールやFacebookを通して写真をアップし、できあがった写真を近くのWalgreensの店舗で受け取ることができる。
3つ目はクーポンなどの配信である。利用者が日々の運動を記録するとポイントを受け取ることができるという薬局らしい機能もある。
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2, Walmart -世界最大の小売店-
引用:Walmart
Walmartは日本でも知っている人は多いだろう。食品から衣類、雑貨まで幅広い商品を販売する世界最大の小売店である。Walmartが提供するアプリでできる10個の機能の中からこのまとめでは2つ紹介する。
1つは、同じ製品でWalmartが販売する値段より他社が販売する値段の方が安かった場合に、その差額分のクーポンをもらえる機能である。もう1つは、電子チラシである。アプリを通して毎週違ったセールのチラシを読むことができる。
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3, Target -アメリカの代表的なホームセンター-
引用:Target
TargetはWalmartと形態が似ているが、衣類などの品ぞろえが豊富な小売店である。Targetは他の小売店よりもアプリなどのテクノロジーにかける情熱が違う。先日発表されたApple Watch向けのアプリを開発すると発表したことに加えて、洗練されたデザインを見ればその情熱が分かるだろう。Targetが開発するCartwheelというアプリでは、毎日アプリでしか手に入らないお得な商品の情報が利用者に通知され、アプリを使うことで節約が可能になる。
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4, Costco -会員制倉庫小売-
引用:Costco
Costco(コストコ)は日本にも店舗を持つ会員制の小売店である。会員は巨大な倉庫からまとめて安く食品から家電まで幅広いものを買うことができる。同社のオンライン戦略はこちらの記事でも紹介したが、アプリを通した商品の購入やデリバリー機能を提供している。
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5, Best Buy -アメリカ最大の家電量販店-
引用:Best Buy
Best Buyはアメリカ最大の家電量販店で、感謝祭の日には多くの人たちが激安なガジェットを求めて列をなすことでも有名である。同社の詳しいオンライン戦略についてはこちらの記事にもある通り、顧客の40%がアプリを通しての購入という驚異的な成果を出している。
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6, The Home Depot -アメリカ最大のホームセンター-
The Home Depotはアメリカ最大のホームセンターである。アメリカでは日曜大工をはじめとする自分でつくる文化があり、ホームセンターで部品を購入する顧客は日本と比べてはるかに多い。同社が提供するアプリを通して購入する通販機能が主である。
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7, Macy’s -アメリカを代表する老舗デパート-
引用:Macy’s
Macy’sはアメリカの主要都市に必ずあると言ってもいいデパートである。長く続く秘訣は時代に対応した販売戦略である。Macy’sはアメリカで最初のブランドで使用可能なクロスブランドポイント制度(日本でいうTポイント)の一員でもある。Macy’sの提供するアプリには面白い機能がある。それは自分だけのコーディネーターを予約することができ、パーソナルコーディネーターが自分に合った衣服を用意してくれるというものだ。
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8, H&M -世界を代表する衣服ブランド-
引用:H&M
H&Mはスウェーデン発の衣服ブランドで、流行のアイテムが安く手に入る幅広い世代に人気のブランドである。同社はアメリカの企業ではないが、アメリカのアパレル業界をリードする存在である。モバイルアプリを通してクーポン配信という今では一般化しつつある機能を採用したアパレル企業の先駆け的存在である。アメリカでアパレル業界の戦略が議論される時に必ず話題に上がる。
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まとめ
以上紹介した企業の戦略をカバーすればアメリカの小売業界のトレンドが分かるのではないだろうか。他にもアバクロやホリスターなど人気の企業ではスマホアプリを使った戦略を打ち出しているが、実際の成果が落ちているという。
今回紹介した8つの企業では、自社アプリを開発するだけではなくユーザーにリピートして利用してもらう戦略に長けている。これらの企業の今後の戦略、また他社のイノベーティブな小売戦略に期待したい。
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Arch for Startup
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