近年ウェアラブルデバイス市場の成長が著しい。2013年のウェアラブルデバイスの世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで671万5,000台を記録しており、今後2015年には全体で1億480万台、2017年には2億2,390万台まで拡大すると予測されている。ウェアラブルデバイスを通じて獲得される生体内データは、今後ユーザーの健康管理に大きく貢献することが期待されている。
今回は従来のウェアラブルデバイスの常識を覆す”肌に溶け込む”究極のウェアラブルデバイスをご紹介する。
▼参照
ウェアラブルデバイスの世界市場規模、2015年には1億台突の見込み【矢野経済研究所調査】
肌と一体化する”電子皮膚”「BioStamp」
米国スタートアップのMC10は、非常に薄く、直接肌に貼るタイプのウェアラブルデバイス「BioStamp」を開発した。近年徐々に普及しつつあるウェアラブルデバイスであるが、普及にいたるには、いくつかの越えるべきハードルがある。その中で”ファッション性”と”デバイスの重さとサイズ”という課題を解決してくれるのが、「BioStamp」だ。
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超小型ながら多様なデータ収集が可能
「BioStamp」は、心電図・脳波・筋電図・体温を各種センサーにより測定することが可能である。その結果、不整脈など心臓の慢性疾患や、脳・神経の活動やストレス状況を把握することも可能である。また、筋肉の活動を検知することも可能で、リハビリテーションなどでの活用も期待できる。収集されたデータは、スマートフォン経由でクラウドに送信され、解析が行われる。
生体親和性とコストが課題
「BioStamp」は長期間生体に装着することが前提となっているデバイスであるため、生体との親和性が高くなければ肌に炎症を起こすことが予想される。そのためMC10は、1週間程度でデバイスを交換することを想定しているとのことだ。そうだとすると、課題となってくるのはコストだろう。現在同社は「BioStamp」を149.99$(約1万7千600円)で販売している。一週間での交換が想定されるのならば、日常的な使用は困難だ。今後はどこまで値段を下げることが出来るのかが普及の鍵を握っている。
”電子皮膚”の登場はウェアラブル産業に革命を起こせるか?
生体内データを取得するウェアラブルデバイスは多数存在する。スマートリストバンドや、スマートリングがその代表だ。しかし、もし将来的にこの「電子皮膚」が低コスト化を実現し、量産に成功すれば、ウェアラブル産業に革命が起きるだろう。従来のウェアラブルデバイスが、今一歩普及に繋がっていないのには、いくつか要因がある。
その1つに、ファッション性が挙げられる。多くの人々がウェアラブルデバイスを受け入れるためには、誰もがカッコイイと思えるようなファッション性を重視したデザインが必要となる。
また、日常的に装着する物だからこそ、ユーザーに装着感を感じさせないことも非常に重要となってくる。その点で「BioStamp」は、身体のどの部分にも装着できるため目立たない。その上、まるで皮膚の一部のように、ユーザーに装着感を感じさせないのだ。
近い将来には、まるでコンタクトレンズをつけるかのように、「BioStamp」を使用する日が訪れるかもしれない。今後の動向に注目である。
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