引用:GATAG
近年、消費構造の変化により、小売業界では在庫管理の重要性が増してきている。
幅広い年代や性別にも対応するアパレルブランドを好むよう変化した「消費者の価値観」や、「同種商品の低価格化」「代替品の出現」により「商品ライフサイクルの短期化」が見られるようになった。
そのため、商品に多様性が求められるが、過剰在庫は在庫の保管費用・在庫費用などのコストがかかる。
一方で、在庫不足は消費者が求めているときに商品がその場で手に入らないので、販売機会損失に繋がる。
さらに、小売りのオムニチャネル化により、店舗では適切な在庫管理を行うことが難しくなってきている。
例えば、実店舗とオンラインショップの在庫情報が一元化されていないので、オンラインショップで商品が「売り切れ」と表示されている一方で、実店舗では商品が有り余っておりセールで値下げして売らなくてはならないことが問題となっている。
これらの課題を解決するために、小売業界では在庫管理のシステム化が推し進められている。
在庫管理システムとは、在庫不足情報を管理するITを活用したシステムである。
従来は伝票などの紙で在庫管理を行っていたが、在庫管理システムにより人的エラーを削減すなどの業務の標準化や作業の効率化を実現した。
今回の記事では、最新の在庫管理システムの事例を紹介するとともに、在庫管理の果たす役割について再度考えていく。
イオンリテール株式会社、自走ロボットとRFIDで在庫管理を実現する
引用:Checkpoint
2016年1月6日から、日本の大手小売店イオンリテール株式会社(以下:イオンリテール)はチェックポイントシステムズ社(日本法人:株式会社チェックポイントシステムジャパン、以下:チェックポイント社)のRFIDと棚卸し用ロボットを店舗に試験導入したことで注目を浴びている。
RFIDとは、商品の情報を埋め込んだタグから商品と小売経営者が無線で情報のやり取りをし、在庫管理やセキュリティの向上を図る電子商品管理システムの一つである。
イオンリテールは、清算業務と店舗出入口にチェックポイント社のRFIDを活用している。
理論上の在庫と清算済の在庫数をリアルタイムで照合ができるので、瞬時に店内にある在庫数を確認できる。
さらに、RFIDに対応した棚卸用ロボットは、在庫のサイクルカウント(在庫カウントソリューション)を行うものである。
業務効率の向上を図るだけでなく、以前は多かった在庫カウントなどの人為的なミスを減らすことを可能にした。
▼参照
Simbe Robotics社 在庫管理ロボットTallyで顧客満足度も高める
引用:simbe
アメリカのSimbe Robotics社は2015年11月10日、自動で在庫を検知できる在庫管理ロボット、The Simbe Robotics Tallyを発表した。
Tallyは、小売店舗の商品が棚からなくなっていること、在庫がなくなったことを従業員にアナウンスすることができるので、従業員はTallyの情報をもとに棚補充や在庫発注を行うことができる。
さらに、商品が異なる棚に並べられていないか、異なる向きで入っていないか、商品の価格タグが有効であるかなどのデータを検知し、収集することができる。
収集したデータはクラウド上で処理・分析されるので、従業員はクラウド上で在庫管理以外の店舗内状況を把握することができる。
Tallyは在庫発注などの作業効率を高めるだけでなく、コストを削減しながら顧客満足度も高めることができるのだ。
今一度考える、在庫管理システムの役割とは?
引用:GATAG
最近上記の事例のような、テクノロジーを駆使した最新の在庫管理システムが多く登場している。
そんな中、あなたの小売店舗にはどの在庫管理システムを導入すべきなのか、悩んでしまうことはないだろうか。
まずは店舗に在庫管理システムを導入し、達成したい目標を明らかにする必要がある。
例えば、在庫管理の省力化、在庫の見える化、適正在庫の確保など、あなたの店舗で何を達成することで売上や顧客満足度を高めることができるのか明確化する。
次に、目標を達成するためにどんなシステムが必要か考えることが大事だ。
在庫管理システムの種類は、上記の事例のように商品の決済数と在庫の数を照らし合わせるものや棚補充が必要な商品を検知するものなど、さまざまである。
このように、現在の店舗で立てた目標を達成できるシステムを選ぶことが重要である。
在庫管理を適正化することは、売れ残りや品切れのリスク軽減し、機会損失を防止することに繋がる。
数ある在庫管理システムの中で、あなたの店舗が最も必要としているメリットは何なのか、システムを比較していくことが重要である。
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