ここ数年、小売業界では「オムニチャネル」というワードが飛び交い、国内でも多くの企業があらゆる取り組みを実施している。
この中でも代表的なのが日本の流通業界の巨人、セブン&アイ・ホールディングス。コンビニエンスストアのセブン-イレブン、総合スーパーのイトーヨーカドー、百貨店そごう・西武をはじめ、100社を超える企業が集まっている。現在、総売上高は約10兆円に達し、米国のウォールマート(37.5兆円)に次ぐ世界第2位の規模となった。
そのような中、小売業界でオムニチャネル化が進むにつれ、次なる課題が話題になってきている。
今回はオムニチャネル化の先にある課題である「クロスチャネルの在庫管理」に注目して、小売企業の経営課題に迫ってみる。
セブンイレブンを始めとするコンビニ大手のオムニチャネルに関する事例については、以下の記事を参考にしていただきたい。
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小売企業の93%が重要視するシステム全体在庫の可視化
引用:ハイブリスソフトウェア
2014年12月、ドイツのハイブリスソフトウェア(ハイブリス)は、小売企業のオムニチャネル戦略を取り巻くビジネスの牽引要素やチャンス、組織における制約に関して分析した「2014年版小売業のオムニチャネル」の調査結果を公開した。
この調査によると、オムニチャネル化から次のレベルへと進化させるにあたり、昨今の小売企業は、「在庫と受注の管理機能を適切にする」という最大の課題に直面している。
さらに調査結果として、小売企業の93%がオムニチャネル戦略を遂行する上で最も重要な性能として、在庫管理システム全体の可視化を挙げている。一方で、それを実現できている企業は、わずか45%に留まっているのだ。
さらにすべてのチャネルを横断したシステムを同期し、全体在庫の可視性を実現している割合は、39%まで下がるという。
この調査から重大な3つの結果が明らかになった。
(1) オンラインとオフライン両方でのデジタル体験デザイン
小売業の勝ち組企業は、eコマースによる販売拡大と、リアル店舗での販売拡大という、2つの目標を念頭にデジタル体験をデザインしている。すべてのチャネルを横断したシームレスな顧客対応の実現に尽力しているという結果が出ている。
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(2) 購買体験を終始一貫して完結
オムニチャネル戦略は小売企業の最優先事項で、小売企業の53%は、顧客自身が選択したチャネルで商品の購入・配送・返品が可能な環境の実現を目指している。
消費者が求めているのは、デジタル領域の中で自らの購買体験を終始一貫して完結させて、より魅力的な体験が得られることだ。
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(3) 管理システムの運用とプロセスの適切な修正
在庫と受注の管理機能の俊敏性を高めるには、運用システムとそれらのプロセスを適切に修正し、時間と場所を問わず買い物ができる、という消費者の期待を効率的にサポートする必要がある。
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まとめ
オムニチャネル分野で秀でている小売企業は、オンラインとオフラインの本質的なつながりを認識している。現在、このような潜在性を理解している小売事業は、オムニチャネル、在庫と受注の管理システムを柔軟にを活かせるよう、すべてのチャネルを横断した運用の改善を試みている。今後小売企業がいかにして在庫と受注の管理機能を適切にするかに要注目である。
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▼参照記事
http://news.mynavi.jp/news/2014/12/22/096/
「国内注目オムニチャネルサービス15選」を公開しました。2016/02/12
今回は、累計500万ダウンロードを突破した有名なサービスから、2月にリリースされた新しいサービスまで、国内小売企業が取り組むデジタルテクノロジーを活用した注目のオムニチャネル事例をまとめました。
記事内では取り上げることのできない様々な情報を取り上げております。
是非、小売業界のマーケターの皆様に事例研究やサービス導入をする際の参考資料としてご活用いただきたいと思います。
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