※「Arch for Startup」より寄稿
引用:Man Hit By Bus in Seattle Walks to Starbucks
ApplePayがサービスを開始し、TargetやWalmartといった小売店もモバイルペイメントを導入するなど、現在熱が高まっているモバイルペイメント業界。
その中でも、業界をリードしているのは、やはり早くからモバイルペイメントシステムを導入していたStarbucksCoffeeCompany(以下スターバックス)だ。
スターバックスのCEOのHoward Schultz氏は以下のように述べている。
「我々はモバイルテクノロジーの発展のために長年投資を行ってきた。2013年には全米のモバイルペイメント取引の90%がスターバックスの店舗で行われていた。わが社は世界で唯一顧客の決済方法をモバイルに変えた企業である。今後大きく成長するこの分野においてスターバックスは様々な企業とパートナーシップを持ち、絶大な影響力をもつ企業になっていくだろう。」
では同社のモバイルペイメントアプリとはどのようなものであろうか。今回はアプリの内容とともに、興味深い最新の動向を紹介する。
1200万人の会員を誇るスターバックスのモバイルペイメントアプリ
引用:Once Again, Starbucks Shows Google And Apple How To Do Mobile Payment
スターバックスの提供するアプリとはどのようなものであろうか。
このアプリには、近くのStarbucksを探すマップ機能、クレジットカードで簡単にチャージが可能なリロード機能、そして財布がなくてもこのアプリ1つで支払いが可能なペイメント機能などが備わっている。このアプリの魅力はそれだけではない。
このアプリを使ってスターバックス商品を購入することで、ユーザーはスターを獲得することができ、スターの獲得数に応じて会員レベルがウェルカム、グリーン、ゴールドと上がっていく。会員レベルによりコーヒーのおかわりが自由になったり、12回に1回ドリンクが無料になるといった特典が付いており、ユーザーにアプリを継続して使わってもらうキッカケになっている。
実際、このモバイルペイメントアプリは1200万人の会員を獲得しており、全体購入の16%、毎週700万回の支払いがこのアプリを通じて行われている。この数はモバイルペイメント市場から見ると物凄い数である。次に、更に進化しようとするスターバックスの最近の動向を見ていく。
事前オーダー機能で待ち時間をゼロに
引用:Starbucks Launches Mobile Order & Pay in Portland; National Introduction in 2015
スターバックスは昨年の12月初めにオレゴン州ポートランドの152の店舗で新たなサービス「MobileOrder&Pay」のテストを行った。
このサービスは、先程述べたアプリを用いて前もって商品の注文ができ、列に並ぶことなく商品を受け取れるというものだ。同サービスを用いることで注文を聞く時間を削減し、店舗の回転率を更に向上させると共に、待ち時間を減らすことで顧客の満足度をあげようという狙いだ。このテストに成功すれば直ぐにでもアメリカ全土でこのサービスを実行する予定である。
スターバックス店舗はスマホのガソリンスタンドとなり得るか
引用元:Wireless Charging Comes to Starbucks UK
昨年11月、スターバックスはワイヤレス充電スポットを、サンフランシスコの約200店舗に設置した。店舗内のテーブルまたはカウンターに丸く黒いマットが配置されており、その場所が充電スポットになっている。
黒いマットはパワーマットと呼ばれ、コードなしでスマホやタブレット等の充電ができる。パワーリングまたはパワーケースを共に使用することでその性能を発揮する。パワーリングは店舗でその都度借りるか、スターバックス、協賛店、またはオンラインで、約1000円で購入できる(ケースは貸出されていないため、購入する)。
使用方法は簡単で、リングをスマホの充電ポートに装着し、リングをパワーマット中心の輪っかに合わせて置く。パワーケースはスマホケースと同様にスマホに装着し、マット上に置くだけだ。現在ケースは数機種のみ対応している。
今年1月にはロンドンの10店舗にこのパワーマットが設置された。今後は、全米各地、ヨーロッパ、アジアにも導入していく予定である。
パワーマットは、Procter & Gamble’s Duracell brandとPowermat TechnologiesのジョイントベンチャーDuracell Powermatのブランドの元販売されている。Powermat Technologies、CEOのRan Poliakine氏はこう語る。
「“車”は“自由”の象徴ですよね。車に乗って、あなたの道を進んで、1日経てばあなたはラスベガスにいる。どうしてできるかわかりますか?なぜなら2区画毎にガソリンスタンドがあるからなんですよ。」
スターバックスはスマホのガソリンスタンドになるのだろうか。
進化をし続けるスターバックス
引用元:Starbucks Offering Delivery Service Starting Next Year
スターバックスは上記の例のように、現状に留まることなく新たなものを導入しようとしている。それだけではない、スターバックスはtwitterで700万人以上、Facebookで4000万人弱のフォロワーを持っており、SNS上でファンと繋がる活動も地道に行っている。
また最近の発表によると、2015年後半にはデリバリーサービスも始める予定であり、顧客の利便性は更に高まっていく。今後もスターバックスの活躍に期待したい。
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