今、「オムニチャネル」や「O2O」の分野で注目を集めている新技術がある。2013年9月にリリースされたiBeacon(アイビーコン)だ。2014年度に入り、国内の代表的なパソコン雑誌「週刊アスキー」や「MacPeople」が相次いで、iBeaconの特集を掲載している。国内では楽天や大日本印刷がiBeaconを利用したブロモーション施策を実施している。
海外事例では、イギリス大型スーパー「Tesco」「Waitrose」がiBeaconを活用した集客サービスのトライアルをはじめたり、コカコーラが次期ワールドカップに向けてiBeaconを使った大掛かりなテストを行うなど、iBeaconを利用したマーケティング事例が増加している。しかし、「名前を聞いたことがあるが、その仕組みや事例については詳しくない」といった方が多いだろう。そこで前回に今話題の「iBeaconとは何か?」そして、「マーケティングを考える上で知っておくべきiBeaconに関する知識」をまとめて、後編である今回は「メーカー別の端末比較」と「今後の展望」を紹介する。
引用元:Estimote Beacon
前編記事:これだけ知っていれば大丈夫!O2O・オムニチャネルマーケティング担当者に必要なiBeacon知識まとめ(前編)
どれがおすすめ?店頭プロモーションに必須のBeacon端末比較
前述したように、iBeaconを利用したプロモーションを実施する場合、Beacon端末が必要だ。必要個数はプロモーションの内容や店舗の面積によって異なるが、多ければ多いほど顧客の正確な位置を把握できる。iOS7以降を搭載したiPhoneやiPadをBeacon端末として利用することもできるが、1台当たりの単価が高いことと、壁や天井などに取り付けて利用することが多いことから、お勧めはできない。サードパーティから安価な専用モジュールが複数発売されており、こちらを利用するのが一般的だ。ここでは国内外のメジャーなサードパーティーのモジュールを比較する。
企業名/製品名 |
Estimote, Inc. 「Estimote Beacon」 |
株式会社アプリックス 「BM1」 |
shopkick, Inc. 「ShopBeacon」 |
商品画像 |
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値段 |
3個/99$(1個/33$) | ①1個/300円(ケース付き1個/500円~)②10個/10,000円(1個/1,000円) | 1個/40$ |
動作時間 |
2年 | 1年 | 5年 |
コメント |
・技適を取得していないため、利用には申請が必要・デザインが優れているため、カバーなどで覆わずともそのまま利用できる | ・モジュールのみの販売なので、外装が必要。施策用のキットで買えばそのまま使える。10個セットから販売 ・渋谷パルコに導入されている・技適取得済みであるため、申請が不要 |
・石けんほどの大きさ・米国の大手百貨店Macy’sで導入されている ・NielsenReportでショッピングアプリの中で平均利用時間最長アプリと認定 ・技適未取得のため、利用には申請が必要 |
サイト |
http://estimote.com/ | http://www.aplix.co.jp/ | https://www.shopkick.com/ |
海外の製品はBeaconを使用するのに必要な技適を取得していない場合が多い。技適(技術基準適合証明)とは「無線設備」が無線通信の混信・妨害とならないことを証明するものだ。上で取り上げた、Estimote BeaconとShopBeaconはこの技適を取得していない。使用する場合は技適を取得する必要があり、申請から利用可能になるまで国内では約200万円、海外では約500万円の費用がかかる。株式会社アプリックスの「BM1」は、モジュールのみであるため、追加で電池ケースや外装を用意しなければ利用できない。これらをセット販売しているものがあるが、10個セットで10,000円となっている。
既製品のケースならば1,000円程度で購入可能であるが、組み付け費用、シリアルコードの入力に費用がかかる。また、外装のデザインに凝りたい場合には、金型を作る必要があるため、最低数百万の費用がかかる。お客さんの目に触れない場合には、国内のものを、目に触れる場合は海外の製品の利用をお勧めする。
iBeaconの今後の課題と展望
2014年3月にiOS7.1がリリースされ、企業にとって魅力的な機能がiBeaconに追加された。iOS7では、事前にアプリを起動しておかなければ、iBeaconと連動したサービスを提供できなかった。しかし、iOS7.1からは、iPhoneのロック画面が表示されて時点で、Beaconが検出されるように変更された。つまり、iPhoneの持ち主がアプリさえインストールしていれば、店舗はBeaconを通じてサービスを提供できるようになったのだ。しかしながら、企業がiBeaconを導入する上で、偽物のBeaconによるなりすましが課題だ。Beacon端末が発している識別ID情報は暗号化されていないため、誰でも簡単に受信し、IDをコピーできてしまう。そのため、ある程度の知識がある人が、コピーした識別IDを利用して、来店せずにクーポンやポイントを取得する不正が起こりうる。企業はさまざまな対策がなされている。
楽天が提供する「スマポ」はiBeaconを情報発信のみに限定し、来店ポイントの付与にセキュリティが高い超音波を利用する。他にも、高度な認証サーバを用意したり、GPS情報と連携させ来店していることを確認するといった方法がある。国内で、スマホシェア6割を超えるiPhoneにプッシュ通知ができるiBeacon。ただ、一番の課題はiBeaconと連携したアプリを準備した後、そのアプリのユーザーを獲得する必要があることだ。知名度が無い場合は、多数のユーザーが登録しているサービスとの連携や、資本力を元に広告を大量に打つことによる集客、サービスの差別化によってユーザーを集める必要がある。しかしながら、オムニチャネル市場の拡大や、顧客と小売店両者に与える利便性の高さから、iBeaconを利用したサービスの需要があることは確かだ。今後、iSOのアップデートなどでセキュリティが強化されることに期待したい。
引用元:STORE BEACON
前編記事:これだけ知っていれば大丈夫!O2O・オムニチャネルマーケティング担当者に必要なiBeacon知識まとめ(前編)
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