2014年から今年にかけて急速にユーザーを増やしている写真投稿SNS「Instagram」
公式サイトの発表によると2010年10月のサービス開始から、2015年10月までの5年間で、月間アクティブユーザー数は全世界で4億人、投稿された写真は400億枚を突破。また、1日に投稿される写真8,000万枚以上だという。また、今年6月には日本でも月間アクティブユーザー数が810万人を超えたという発表があった。
ファッション業界においても、O2O施策や、プロモーション、そして顧客体験を向上させるための重要なビジネスツールとして、数々のブランドが公式アカウントの運用を始めている。
今、インスタグラム上で人気を集めるファッションブランドには、どのような特徴があるのだろうか。また、各ブランドはどのようにインスタグラムを用いてファンを獲得しているのだろうか。
インスタグラムでフォロワー数の多いファッションブランドTOP50を発表!
ユーザーローカルの提供するInstagram人気ランキングを元に収集した、フォロワー数の多いファッションブランド公式アカウント上位50つをグラフにしてまとめた。(2015年12月14日時点)
また、記事投稿数、フォロワー数、1週間(2015年12月1日〜7日)、2週間(2015年12月1日〜14日)でのフォロワー数の伸び率をまとめた。
※フォロワー数の伸び率(%)は以下の方法で算出
(12月7日のフォロワー数-12月1日のフォロワー数)/12月1日のフォロワー数×100
(12月14日のフォロワー数-12月1日のフォロワー数)/12月1日のフォロワー数×100
フォロワー数上位50アカウントの中で、一番高い伸び率を記録したHeather
Heatherの12月第一週目の伸び率はわずか1.344%だったのに対し、二週間の伸び率は50アカウント中1位の7.386%だったことに注目してほしい。12月7日から12月14日にかけての一週間で、フォロワー数に大きな伸びがあったということが言える。
この理由は、Heatherがインスタグラム上で12月11日から開始した、プレゼントキャンペーンにあると考えられる。
12月11日から25日までのキャンペーン期間中、Heather公式インスタグラムの対象投稿に、ユーザーが「いいね」をすると、毎日1名にHeatherのアウターが当たるというものだ。
クリスマスやお正月といったイベントごとの多いシーズン、大切な人へのプレゼントや自分へのご褒美に、モノを買う機会も多くなる。購買意欲の高まるシーズンを利用し、ユーザー参加型のプレゼントキャンペーンを行うブランドがこれからも増えていくと考えられる。
同一ブランドでの複数アカウント運用
グラフ内には、ユニクロのアカウント、MURUAのアカウントがそれぞれ2つずつあるように、同一ブランドではあるが、複数のアカウントを目的を分けて運用しているというケースがみられた。
【ユニクロ】ユーザーの投稿画像を紹介する、共創型アカウント
引用:UNIQLO GINZA
ユニクロ銀座店のアカウントでは、専用ハッシュタグ「#uniqloginza」のついたユーザーの投稿を引用し紹介することで、ユニクロのファンを巻き込みながらブランドイメージを形成している。
また、ブランド名ではない専用ハッシュタグの使用をブランド側が促すことで、そのハッシュタグを使用した人のコミュニティが形成される。
例えば、記事作成時、#uniqlo を含む画像の投稿数は1,078,836件であるに対し、#uniqloginza を含む画像の投稿数は投稿49,353件であった。
ユーザーは、ハッシュタグ「#uniqloginza」 で検索画像をすれば投稿数の圧倒的に多い「#uniqlo」では見つけられなかった、おしゃれで洗練された投稿を見つけ、ファッションやライフスタイルの参考にすることもできる。
【MURUA】ブランディングとマーケティングを独立させた2つのアカウント
引用:MURUA
MURUA公式アカウントは、ブランドコンセプトである“FEMININE MODE”を伝えるために、海外のモデルのみを起用し、少し非日常的な、まるで海外のブランドカタログのようなコンテンツを提供している。
ブランドの価値を向上させることを目的とし、フォローしているファンへブランドのイメージを発信する、つまりはブランディングツールとしてインスタグラムを運用している。
一方で同ブランドのスタッフアカウントでは、全国のショップスタッフのコーディネートや、新商品の紹介、キャンペーン情報など、実際にフォロワーに商品の購入検討を促したり、購入後のフォローを行いながら、継続的な関係性を築くことのできる情報を発信している。
こちらのアカウントでは、商品や企業の魅力を伝えることを目的とし、顧客の心を掴むマーケティングツールとして、インスタグラムを運用している。
▼参照
バロックジャパンリミテッドが展開する様々なブランドの横のつながりを生み出すアカウント
12月14日時点で、フォロワー数上位50位のブランドアカウントのうち、グラフ上で緑色で示したMOUSSY、SLY、rienda、AvanLily、RODEO CROWNSは全てバロックジャパンリミテッドのブランドである。
またそれらのブランドを扱う複合型リアル店舗とECサイトを保有するSHEL’TTERもフォロワー数15位にランクインしている。
SHEL’TTERのアカウントでは、取り扱いのあるさまざまなブランドの商品紹介やセール情報、またショップスタッフのコーディネートやブログの紹介を行っている。各ブランドのピックアップ情報を取りまとめた、ファッションマガジンのような役割を果たしている。
各ブランド公式アカウントでより詳細なコンテンツを提供するだけではなく、SHEL’TTER公式アカウントで、親会社バロックジャパンリミテッドが展開するブランド情報を総括して取り上げることで、1つのブランドのファンを他ブランドへも誘導できる。ブランド同士の横のつながりも生み出しているのである。
フォロワー数の多いブランドの特徴とはー
50位までのブランドの顔ぶれをみてみると、10代〜20代前半の若い女性に人気のある、低〜中価格のカジュアルファッションやファストファッションのアカウントが多い。これは今のインスタグラムのユーザーの属性を映し出した結果であると言える。
しかし、ここ最近のインスタグラムのユーザー数拡大に伴い利用者の年齢層や性別の幅が広がっている。
今後、ターゲット層にバリエーションが出てくることによってフォロワー数の多いアカウントのカテゴリも変化していくだろう。
つまり、今フォロワー数の少ないアカウントであっても、ユーザーの属性の変化に伴い、大きな伸びを期待できる。そのときが来るのを見越して、準備を進めていけばビジネス拡大のチャンスは大いにある。
インスタグラムでのプロモーションにおいてカギとなるのは「フォロワー数」
2015年はインスタグラムのユーザー数大幅増加に伴い、数々のファッションブランドがインスタグラム上での情報発信・マーケティング施策に取り組み始めた1年であった。
ビジネスツールとしてのインスタグラムが他のSNSと大きく異なる点は、基本的に画像の拡散(シェア)をサービスとして行っていない点である。
シェア機能を持つFacebookやリツイート機能を持つTwitterと比較してみると、シェア機能を持たないInstagramにとってフォロワー数とは、リーチの多さを表す絶対的な指標である。
公式アカウントを運用するファッションブランドには、今回の記事を参考に、フォロワー数の多いブランド、伸び率の高いブランドのプロモーション方法から学び、多くのフォロワー数を獲得するための戦略を練ってほしい。
次回は、本記事の続編「ZOZOTOWN人気ブランド20個のInstagramから学ぶ、ファン獲得のためのキーワード」を公開します。
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