引用:Pando
皆さんはショールーミングという言葉をご存知だろうか。ショールーミングとは、 消費者の購買形態の1つで、消費者が実店舗で商品を買わずに確認(比較・試用)だけ行い、後にネット通販で実店舗より安い価格で購入することである。
店舗の商品を買ってもらう事により利益を得ている小売企業にとって、ショールーミングは死活問題である。今回はショールーミングという現象の現状と小売企業が取れる対策について考えてみたい。
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小売企業のビジネスモデルを破壊するショールーミング
ショールーミングとは2012年初め頃から提唱され始めた現象である。それ以前にも商品を店舗で見てECで購入する人は存在したが、全体の1%に見たない数であり、小売企業にとって脅威というほどではなかった。しかし、スマートフォンの普及により、その場ですぐに商品のオンライン価格を検索することが容易になったため、小売企業の存続を脅かす程の問題として顕在化し始めた。
価格インテリジェンスサービスを提供するWiser社が発表した2014年の調査によると、アメリカ人の約72%が過去12ヶ月以内にショールーミングをしており、スマートフォンユーザーの96%が将来的にショールーミングをしようと考えていると答えた。小売企業にとって多大な脅威であるショールーミングだが、小売企業に対抗する方法はないのだろうか。
小売企業が取れる対策とは
ショールーミングに対して、小売企業が行っている対策はおおまかにいうと下記の8つがある
接客サービスの強化
人が対面で接客を行うことが出来るのは店舗がECに対して持つ圧倒的な強みの一つである。より丁寧に顧客のニーズに応えることでショールーミングを防ぐことができると多くの企業が考えている
店舗独自サービスの導入
ポイントカードやラッピングサービスなど店舗でしか受けられないサービスを導入することで、店舗での買い物を促進する
同一価格の提供
ECと全く同じ値段で商品を提供できるならば、商品をすぐに手にできる店舗が勝つケースは多い
支払いオプションの提供
ローンや分割払いなどの支払いオプションに対応させることで、より幅広い顧客のニーズに応えることができる
交換・下取りサービス
商品の交換・下取りを行うことで顧客はより安い価格で商品を購入でき、店側にとっても下取り品を販売する等して値下げによるコストを補填することができるため、ECの安値に対抗することができる
独占契約の締結
そもそもECが当該商品を取り扱うことができないように、メーカーと独占契約を結ぶ。ただし、メーカー側としては当然、たくさん売ってくれる方に販売を委託したいため、それなりの販売力を持っている必要がある
プライベートブランドの確立
上記と似ているが、この場合は自社で製品を作ることで他で手に入らない商品をつくる
ショールーミングの本質を考えてみる
引用:Shopify
ここまでショールーミングの対策について話してきたが、少しだけ立ち止まってショールーミングの本質について考えてみたい。小売企業にとってショールーミングする店舗を利用するだけ利用して利益をもたらさないひどい顧客に見える
しかし、彼らは店舗を利用してズルいことをしたいのではない。彼らが求めているのは非常にシンプルなたったひとつのこと、シームレスな購買体験なのだ。Wiserの調査によるとアメリカの顧客の78%が12ヶ月以内にウェブルーミング(ショールーミングと逆で、オンラインで商品について検索して店舗で購入する行為)をしたと回答している。つまり、ECは店舗に取って代わる存在ではなく、顧客はその両方を横断しながら買い物することを望んでいるといえる。
小売企業が本当にフォーカスすべきなのは、いかにショールーミングを防ぐかということではなく、いかに顧客にシームレスな顧客体験を提供するのか、という事なのかもしれない。
▼参照
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