引用:Forbes
ビックデータ活用のカギ:データ収集から分析、施策立案までを「リアルタイム」に行うこと
活用事例が次々と増えつつあるビックデータ。これまで取得することができなかった非構造化データと、伝統的な構造化データを統合することで、特定の期間におけるビジネスの全体像を、企業側はより鮮明に理解できるようになった。また意思決定層は、より状況ごとに合わせた判断を下すことができる。
しかし、企業はそれ以上のことを求めている。データの収集・分析の過程を極力短くし、可能な限りリアルタイムに近づけたいと考えているのだ。なぜなら、そうすることで短期間で施策のPDCAサイクルを回し、ビジネスの向上につなげることができるからだ。
つまり、リアルタイムに限りなく近いはやさでビックデータを活用できることが、競合優位性ともなりうる。
ビックデータ活用における先進的な企業SAP HANAテクノロジーの林氏も、ビックデータ活用の過程にスピードを伴わせることの重要性について、こう述べている。
「ゆっくりと分析・予測した結果、既に施策を打つタイミングが過ぎ去ってしまっていたのでは意味がありません。いかにリアルタイムにすべてを行うかが大事である。」
以下では、リアルタイムに分析を行うことで、売上向上やコスト削減、顧客満足度の向上、につながった事例を紹介する。
EC:顧客が他のサイトに目移りする前に、おすすめ商品をレコメンド
ECでは購買傾向に合わせて、おすすめ商品を提案することで、顧客が別のECサイトに逃れてしまうのを防いでいる。このように、より先手でおすすめ商品を提案するマーケティングを可能にしているのが、リアルタイムアナリティクスである。この施策にいち早く取り組んだのが、Amazonである。そして、多くのECサイトが、この施策を模範にするようになった。
物流:トラックの配送ルートを最適化し、コスト削減を実現
物流産業では、配達情報や移動経路を追跡するセンサーをトラックに搭載し、ドライバーが早く安全に配送するためのルートの最適化を行っている。
また同時に、センサーはドライバーの安全運転状況と、燃料消費状況を、リアルタイムで本部にレポートする機能も備えている。この分析によって、年間で数百万ドル以上のコスト削減に役立っている。また、配送物が今どこにあるのかを確認することもできるため、顧客満足度の向上にもつながっている。
交通:線路の故障可能性を予測、早期メンテナンスで事故を防ぐ
引用:Ecns.cn
鉄道の線路や路面電車の軌道、それらに付随する各種機器に備え付けられたセンサは、早期に故障する可能性がある部分を報告することができる。報告をもとに、整備士らは故障前に修理・部品交換を行うことができるため、未然に事故を防ぐことが可能だ。整備士らのパフォーマンス改善だけでなく、高い安全性を確保することができ、顧客満足度を向上させることができる。
リアルタイムなビックデータ活用のポイントはあまりに多くを求めすぎないこと
引用:Qforma
上記で紹介したシステムは、いずれもウェブ上の非構造化データと伝統的な記録データを組み合わせることで、ある特定のビジネス領域において何が起こっているのかを複合的に分析したものだ。そして、同じぐらい重要なことは、どのシステムも収集したデータから、「あまりにも多く」のことをしようとしていない、ということである。
例えば、ECの事例では、顧客のWEB上のトラフィックパターン(顧客が見た商品、ページなど)と、過去の購買履歴を組み合わせたデータを分析している。また、物流の事例では、マッピングアナリティクスが最適なルートを見つけ、トラックのリアルタイムな位置情報と組み合わせることで、ドライバーの追跡を可能にしている。
顧客満足度向上が任されているビジネスに関わる人にとって、リアルタイムにビックデータ分析を行うことによる成功事例を理解しておくことは重要だろう。なぜならば、2015年はリアルタイムなビックデータ分析が、企業によるビックデータ活用が期待通りに前進するかどうかの指標となる年になるからである。
▼参照
4 ways real-time analytics lead to competitive advantages
▼関連記事
ビッグデータが予測する未来、Predictive Analyticsとその開発企業に迫る