近年、モバイルデバイスの普及やSNSの拡大に伴い、ファッション業界でのテクノロジーの活用が著しい。
経済産業省の調べによると、世界的にみた、主要国におけるファッション市場規模は、2013年に206兆円、2020年には325兆円へと158%も成長すると言われてる。特に中華圏は2020年までに約60兆円市場まで拡大して、113兆円の世界最大市場になる見込みである。
ファッション×テクノロジー連載企画第3回目ということで、成長が著しい海外ファッション業界でのテクノロジーの活用事例を紹介していく。
ファッションとテクノロジーをつなぐ「Decoded Fashion」
連載企画第2回目の記事でも紹介した、2011年にスタートした「Decoded Fashion」は、ファッションとITテクノロジーを融合することで新たな価値を生み出すことをミッションとしているイベント企業である。創業以来確実に拡大しており、現在では世界のファッションの発信地であるパリやロンドン、ニューヨークなどで年間20回ほどのイベントを開催している。
具体的にこれまでファッション業界からは、Calvin KleinやDIESELといった有名ブランド企業、テクノロジー業界からはGoogleやAmazon、TwitterやFacebookなど大手企業からスタートアップ企業までがそのイベントに参加している。
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世界的に話題を集める「ファッション・ハッカソン」
このイベントの中で行われている「ファッション・ハッカソン」が世界的に話題を集めている。ハッカソンとは、「ハック」と「マラソン」からなる言葉で、Decoded Fashionで話題を集めるイベントの一つである。
ファッション・ハッカソンでは、テクノロジー側からソフトウェア開発者、ファッション側からはデザイナーがチームを組み、一定時間でアイディアを出し合う取り組みである。実際に多数のアイディアが生まれている。
今回はこのイベントから生まれたサービスを2つ紹介する。
写真を撮ったら欲しい服を探してくれる「Snap Fashion」
引用:Snap Fashion
「Snap Fashion」は、欲しい服の写真を撮るとそれと同じ、または類似する服をネット上から探してきてくれてれるサービスである。それらからリンクして購入することも可能だ。
欲しいアイテムのブランドがわからないときはもちろんのこと、似たようなデザインでより安価なものやクオリティの高いもの、色違いなどを探したいときにも便利である。
ビッグデータのメリットをもたらす「42 Technologies」
「42 Technologies」は、小規模なアパレルショップがPOSデータを簡単に分析できるツールを提案している。ショップ向けのツールだが、ショップがデータ分析を簡単に、適切に商品設計ができるということは、消費者にとっても大きなメリットがある。
例えば、よく行く店舗やブランドではデータが蓄積されていて、消費者は個別に最適な提案を受けることができる。
42 Technologiesは、アナログなショップにビッグデータのメリットをもたらすことで、イベントの中でも高く評価されていた。
このように、ファッション業界では、テクノロジーに対する認知も高まり、服や小物を売る・買う・探すといったファッションの現場にテクノロジーがいかされ始めている。
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テクノロジーを用いてファッションブランドの理念を伝える
テクノロジーの発展により、ファッション業界で今後、テクノロジーを用いてファッションブランドを伝えることがより重要な位置付けになる。それに伴い、それぞれのブランドやデザイナーはこれまで以上に明確なビジョンを持つことが期待される。
Decoded Fashion等の取り組みにより、テクノロジーとファッションの間の敷居はますます下がっていく。そしてそれによって、私たちのファッションアイテムの選び方やスタイリングもより面白く、心地良くなっていくだろう。
世界的にも成長し続けるファッション業界でのテクノロジーの活用に要注目である。
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