3Dプリンターで高性能化、低価格化が進み、活用の幅も大きく広がっている。米調査会社ウォーラーズ・アソシエイツによると、2020年の3Dプリンターの世界市場規模は210億ドルと予測されており、2013年の約7倍となる。また、3Dプリンターはプラスチック素材以外にも、食品やコンクリートなど、さまざまな素材を出力することが可能となってきている。そこで、今回は3Dプリント技術の活用事例について、前後編の2回に分けて紹介する。まず、前編では「食品分野」「建築分野」「医療分野」についてフォーカスする。
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3Dプリンターでここまで作れる!驚きの活用事例 20選 後編 | O2O イノベーションラボ
食品分野
日常の食事

出典: Natural Machines
スペインのベンチャー企業 Natural Machines社が開発する3Dプリンター「Foodini」は、ピザやパスタ、ハンバーガーなどの食品を出力することができ、ネット経由でさまざまなレシピをダウンロードして、利用することができる。2015年後半に発売予定で、価格は1,000ドルを見込んでいる。
▼参照
Natural Machines
砂糖菓子

出典: the sugar lab
3D Systems社が開発する3Dプリンター「ChefJet」は、さまざまな形や色の砂糖菓子を出力することができる。出力した砂糖菓子は、実際にコーヒーなどに入れて口にすることが可能。
宇宙食
Systems and Materials Research社は、宇宙食用の3Dプリンターの開発資金として、NASAから125,000ドルの出資を受けた。NASAは、宇宙に長期間滞在する宇宙飛行士達の食事において、新鮮で美味しいものを提供し、食環境の改善を目指している。
▼参照
NASA Funds 3D Pizza Printer | 3D Printing
建築分野
建築資材
イギリス Loughborough大学の研究チームは、コンクリートをプリントすることによって、さまざまな形の建築資材を作り出す研究が進めている。この技術によって従来の工法では製造できなかった、複雑な造形の資材を短時間で作ることができる。
▼参照
Freeform Construction – Loughborough University
一軒家

出典: Contour Crafting – CC
アメリカSouthern California大学のBehrokh Khoshnevis博士は、巨大な3Dプリンターを用いて一軒家を丸ごと出力することを目指すプロジェクト「Contour Crafting 」を進めている。災害時の仮設住宅や、発展途上国の住居問題の解決などが期待されている。
海中施設

出典: 清水建設
清水建設は、樹脂コンクリートと樹脂配筋を3Dプリントすることによって、海中に巨大な建造物を建設する深海未来都市構想「OCEAN SPIRAL」を発表した。地球表面の約70%を占める海を有効に活用し、 人類の持続可能な発展を目指している。
▼参照
OCEAN SPIRAL/シミズ・ドリーム-清水建設
月面基地

出典: ESA
欧州宇宙機関(ESA)は、月面基地を3Dプリントする技術を提唱している。通常の方法で、月面に基地を建設することは、大きなコストと危険を伴うが、ESAは、3Dプリントロボットを月に送り込み、月面の砂を用いて、短期間で基地を建設することを目指している。
▼参照
Building a lunar base with 3D printing / Space Engineering & Technology / Our Activities / ESA
医療分野
人工骨

出典: NEDO プレスリリース
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けたプロジェクトチームは、3Dプリンターで整形する人口骨を開発している。従来の人工骨と比べて、骨への癒合も早く、時間経過で自骨に変化するのが特長。2015年に実用化の予定。
▼参照
NEDO:3Dプリンターで成形する人工骨を薬事承認申請
筋電義手

出典: 電気通信大学 横井研究室
電気通信大学の横井教授の研究チームは、3Dプリンターで作製することができる筋電義手を開発した。義手は、個人に合わせた形状にすることができ、3Dプリンターで24時間で作製が可能となる。横井研究室発のベンチャー企業であるメルティンMMIが2015年中の製品化と臨床応用を目指している。
▼参照
電気通信大学 先端ロボティクスコース 横井・加藤研究室
人工心臓

出典: Wikipedia
Cardiovascular Innovation Institute のStuart Williams氏の研究チームは、心筋・血管・心臓弁などから構成される心臓をプリント可能な新しい3Dプリンターを開発している。生きた細胞を用いて、臓器を作ることができれば、再生医療の分野において、大きな進歩となる。
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Top photo credit: Makerbot Industries