“流通革命”~新たな覇者となるプレイヤーは誰か~G1経営者会議2014全文【前半】

WRITER : 野田 勝

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11月7日にG1経営者会議2014が行われた。その中で、株式会社三越伊勢丹ホールディングス、株式会社ローソン、ヤマト運輸株式会社の各代表が、流通業界の現状、課題、展望について意見を交わした。

EC市場の拡大、少子高齢化に伴う労働力の不足など、めまぐるしく市場が変化する時代の中で、小売業界の雄達はどう変化に適応していくのだろうか。

大西 洋氏

株式会社三越伊勢丹ホールディングス

代表取締役社長執行役員

玉塚 元一氏

株式会社ローソン 代表取締役社長

山内 雅喜氏

ヤマト運輸株式会社 代表取締役社長 社長執行役員

小澤 隆生氏(モデレーター)

ヤフー株式会社 執行役員 ショッピングカンパニー長

YJキャピタル株式会社 代表取締役

アスクル株式会社 社外取締役

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▼引用元

三越伊勢丹・大西氏×ローソン・玉塚氏×ヤマト運輸・山内氏×ヤフー・小澤氏 流通革命 ~新たな覇者となるプレイヤーは誰か~ (G1経営者会議2014) 

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流通のプロが捉える流通業界の現況とは?

小澤 隆生氏(以下小澤):本日のゴール地点としてはこの素晴らしい御三方が、今後の流通業界をどう見ているのか、会場の皆さんが、ああなるほど、という風に悟っていただければいいなと思っておりますし、その中から新しいビジネスを皆様方で何か思いついていただければいいなと思います。

私自身も、孫という者からインターネットの方から流通を考えろという指示を受けておりますので、今日は私自身も勉強させていただく立場でしっかりインタビューをしたいなと思っています。

拡大するEC市場への適応が急務

質問:流通業界の現況が三人にはどう見えているか?

大西 洋氏(以下大西):大西と申します、よろしくお願いいたします。現在日本のGDPの6割を消費が占めているのですが、その半分の140〜150兆が小売業の売上となっています。そして、その中で言うまでもなく伸びているのはECの世界で、その市場規模は13兆とか14兆と言われております。

アメリカを見ていると、日本でも3、4年以内に20兆、もしかしたら30兆くらいまで伸びる可能性があります。ですが、小売全体のパイが増える訳ではないので、その20兆分がリアル店舗の方からECへと流入していく訳です。

これに対して、私どものようにリアルな店舗で商売をしている者としましても、ECの方にシフトしていかなくては恐らく生き残ってはいけないな、と考えております。

ただ、100%ECの世界だけで商売が行われるということではありません。よくネットとリアルの融合ということを言われますが、言葉で言うのは簡単なのですが、これを具体的にどうやって実現していくのか、ということが課題となっております。

小澤:ありがとうございます。リアルからインターネットと言われておりますが、具体的な数値を示していただきました。ここ十年で小売業というのは、136兆から140兆のあたりで規模が横ばい、もしくは微減と言われております。

その中で、現状小売に対するEC化率というのが、3.7%から3.8%と言われておりますが、サービス業まで合わせると全体で約300兆の規模がありますので、9兆から10兆がEC化市場規模であると言われております。

小売業だけで、150兆のパイに対して20兆から30兆円、つまり最大20%くらいがここ数年でECになるというご発言でありました。それに対してこれから三越伊勢丹さんがどう対応していくのかというところは、後々聞いていきたいと思います。

ローソン玉塚氏が考える小売業界の3つの傾向とは

玉塚 元一氏(以下玉塚):玉塚と申します、よろしくお願いいたします。3つお話ししていきます。1つ目は、流通業の中の垣根がどんどんなくなっているなと思います。

例えばECもそうですし、我々コンビニですと、スーパーが取扱っているような商品も、どんどん取扱うようになっているし、一部の店舗ではクスリまで取扱うようになっています。

逆にドラッグストアは生鮮食品を売っているし、その比率はどんどん上がって来ています。様々な業態の垣根が無くなって来ていて、競争が激化しているというのが一つ目です。

2つ目は、現場で感じるのですが、二極化の流れがあるなということです。日本全体で高齢化の流れがあって、皆さん一度は質の高い経験をされていて、健康にも気を使われています。なので、どうせお金を払うのであれば理由があるもの、原産地が分かるもの、優れた機能があるもの、価値があるものにお金を払いたいと考えるわけです。

一方で、徹底的にコストにこだわる層がいます。しかしここで起きている現象は、だからといってディープディスカウンターの数字が伸びているわけではない、ということです。なので、質と価格のバランスを徹底的に追求していくことが大切です。

日本市場では、質を妥協して単純に安いだけでは認めてもらえないので、価値があり、機能がしっかりしているものと、価格が安いものの間の中途半端なところでは、利益を出していく構造を作っていくのは非常に難しいんじゃないかなと思います。

3つ目は、既に作り出している大きなチャレンジなのですが、小売業っていうのはヒトの商売なんですね。ローソンでも20万人ぐらいの人が働いている訳ですが、人手不足という問題がかなり深刻化してきています。

そこで、いかに生産性を上げていくかということになっていく訳ですが、私たちでいうと直営ビジネスではなくて99%加盟店ビジネスなんですね。

言い方が悪いのですが、ちょっと前までは、商売は加盟店で、本部はいい商品を作って、いいサービスを作って、という形だったんですが、今はもう僕らみたいな本部の人間自身が商売の方に踏み込んでいって、ICT活用して、物流のやり方も考え直して、デリバリーの頻度も考え直して、いろんなことの生産性を上げていきましょうという風になっているわけです。

日本のサービス業は生産性が低くて、実は足下の方から生産性を上げざるを得ないというような流れが起こってきているんです。その流れに対応できる業種だけが今後残っていけるのではないかなと考えています。

小澤:ありがとうございます。小売業としての垣根が無くなっていくというお話と、二極化が進んでいくというお話、それからリソースの話になると思うのですが、人手不足という現状をふまえて、どのようにして生産性を拡大していくのかという3つのお話でした。

垣根の話に関しては、小売って5年から10年の単位で割とプレイヤーが変わっていると聞いていまして、百貨店が強い時期があって、次第にスーパー、コンビニへと移って来て、それに合わせてドラッグストアが入ってくる、みたいなイメージですね。

この辺りは何故こういうゲームルールが変わってくるのでしょう。例えばECとかでしたら分かりやすいと思うのですが、この辺りの流れはどのようにして起きていると考えていらっしゃいますか?

玉塚:いろんな産業の方がいらっしゃると思いますが、僕らは別に凄い特許があるとか、凄い技術があるという訳でもなく、要はおにぎりお弁当を並べて、いらっしゃいませ、ってやっているんですね。

例えば、僕らは小型のお店で、大体40坪位のお店です。僕らがスーパーに限りなく近い形でやっていこうと言えば、やればいいじゃんと思いますよね?でも今まで染み付いた、いろんな成功体験などがあって、なかなかできない。

スーパーさんも、これからは小型で、近所型のお店が流行るだろうということで、小型店をやろうとするんだけれど、そんなに簡単には行かないんです。

そんな簡単にスーパーとドラッグストアがハイブリッド化できたり、我々コンビニがドラッグストアとハイブリッド化できるかっていったら、日々チャレンジはしているけれども、そんなに簡単ではないんですよね。

だけどチャレンジはいくらでも出来るんですよ。参入障壁的には低いので、仮説を立てて、やってみればいいわけですから。そして試していく中で、やはり高齢化だし、やはり近所型のおみせが良いし、ってことで狙うところが段々絞られて来ているっていう背景があるんじゃないでしょうかね。

小澤:個別具体的な話になって申し訳ないんですが、例えばナチュラルローソンさんとかは先ほどお話しされていた二極化の中でいう、質も求められていたとか、100円ショップを買収して展開されていたり、ローソンさんはかなりいろんな実験をされていると思うんですけれども、この中での手応えですとか、今お話しされた三つの中での位置づけとかを聞いてもいいでしょうか。

玉塚:絞り込め、というように投資家からはよく怒られるんですけれど、私たちの商売で正しい答えを見つけていくには、PCDAを高速で回していく中で、直接お客様に聞いてみたり、チャレンジの中で、あ、こういうことなんだ、っていう色々な発見があって、業態が進化していくっていう事が凄く大事なんです。

ナチュラルローソンにしても、今度仲間になっていただいた成城石井さんにしても、いくつかの業態があっていろんなチャレンジをしている中から、私たちの本来のブルーのローソンに生かされていくものがあるんです。そういうことを組織の中で常にぐるぐる回していくことが大切かなと思います。

小澤:相当な実験を今後もしていくということですね?

玉塚:絞り込みますけどね!

(会場笑い)

小澤:ではちょっと観点が変わりますが、ヤマト運輸さんは流通業をどのように捉えていますでしょうか?ヤマトさん自身も流通業に進出してくるんじゃないかというお話もありますが。

山内 雅喜氏(以下山内):ヤマト運輸山内です、よろしくお願いいたします。我々は物流というところから流通に携わらせて頂いているんですけれど、3つ挙げさせていただくと、1つは最近スピードがめっぽう速いですね。ECの世界が表に出始めてから、あっという間に年率二桁の勢いで伸びています。

でもまだEC化率は3.8%と欧米と比べると低いので、まだまだ拡大していくのは確実です。これには生活スタイルのシフトが影響してると思うんですね。

皆さんご存知のように、大量生産大量消費の時代から、どんどん個の時代になっていき、多様化、個性という風になっていきました。これに今一番対応できているのがECということなのだと思います。

私たちはそこを裏方で支える物流ではあるのですが、モノの流れの変化にいかにきちっと対応していくかが、我々としては非常に大きなテーマになっています。これからもこの分野はバーチャルとリアルの融合も含め、スピードは上がっていくのではないかと考えています。

2つ目は、個人のお客さんの要求水準がどんどん高まって来ているということです。我々であれば、二時間毎にお届けをしたり、不在であれば何度もお届けに参りますし、あるいはメールで事前に配達希望時間を確認したり、っていうこともやっています。宅急便が始まったときは、集荷した翌日に届いてびっくりしていたのに、今ではそれが当たり前になっています。

お客様に対する利便性をどんどん高めていっているんですが、それに対してお客様がすぐに慣れてしまい、普通になっていってしまうのです。

利便性に対する要求は非常に高まりつつあるし、日本のお客様は非常に敏感であるということが分かります。速さだけではいけないんですね。

自分の欲しいときに、欲しい場所で受け取れる。こういったことがこれから必要になってくるのだろうということで、これからひしひしとお客様のニーズの流れを感じているというのが2つ目です。

3つ目は、これから先労働力不足というのが、物流業界全体にとっての非常に大きな課題だと思っております。

日本のモノづくりが復活する、あるいは日本の小売がもっと進化を遂げるためにも、物流がしっかりと支えなければいけないと思うのですが、労働力不足にどう対応していくかというのは、流通業を支えていくという意味でも、非常に重要になってくると思います。

小澤:非常に変化が速く、個人の要望もどんどん厳しく、多様になっていき、なのに人手が不足していくという、日本社会を凝縮したようなお話でした。小売自体も、恐らく国民の数自体が減っていくわけですから、小さくなっていくであろうと思われます。

強烈なインバウンドとか、移民でも受け入れない限りは、恐らく減っていき、就業者人口が上がっていくということですね。そんな中で、物流は力仕事も多いですから、これをどう解決していくかということですね。

山内:多様化していくにあたって、例えば、大きいものは自宅に持って来て欲しいけれど、小さいものはコンビニで受け取りたい、というように、多様化が進んでくるということでしょうね。

小澤:多様化ですね。その辺りもう少し聞いていきたいなと思います。

多様化する顧客ニーズへの対応が、成功の鍵を握る

小澤:では、現況はこういった形です。では、それに対して、御三方がどう将来を見立てていて、どうやって手を打ってらっしゃるのか、というお話を聞いていきたいと思います。

ヤマトさんは既にリーディングカンパニーというか、物流業界のなかではシェアが50%近くになっています。今後EC市場がどんどん大きくなっていくことが予想され、ヤマトさんの役割も大きくなっていくでしょう。

そもそも今何故このようなポジションが築き上げられているのか、ということも含めて、将来的な見立てと、それに対する御社の対応を伺っていきたいと思います。

変化する時代の物流業界が直面する2つの課題

質問:現況を踏まえたうえで、三人は将来をどう見据えているのか。

山内:本来宅急便は、いかに個人のお客様にお届けするか、というところから始まって来たんですけれども、今では日本全国に網の目のように物流網を張り巡らせることが出来ました。

ECというのは、多様化によって、個人の欲しい物を、個人の欲しい時に購入するという形で、どんどん進化して来た形態だと思っています。私たちは荷物を出される方よりも、荷物を受け取られる方の利便性をいかに高めていくかが課題となっていて、これが結局モノを購入される方の使い勝手で、また買おうと思って貰えるようになるわけです。

お店で買うよりも、こういうものは自宅に持って来てもらえる方がいいんだ、という形になっていくことを考えると、受け取る人のストレスをいかに軽減していくかが、今後ECを中心とした新たな世界に利便性をもたらす部分ではないかと思っています。受け取る方の利便性を追求する為に、受け取る方の要望を個別に聞いていくようなITシステムを、お客さんとの連携で実現していきます。

私たちは今、クロネコメンバーズというサービスを提供していて、そのサービスには例えば、明日荷物を届けますが、午前中の配達で宜しいですか?という連絡を差し上げて、明日は夜にしてくれ、というメールが届けば、夜に伺うというように、ITとの連携を通して、受け取り手の利便性を追求していきたいと思います。

そうすることで世の中の変化に対する下支えも出来ると思っておりますし、今後ECを中心として個人消費がもっと膨らむといったことが可能になってくるだろうと考えています。

もう一つの課題、労働力という問題に関しては、私たちは主婦の方、高齢者の方、外国人労働者の方など、多様な労働力の方に働いていただけるような仕組みづくりを進めていきたいと考えています。

小澤:ヤマトさんはとにかく受取り手の利便性をいかに上げていくかということを重視されているのですね。時間指定を始めたのもヤマトさんが初めてだし、きめ細かい営業拠点を作られたのもヤマトさんですよね。

我々EC業界からすると、最後に商品をお客さんの元に運んでくれるのが物流です。ECは店員の介在しないサービスなので会社からすると、最後誰が運んでくれるかというのはとても重要だという声を聞きます。

実はECのクレームの1/3くらいが配送に関するものなんですね。それは我々としてはどうしようもないと。そこに関していうと、全社素晴らしいんですけれども、ヤマトさんの教育という面が、今後外国人労働者も含めて、機能してくると思います。

今恐らく顧客満足度はナンバーワンだと思うんですけれど、物流力だけでなく社員教育に関して、どのようにして作り上げられたのかお聞かせください。われわれEC業者からしますと、安心して使いたいなという所がありますので、よろしくお願いします。

山内:どういうマニュアルでどういう教育を行っているんですかってよく聞かれるんですけれども、実は大層なマニュアルはありません。きちっとした教育体制があるわけでもないんです。

私たちは全国4000箇所に店を出させていただいていますが、それぞれが小集団という小さな単位で仕事をさせていただいています。

結論から言うと、一人一人の従業員が、お客さんに喜んで貰うことが嬉しいと思えるかどうか、だと思っています。綺麗事に聞こえるかも知れませんが、お客さんに、ありがとう、助かったって言ってもらえるのが一番モチベーションになるんです。

お客様に喜んでもらうことが嬉しいという環境づくりを、なるべく小さい集団で行います。小さい集団でチームを作って、エリアを担当させると、一人一人の責任が重くなりますし、自分のお客様という意識ができます。私たちの言葉に「全員経営」という言葉があるんですが、お客様の前では全員が会社の代表として、どうしたらいいかを考えていこうという考え方で、一種のマニュアルのようなものになっております。

これが繰り返し行われることで、我が社では社員一人一人が良いサービスを提供させて頂くまでになったということです。

小澤:ありがとうございます。何かすごい秘訣があれば良かったんですけども。

(会場笑い)

やはり企業文化とは一朝一夕に築かれるものではなく、操業以来脈々と受け継がれて来たものであるということですね。

ではローソンの玉塚さん、今後の見立てとそれに対する対応という点に関してお聞かせください。ローソンさんは同じ業界にセブンイレブンさんというライバル、というか先行している会社があるということで、同じ業界に楽天という会社が存在します私としても、非常に気になるところでございます。

EC全盛時代に、顧客の利便性を高める3つのポイント

玉塚:少しECの話に絞ってお話しさせていただきたいと思います。私はECってとても狭義な言葉だなと思っておりまして、目指さないといけないのは、お客様に対する一番最適な受け渡しであったり、商品やサービスをどうやってお渡ししていくのかということだと思うんです。それが今後いろんな技術の発展とと共に多様化していくと思うんですね。

そこに対してローソンとしては、いろんな意味での多様性に応えるような、我々の持っている1万2千店舗の資産をフル活用して、極めてオープンなプラットフォームを作りまして、その中でお客様の利便性を高めていくということを考えています。

それには3つポイントがあると思っていて、1つ目がお客様とのインターフェース、2つ目がマーチャンダイジング、3つ目が物流だと思っています。

インターフェースに関しては、例えば地方で未だに分厚いカタログを読んで商品を買われている高齢者の方に、商品の説明をするのも大事なインターフェースですし。我々のお店にはロッピーっていう、いけてないマシンが置いてあるんですが、このロッピーも非常に大事なインターフェースです。このインターフェース自身もこれから多様化していくと思うんですね。

我々コンビニ業として今後大事になってくるのが、マーチャンダイジングで、ここが私たちの強みです。全国1万2千店舗で、3温度の体系です。冷凍、冷蔵、常温で1日に4回から5回も、2500台くらいのトラックが全国を回っているわけですよ。その中で我々の強みはやはり食であるし、やはりその温度帯の強みだったり、その辺のマーチャンダイジングだろうと。

でも自分たちの出来ない部分のマーチャンダイジングに関しては、私たちが適切に受け渡しのプラットフォームになって、お渡ししていくことを設計していきたいと考えています。

そして最後は物流ですね。というのも、既にやっていますが、三河屋さんのように、近所を回って、お水足りなくなりましたか?なんていう世界があるわけですね。どうやって今のコンビニの物流と、最終的にお客様のもとに届けるまでの物流に、我々なりのプラットフォームを活用してお届けできるかということです。

コストの勝負だし、サービスレベルの勝負だし、我々が出来る所はできるし、全く出来ないところは、他社にお願いするっていう所もあると思うんですよね。お客さんの多様性に対応するという点では、我々の持っている流通網というのは上手く活用すれば非常に大事な資産かなと思います。

小澤:ありがとうございます。今から作ろうと思っても急には作れるものではないという点で、1万2千店舗は強みですね。ECという観点から見ても、発注に利用するんだと。今まではカタログでやっていたけれども、Amazonの発注がローソンで出来て、受け取りもできるみたいなね。

つまり発注の場として、コンビニを考えていき、発注の幅を広げていくということですね。

玉塚:2つアプローチがありまして、一つは私たちの店舗を利用して、本当は夜の時間にピックアップしたいというお客様や、実は家に来てほしくないというお客様に対して、既にサービスを始めているんです。

しかし、色んな意味で利便性が悪く、先ほど言った、いけてないロッピー経由だったので、レジで直接取引が出来るようにシステムを変えました。何故これをやるかというと、大体一日平均50人くらいの方が、それを目的に店舗にやってくるんですけど、その中の約半分の人が一緒にからあげくンとかおにぎりだとかを買っていくんですね。

これは加盟店にとっては非常に重要なことです。アマゾンさんは何千万点というものすごいロングテールの商売をされていますし、カスタマーサービス第一主義ですからそういう点では学びもありましたし。例えば地方の小さな店舗でしたら入り口のところに売れ筋50位をボードに出しておいて、レジで買って3日後にとどくみたいなのをやりたいんですよね。

小澤:地域に入り込んでいるお店が在庫とか量に関わらず商売できるようになるというのは凄いことだと思いますね。特に高齢者の方のEC利用率はやはり低いです。

でも興味はあるというところに対して、どう対応していくかというところですね。シニアという話が出ましたが、今後シニア向けの業態とか、コンビニのシニア対応というところは今おっしゃられていたような受け取りのインターフェースを人が間に入ってやるのもありますし、これからの高齢化社会に対するローソンさんの対応はどうされていきますか?

玉塚:高齢者向けの客層拡大ということですが、ローソンの中心のお客様は10代20代の男性でして、タバコと缶コーヒー、そしてからあげクン。こういった代表的なところからいかに商材を強化して、どうしたらシニアのお客様に来やすくなってもらうかということで、色々対応はしているんですけれども、もっとスピードを上げないといけないなと思っております。

小澤:シニアローソンみたいなのが出来上がってくるわけですか?

玉塚:ローソンみたいなコンビニはマスの商売なので、立地によってターゲットも全然変わってきますし、そこは地域に根付いた商売をしないといけません。高齢者といっても今の60代70代と、昔のシニアではイメージが全然違いますから。

よくいうのは、高齢化と言われますが、彼らは全部で1600兆円の資産を持っていて、元気で、健康志向な高齢者なのでその辺を間違えてはいけないですね。なので悲観的に見てはいけない、これはオポチュニティなんだと。

小澤:これは重要な示唆ですね。シニアって言った瞬間、腰の曲がったおじいちゃんおじいちゃんを想像しますけれども、そんなのを発想してはいけないと。

では大西社長、百貨店というのは皆さんの憧れの場所として発展してきて、売り上げ8兆位の規模を誇っていた全盛期からすると、6兆くらいまで落ちて来ています。ECという話もありましたが、今後どんな風景が見えていて、どういった対応を考えていらっしゃるんですか?

おもてなしの精神が生み出す百貨店の優位性

大西:さっき垣根が無くなったっていうお話と、何故そうなったかっていうお話がありましたが、昔は百貨店は百貨店の、コンビニやその他の業態にはそれぞれ役割があったんですね。その中で、お客様は最後何か理由があって買う場所を決めるわけです。

例えば利便性っていう理由でしたら、ネットは利便性が高いですし、コンビニも近くにあれば便利ですと。心地よい環境の中で買い物をしたいっていうのがあるかもしれませんが、その点では百貨店は多少有利かもしれません。

あとはマーチャンダイジングって、商品の質と価格っていう要素があると思うんですが、質っていう面では、百貨店の商品の質が一番高くないといけない。これは原価率の問題なんです。商品のクオリティっていうのは原価で決まるので、これはSPAが一番いいわけですよ。百貨店っていうのはサプライチェーンがおかしな事になっていますんで、原価率は一番低いんですね。

大事なのは買って貰う空間やおもてなしだという事でやって来たんです。じゃあおもてなしは百貨店が一番かっていったら、今一番おもてなしがいいのはホテルとディズニーランドですよね。じゃあ結局百貨店の強みは何も無くなってしまったんですね。

そこで今当社が一生懸命取り組んでいるのはサプライチェーンに自分たちで入り込んで、自分たちで素材を見て、自分たちで商品を作り、自分たちで売り切っていく仕組みを作ることです。SPAをやるっていうわけではないんですが、SPAに近い事を行っていかないと生き残っていけないという風に感じています。

おもてなしに関してもディズニーランドやホテルのクオリティを目指してやっていきますが、日本のサービス産業の生産効率っていうのは欧米と比べてものすごく低くて、店頭で一日販売をするっていうのはものすごくきつい事なんです。そこで販売を行っていく人たちのモチベーションを高める為に今までになかった人事制度を取り入れる必要があると感じています。

コミッション制度を導入して、一番優秀な販売委員は役員や常務より多くのお金をもらっていいと思うんですね。それによって最高のもおもてなしをお客さんに提供できるようにならないと、絶対生き残れないという事です。チャネルとしてはネットがありますが、利便性に優位性があります。そのコンテンツの中で、今まで百貨店が培って来たノウハウの部分が多少生かせるかなと思います。

小澤:ホテルディズニーランドに対する、百貨店のおもてなしの優位性の相対的な低下というのがありますが、どうしてそうなってしまったのかという事と、店員さんの質という面で、コミッション制度以外に何か考えていらっしゃいますか?

今後流通業を支えていく人材が減ってしまうのではないかと思うのですが、その中でトップにいる伊勢丹さんがどういう教育をされて、どういう人材を求めるのかという事と、若い人のリクルーティングが厳しくなって来ていると思うんですが、その辺りもう少しお聞かせ願えますか?

大西:販売は一日立って仕事をして、自分の都合で仕事ができないんです。お客様に満足していただくのがミッションなので、どんな体調が悪くても、お客様の前では最高の笑顔で接しなければならない。

その割には労働条件が良くないんですね。最高の労働条件で働いてもらわなければ、最高のおもてなしは出来ないので、目先の売り上げは落ちるけれども、営業時間を短くしましたし、定休日を増やす事で、働きやすさが改善されて、モチベーションは上がって来ていると思います。

あとは、店頭で1億や2億売る人っているんですね、それなのにコミッションがないというのは絶対良くないので、そこにはインセンティブをちゃんと付加していくことで、フルタイマーや正社員の根本的な人事制度を変えて、販売が命なのだということを示していく必要があると思います。

小澤:リーディングカンパニーとしての危機感が感じられますね。恐らくバイヤーさんの価値が、ネットで売ろうが店舗で売ろうが、1つは鍵になると思って宜しいでしょうか。

大西:全くその通りだと思いますね。最後商品をお買い上げいただくときにモノの価値っていうのは、ネットで買おうと店舗で買おうと、最後はバイヤーの価値だと思いますので。

 

後半に続く

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