イギリスの大手マーケティング会社であるTNSの最新の発表によるとスマートフォンは「ショールーミング」を減少させる有効な手段になりうるという。
ショールーミングとは、店舗を訪れた消費者が商品を確認するも、その場で購入せず、インターネットを利用するなどして別の場所で買ってしまう行為を指す。
これは実店舗を運営しているビジネスにとっては頭の痛い問題であり、TNSの調べによると、実際に3分の1の消費者が”ショールーミング”をしていると認めた。
近年、スマートフォンの普及と共によりいっそうの脅威になってきたEC業界を相手に、国内の大手小売業は熾烈な戦いへの準備を着々と進めている。
「価格で勝負」国内家電量販店のショールーミング対策
国内家電量販店の最大手であるヤマダ電機もその危機を身を持って感じている1人だ。
「真っ向から価格で戦っていけばいい。ネットの価格がこうならヤマダの価格はこれです、とお客様に判断していただければいいと思う。」
ショールーミングの脅威に対して、ヤマダ電機の戦略はひとつ。価格で勝負すること。
その背景には、仕入れ価格を抑えるだけでなく、POSシステムをはじめとするITを活用した、ローコスト経営がある。
山田社長は業界で最も早期にPOSシステムによる販売管理の機械化を導入した人物である。また、同社の飯塚副社長もエンジニア出身で2年前まで自身も開発に携わっており、ITに精通している。
現在のヤマダ電機のシステムは開発チーム5~6名、運用チーム10名で売上2兆円規模のインフラを支えているというのだから驚きだ。
同社の営業利益率は4.85%と業界でダントツのトップであり、2位のエディオンの4倍近い数字を叩きだしている。
小売店鋪にとって、スマートフォンは敵なのか?
ヤマダ電機の取り組みは、小売店がEC業界と戦う為の一つの戦略だが、留意したいのは、スマートフォンは実店舗を殺しかねない凶器であると同時に、消費者と店舗が相互にコミュニケーションを取ることを可能とする魔法のデバイスでもある。
実際には、店舗に訪れその場で一番安く商品を買える店を検索するためにスマートフォンを利用している消費者もいれば、店舗で利用できるオンラインクーポンの取得に利用している消費者もいる。
また、TNSの調査の結果では10人に1人の消費者がスマートフォンなどのデバイスで、店舗案内や商品について質問できる”バーチャル・セールアシスタント”に興味があると答えた。これは商品の購入を考えている消費者に対して大きな後押しとなる可能性がある。
”消費者は、購入する前にその商品を実際に見てみたいと思っている。現状、店舗でなく他で購入するということは赤字製造所になっているというわけだが、それを脅威とみなすだけではなく、手ぶらで消費者を出さないための最も即効性があり、かつ消費者個人にマッチしたアプローチ方法を見出すべき。”
とフロガット氏は語っている。
近年、急速に普及しつつあるオンラインとオフラインをつなぐ、O2Oという概念が小売店生き残りの鍵となるのは明らかである。
■出典:
TNS「Mobile Life」(http://www.tnsglobal.com/2013/mobile-life)
東洋経済オンライン「打倒アマゾン!ヤマダ電機、気迫のO2O」(http://toyokeizai.net/articles/-/12947)