※Arch for Startupより寄稿
私達A4Sが拠点を置くワシントン州シアトル市。この都市はスターバックスに代表されるコーヒーショップや、MicrosoftやAmazonといった大企業が本社を置くことでも有名である。それと同時に、シアトルは健康管理に敏感で頻繁に運動をする人々、いわゆるヘルスコンシャス(健康志向者)やエココンシャス(環境志向者)と呼ばれる人々が、多く集まる街としても有名なのだ。
最近こうした健康志向の高い人々の中で密かにブームとなっているものがある。それは、ウェアラブルだ。日々健康を求めて運動をするシアトルの人々は、ウェアラブルを身につけてデータを集め、効果的に運動をするために活用している。そしてシアトルでは最近、健康志向な文化と、スタートアップが生まれやすい土壌が掛け合わさって、新たなウェアラブル製品が登場してきている。今回は、その中でも特に注目すべきウェアラブル開発を行うスタートアップ3社を紹介したい。
スマホを見る回数を減らしてくれるリストバンド「UnoNoteband」
引用元: http://www.geekwire.com/2014/uno-noteband-mark-long/
ビデオゲーム業界で20年以上働いた経験を持つ、シリアルアントレプレナーのMarkLong氏が立ち上げた、シアトルを拠点とするスタートアップUnoは「UnoNoteband」というリストバンド型の製品を開発した。この製品は、人々が1日でスマホを見る回数が多過ぎるという問題意識から生み出されたものだ。現在Unoは、資金調達を行うためにIndiegogoというサイトでクラウドファンディングを行っている。
「UnoNoteband」は、ユーザーのスマホと連動させて使用する。電話、Eメール、カレンダーのリマインダー、Facebook、Twitterなどから届くメッセージを同デバイス上で一元管理し、リストバンドに搭載したディスプレイに表示することで、スマホを取り出す手間を減らしてくれる。また、「UnoNoteband」は、AppleHealth,やGoogleFitといったヘルスケアアプリはもちろんのこと、ウェアラブルではほとんど前例がないXboxLiveやSTEAMといったゲーム機器とも連携できる。
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また、同製品は「Spritz」という新技術を取り入れている。「Spritz」とは、ユーザーが視線をまったく動かすことなく、表示される文字を読み進めることができる技術であり、結果として、速いスピードで文字を読むことができる。このウェアラブルには、このような新たな試みがたくさん詰まっている。
格安で使えるリストバンド型ウェアラブル「PivotalTracker1」
引用: http://www.pivotalliving.com/#!device/c1sre
シアトルに拠点を置くスタートアップPivotalLivingは、昨年リストバンド型ウェアラブル「PivotalTracker1」の提供を開始した。このウェアラブルは健康志向の高いユーザーを対象にしており、モバイルアプリと連携することで、歩数、消費カロリー、睡眠の質、適切な水分摂取量などを測定してくれる。それだけでなく、アプリを通じて他のユーザーとデータの共有ができたり、共同で運動目標の設定をすることもできる。
そして何よりも注目すべきなのはその価格だ。ウェアラブル自体はなんと無料であり、アプリの継続的使用のために1年に12ドルを払うだけでよいのだ。
元Microsoftで、現在Pivotal LivingのCEOを務める David Donovick氏は次のように語る。
「このウェアラブルは無料の健康測定器である。機能が複雑すぎず、値段が高すぎないこと、これらは顧客にとってはとても大切なことだ。」
PivotalLivingは、今後携帯電話のように定額制のウェアラブルサービスが普及する可能性を示唆している。
ランニングフォームを矯正するスマート靴下「SensoriaFitnessBundle」
引用:http://store.sensoriafitness.com/sensoria-fitness-smart-socks
シアトル近郊レッドモンドに拠点を置くSensoriaは、ユーザーのランニングフォームを矯正するスマートソックス「SensoriaFitnessBundle」を開発した。ランニングフォームを改善し、正しいフォームで走ることで、ランナーの足にかかる負担は軽減され、怪我を防ぐことができる。同社が開発した靴下は、一言でいえば“布の回路基板”だ。靴下の足裏部分3か所にセンサーが埋め込まれており、各センサーにかかる圧力を計測する。取得されたデータは伝導性の高い繊維を伝って、「SensoriaAnklet」と呼ばれる足首に装着する情報通信型デバイスに集積される。そしてアンクレットからBluetoothを通じてユーザーのスマホにデータが送られ、モバイルアプリ上で分析結果を見ることができる。
引用:http://www.sensoriafitness.com/Technology
アプリでは、足の着地時の圧力、地面に接している時間、歩調をモニターすることができる。また、足裏の圧力ヒートマップが参照できるほか、ランニング中は歩調調整に有効なメトロノーム音と、音声アドバイスを聞くことが可能だ。音声アドバイス、いわゆるバーチャルコーチは、音声アドバイスによってユーザーのモチベーションを維持するだけでなく、ユーザーの歩調が事前に登録した設定値から外れた際にアラートを出すことで、ランニングをサポートする。その結果、ユーザーは毎分理想のランニングステップを維持することができる。
また、リアルタイムでユーザーのランニングをモニターできるだけでなく、集積したランニングデータを分析して、ユーザーに合う靴をお勧めしてくれる機能も搭載している。バーチャルシューズクローゼットには7千足以上の靴が登録されており、靴の種類によってユーザーのパフォーマンスがどう改善されるかを確認することもできる。
同社のスマートソックスを履けば、足の着地テクニックと歩調をリアルタイムで改善しながらランニングすることができる。このウェアラブルはアマチュアランナーだけでなく、マラソン選手などのプロフェッショナル達にとっても役に立つだろう。
▼参照
http://www.sensoriafitness.com/Technology
ウェアラブルが身近な存在になりつつあるシアトル
上記のようなウェアラブルスタートアップが続々と生まれているシアトル。最近ではシアトルを本拠地とし、以前イチローが所属していたことでも有名な「シアトルマリナーズ」が、遠征時の時差ボケを無くすために、Readibandと呼ばれるウェアラブルを使い始めた。日本では未だにウェアラブルは身近なものとはいえない。しかしアメリカでは、ウェアラブルは最先端のテクノロジーではありながらも、確実に生活の一部となってきている。シアトル発のウェアラブルに今後ますます期待が高まる。
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※「Arch for Startup」より寄稿
Arch for Startup
クラウドコンピューティング分野で世界一と言われるシアトルを拠点にクラウド関連やスタートアップ情報を発信。
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