2014年はデジタルマーケティング市場において、非常に重要な年であった。消費者の購買行動や販売チャネルが多様化し、企業やブランドがその対応のために多様なマーケティング戦略を練る必要が生じたからである。
そうした背景の中、2015年のデジタルマーケティングにはどのような傾向があるのだろうか。今回はeBayにより発表された話をもとに、2015年に知っておくべき4つのトレンドについて追っていきたい。
▼参照
What does 2015 have in store for retail marketing?
1.優先度を選別するアプリケーション
元記事には Sophisticated triage applications として取り上げられているが、sophisticatedは「洗練された」、triageには「災害時などに救助の優先順位をつけること」という意味合いがある。優先度を選別できるような機能を持ち、かつコンテンツとして優れているアプリケーションのことを指すのだろう。
この代表例として考えられているのが、先日リリースされた新しGmailサービス「Inbox」である。Inboxの詳細については、こちらの動画(英語)や記事を参考にしていただきたい。
▼参考
GoogleのGmailチーム、新メールアプリInboxを招待制で公開
Inboxの特徴として、ユーザーがメールの優先度を選別しやすくなったことで、単なるプロモーションのメールを読み飛ばしやすくなったことがあげられる。一方で、優れたコンテンツを作れば、エンゲージメントの高いユーザーに広告を配信することが可能になると考えられる。
この傾向はInboxに限らず、他のデジタルマーケティング領域に共通していえることだ。
特に今後のインターネット広告は、広告とわかりにくいネイティブ広告か、コンテンツが優れているために、広告とわかっていてもユーザーを巻き込むことの出来るリッチな広告の二極化が進んでいく。
2.画面サイズのファブレット化
引用:There’s a Whole New Way to Buy Yourself an iPhone 6
「ファブレット」という言葉をご存知だろうか?ファブレットとは、”Phone”と”Tablet”を掛けあわせた言葉で、画面のサイズがスマホとタブレットの中間の製品のことを指す。具体的には2014年に発売された、iPhone6 plusなどを指す。
画面サイズの大きいスマートフォンという位置づけで販売されていることが多いが、eBayの調査によると、ファブレットユーザーはスマホユーザーに比べて、セッションあたりの端末使用時間が長い傾向にある。また画面の拡大により、動画やインタラクティブなコンテンツとの相性が良くなり、先程も述べたような、コンテンツとして優れた広告やマーケティングがより注目されるようになるだろう。
さらにファブレットは、画面の操作性が高いため、ECサイトでの購買率もスマホに比べて高いというデータが導き出されている。
3.集合知
ここでいう集合知は、非特定の個人のデータの集まり、という意味合いで説明されている。ユーザーはブランドや小売業者にデータを取られることに慣れてきているため、最近では非特定の個人データが蓄積され、様々なマーケティングキャンペーンに活用されている。リスティング広告やBeaconのサービスでも、データの集合知をもとに最適化が行われている。
また「集合知」という概念は、同じく流行ワードである「パーソナライゼーション(個別最適化)」とプライバシーの問題の中間で生み出されたものとも考えられる。
4.ウェアラブルデバイス
引用:Here come the Apple Watch apps
2015年はなんといってもApple Watchの発売が注目されている。3月末にも発売されるのではとの憶測も飛び交っている。このApple Watch発売が火付け役となり、世界的にウェアラブル端末が盛り上がりを見せると予想されている。日本ではGoogle Glassの発売も見送られ、やや市場の動きが遅れているが、Apple Watchの発売を機に市場が盛り上がることが予想される。マーケターはそのようなトレンドを予測し、対策することが必須である。
すでにスマートウォッチがモバイル決済と連動する動きも活発化している。POSデータとウェアラブルデバイスを連携して、顧客とのエンゲージメントを高める施策が、今後は必要になってくる。
▼関連記事
最後は優れたコンテンツだけが生き残る
今回は4つのトレンドからデジタルマーケティングの展望についてまとめてきた。ここで言えるのは、ユーザーの広告やマーケティングに対する感度が年々高くなってきており、マーケターは顧客に対し、より有益で記憶に残るようなコンテンツを顧客に提供する必要がある。
その手段として、「トリアージ」なアプリケーションや、「ファブレット化」した端末、「集合知」としてのデータ、「ウェアラブル」なデバイスが存在しているのであろう。2015年のデジタルマーケティング市場では、こうした最新テクノロジーを活かしながら、優良なコンテンツを提供しつづけるプレーヤーが勝者となるに違いない。