IoT時代を制するのは誰だ? IoTプラットフォームを開発する巨大グローバル企業にせまる

WRITER : 野田 勝

  IoT

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

近年IoT市場の成長が著しい。シスコの試算によると、2020年までに500億個のデバイスがインターネットに接続されるようになるという。また、IDC Japan株式会社の発表によれば、世界のIoT市場は2020年までに3兆400億ドル(約360兆円)まで拡大するという。

IoTの世界では、家電が相互に繋がるスマートホームや、車がインターネットに接続されるコネクティド・カーなどが注目を集めている。また、家電や車だけでなく、生体内データを取得するウェアラブルデバイスや、室内外に設置されたセンサー機器など、ありとあらゆるものがインターネットに接続される。

そんな中、GoogleやMicrosoft、Intelなどの巨大グローバル企業が、先を争ってIoTプラットフォームの開発に取り組んでいる。

▼参照

Internet of Things で新たな製品や収益機会をつかむ

IoTプラットフォームとは

IoTプラットフォームは、その機能から2種類に分類される。1つは各種IoTのセンサーデバイスからデータを集めて集約し、ハブとして機能するプラットフォームである。そしてもう1つは、従来のPCやスマートフォン向けのオペレーティングシステム(OS)ではなく、IoTのような比較的低スペックなデバイスで、十分な性能を発揮するOSのことを指す。

膨大な数のIoTデバイスのハブとして機能するIoTプラットフォーム

1 (4)

引用:Sierra Wireless and open source IoT development

IoTデバイスが増加してくると、各種デバイスが収集したデータを一元管理するハブが必要となってくる。デバイス同士の物理的な距離が離れていると、デバイス同士で直接コミュニケーションを取ることができないため、収集したデータをインターネットを介してハブとなるプラットフォームに送信し、ハブを介してデバイス同士が協調動作する仕組みが必要となる。

例えば、温度計や湿度計といったセンサー系デバイスから収集されたデータや、ユーザーのスマートフォンのGPSによる位置情報を、すべて一旦ハブとなるプラットフォームに集結させる。

そして、プラットフォームからスマートエアコンなどの家電に情報を送信することで、デバイス同士が連動して、ユーザーが帰路につく頃には、部屋を自動で快適な温度、湿度に調節しておく、などのケースが想定される。

また、各種IoTデバイスから収集されたデータを一カ所に集めることで、データ分析が行いやすくなるメリットがある。

例えば、各スマート家電を1つのプラットフォーム上で管理していれば、どの家電がどれだけ電力を消費しているかなども同一プラットフォーム上で分析でき、どこで電力の無駄が発生しているのかも可視化できる。

GoogleやMicrosoftが開発に取り組むIoT向けOS

上記の例とは別に、IoTデバイス向けのOSもIoTプラットフォームに含まれる。IoTデバイスは、PCやスマートフォンと比べて単純な機能を備えていればよいケースが多いため、PCやスマートフォン向けのOSではオーバースペックである。そこで、後述するGoogleやMicrosoftなどは、IoTデバイスの開発に特化したOSを開発している。余分なスペックを搭載していない、IoTに特化したOSを使用することで開発のコストが抑えられるだけでなく、開発にかかる時間も大幅に短縮することが出来る。

巨大グローバル企業がIoTプラットフォームの開発に取り組む

前述のGoogleやMicrosoftの他にも、IntelやYahoo!といった巨大企業が先を争ってIoTプラットフォームの開発に乗り出している。以下に各社の開発するIoTプラットフォームの概要を紹介する。

GoogleがIoT向けプラットフォーム「Project Brillo」を発表

図1 引用:Android M, Google Photos and Google Cardboard rule the day

今年5月28日に、開発者会議Google I/O 2015において、GoogleのIoT向けOS「Project Brillo」が発表された。「Project Brillo」は、AndroidをIoTデバイスのような低性能なデバイス上でも稼働するように洗練させたOSである。

Googleは2014年にスマートサーモスタッドを開発するNest社を買収しており、今回の「Project Brillo」の開発はNestのチームが主導して行っている。

また、Googleは同イベント内で、IoT向けの通信プロトコル「Weave」も発表した。「Weave」は、クロスプラットフォーム仕様であり、Androidだけでなく、iOSプラットフォームにも対応している。従って、「Project Brillo」はiOS向けに作られたIoTデバイスとも互換性を持たせることが出来る。

Googleは、同プラットフォーム及びプロトコルの普及により、IoT業界の標準規格を狙っているものと見られる。

▼参照

Google announces Brillo, an operating system for the Internet of Things

MicrosoftはWindows10と「Azure」を組み合わせたIoT戦略を展開

3 (3)

引用:Microsoft

Microsoftは、Windows10をIoT環境に対応したバーションでも展開する予定である。これはGoogleであればPC用のChromeOSとモバイルデバイス用のAndroidOSで分かれているのに対し、PCでもモバイル、そしてIoTデバイスでも共通のWindowsOSを使用するという点で特徴的である。

また、Windows10 IoTなどのデバイスから収集したデータを処理する為のクラウドプラットフォームである「Azure IoT Suite」も年内にプレビューする予定だ。「Azure IoT Suite」は、接続されたデバイスから送信されてくる膨大なデータを処理し、分析することができる。

IoTは、莫大な数のデバイスから送られてくるデータを、素早く処理することが求められる。「Azure IoT Suite」は、一秒間に数百万件のデータが送信されてきても、それを処理するだけのリソースを確保することが出来るため、膨大なデータをリアルタイムで分析し、未来予測を行うことが可能である。

▼参考

Microsoft Cloud Platform

Intelはセキュリティやクラウドを含む包括的なIoTプラットフォームを提供

4 (3)

引用:Intel

Intelは、末端のIoTデバイスやセンサリング機器、更には各デバイスから収集したデータを分析するアナリティクスサービス、全体に渡るセキュリティソリューションまでを包括するIoTプラットフォームの実装モデルを昨年12月に発表している。

IoTデバイスの開発には、各種デバイスの接続やセキュリティ面に課題があった。インテルはその課題を解決する包括的なプラットフォームを提供する。

▼参考

Internet of Things World 2015 でのインテル

Yahoo!はIoT事業者向けにバックエンドサービスを提供

5 (2)

引用:ヤフーIoT

Yahoo!は昨年12月に、IoT事業者向けに、ユーザーの登録や管理、データ保管といったバックエンド環境をサービスとして提供していくことを発表した。IoT製品のハードウェア事業者は、Yahoo!JAPANのサービスを含む各種サービスのAPIを利用でき、製品とウェブサービスを連携させることができる。

例えば、Yahoo!天気とアラームを連携させ、その日の天気が雨ならば30分早めにアラームを鳴らすといったことが可能になる。バックエンドの部分をYahoo!がプラットフォームとして提供することで、IoT事業者はプロダクトの開発に集中することが出来るようになる。

▼参考

ヤフーがIoT領域に参入――2015年春に“IoT向けのBaaS”を提供

IoTプラットフォームの普及でIoTデバイスの開発は加速する

IoTに特化した開発プラットフォームの登場により、より簡単でスピーディにIoTデバイスを開発できるようになり、より多くの開発者により、多様なIoTデバイスが開発されていく。その結果、私たちの生活は更に便利で、豊かになっていく。今後のIoTの広がりに是非期待したい。

▼関連記事

【連載企画】全世界的な広がりを見せるIoTの全貌に迫る

【連載企画】スマホで家を操作する!IoTによって実現する「スマートホーム」とは

SONYの若手チームが個人で作れるIoTキット「MESH」を開発

IoT時代の高性能シングルボードコンピュータ「RaspberryPi 2 ModelB」

IoTの「いま」がわかる、世界が注目のスタートアップ10社まとめ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

各種お問い合わせはこちらから

  • マーケティング資料請求
  • お問い合わせ
  • 会社資料請求

あなたにオススメの記事

  • 人工知能の全貌に迫る!人工知能の活用事例10選

  • 今、数々のファッションブランドが飲食業界への参入を急ぐ理由

  • シリコンバレーの大企業が注目するグラフデータベースとは?その魅力に迫る!

  • どうなる3Dプリント業界? "幻滅期"を抜け出すカギはどこにあるのか

  • 【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

  • 【連載企画】いま、ファッション業界でIT革命が起きている

  • シリコンバレーの天才達が土日も休まず働く理由

  • もし桃太郎が現代のWebマーケティングで鬼退治をしたら