近年IoTへの注目度が高まってきていることは、すでにおわかりであるかと思う。海外では2014年11月までの過去1年に、ベンチャーキャピタルが97回のラウンドで3億ドルをIoTスタートアップに投資している。家庭や自動車、オフィスにイノベーションを起こそうとするIoTのスタートアップが、何百万ドル単位の資金調達に成功する例が相次いでいる。
今回はIoT関連の企業が多額の資金調達に成功している背景について説明すると同時に、今後の展望についても述べたい。
海外事例に見るIoT企業の急成長の背景には、IoTの注目度の高まりがある
引用:engadget.com
アメリカのベンチャーキャピタルは最近、IoT企業、特にホームオートメーションやホームセキュリティーの分野への投資を頻繁に行っている。海外では、GoogleのNest買収やSamsungのSmartThings買収といった大型買収が行われており、ベンチャーキャピタルはIoTの家庭への応用に、非常に高い関心を寄せている。
また、パーソナル・モビリティの「Whill」やワイヤレス充電の「uBeam」といったスタートアップが何百万ドル単位の資金調達に成功している。
Galvanize VenturesのNick Wymanは、IoT企業での巨額な資金調達が急増している背景について、IoT市場の将来性が最も大きな要因であるとのことだ。この背景には、近年注目を集めている、ビッグデータの取得と利用や、スマート・ホーム、ホーム・セキュリティーなどにおいて、いずれもIoTが中心的な役割を果たすという事実がある。
eCozyのスマート温度調節器やLedmotiveのスマート照明器具、室内ガーデニングなど、様々な家庭用のデバイスがIoT化していることからも、今後はIoTがますます一般家庭に広まり、市場が拡大していくことが想像できる。
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ベンチャーキャピタル、IoT(モノのインターネット)に狙いを定める―過去1年で投資3億ドルに急増
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将来性が期待されるIoT、日本ではどう活用されていくのか
日本社会では、IoTの普及によって、高齢者市場の主軸となっている看護・医療業界が激変する可能性がある。それによって、日本の社会保障問題の一部が解決されるとも考えられている。
現在、7割以上の高齢者が病院で息を引き取る一方で、ほとんど同じ割合の高齢者が在宅治療を望んでいるという現実がある。IoTの普及が、安全に在宅治療を行うことのできる環境をつくり、日本の社会保障問題が解決に向かう可能性がある。
すでに、被介護者の健康状態や位置情報をいつでも確認できる「Amulyte」や、被介護者の睡眠時間や起床時間を確認できる「安心ひつじ」が注目を集めている。日本社会の高齢化が年々進行していく中で、高齢者の活動を遠隔から見守るサービスの需要は今後高まっていくだろう。
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いまだ不透明なIoT市場、今後IoTへの投資はどう変化するのか
引用:qtooth.com
家庭のスマート化によって、デバイスの端末や種類が増える中で、プラットフォームのような存在の重要性が高まっている。
しかし、未だホームオートメーション・プラットフォームが最終的にどのような形を取るのか見えておらず、IoTエコシステムは不透明なのが現状だ。市場の先行きへの不透明感のために、投資家は大型の投資を控える傾向すら出てきている。
投資家はIoT市場において、優位なプレーヤーが決まるまで、あまり大きなリスクを取りたくないのであろう。
こうした中でIBMは、今年の4月に今後4年間で30億ドルを、IoT事業へ投資することを発表した。IoT事業ではビジネスパートナーとなりうる大手企業との良好な関係の広がりが、成功の決め手になると考えられてきた。
企業や投資家の間で互いの技術や資本を活かしながら、商品開発や事業活動を行うことが必要とされているからである。
今後大手企業とベンダーがこのような関係を持つことで、大型の投資がさらに増えていくだろう。
さらに、IoTで収集されるデータは今後劇的に増加していく。それに伴い、IoTで収集されたデータの処理や分析にビジネスチャンスが生まれることが予想される。
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