【連載企画】未来の教育を先駆ける!品川女子学院のEdTech事例

WRITER : 楠瀬 朝子

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「教育×テクノロジー」連載企画の第1回では、RISU Japan株式会社の描く、未来の教育について紹介した。

続いて第2回では、時代を先駆け、教育現場にITを活用する品川女子学院の事例を紹介する。

品川女子学院は、都内にある私立女子中高一貫校である。同校は教育にテクノロジーを取り入れた独自の教育方法で、注目を集めている。Life is Techが主催するEdu×Techイベントにおいて、同校の家庭科・情報科教員である酒井春名さんが「学校現場×IT」をテーマに講演を行った。

今回は、同講演で触れられた品川女子学院の先進的な取り組みを紹介し、学校教育の未来について考えたい。

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タブレットが可能にする21世紀型スキル

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引用:Edu×Tech

品川女子学院では昨年の4月から、高校2年生約200名を対象に1人1台タブレット端末を貸し出す試みをはじめた。こうした取り組みを通じ、今後学校で身に付けることが求められるのは「21世紀型スキル」だと、酒井氏は述べる。

「21世紀型スキル」とは、個人で情報を集め学習する「1人でやる」スキルと、他人と協力し、コミュニケーションを取り合いながら行動する「共にやる」の2種類に分類される。酒井氏は、この21世紀型スキルを身につけるのに、タブレット端末が一役を担っているという。

では具体的に品川女学院では、どのような取り組みが行われているのか。以下でいくつかの事例を紹介したい。

ー「1人でやる」:動画授業の活用

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引用:Edu×Tech

品川女子学院では、各教科の教員が授業の要点をまとめた動画を各自で作成し、生徒達のタブレットに配信する取り組みを行っている。授業の理解度が生徒により異なるのは、あたり前のことだ。

動画授業を使えば、生徒個人の理解度に応じて、分かる所は授業を早送りし、分からない所に注力して聞くことができるため、1人1人に合わせた学習が可能になる。

ー「共にやる」:Challenge Based learning

品川3

引用:Edu×Tech

Challenge Based Learning は、食料廃棄や女性の労働環境など、身の回りの課題に対するソリューションを、生徒達が考案し、実行する授業だ。

この授業に特徴的なのは、先生は質問をだすだけという点である。生徒達はタブレットを使って情報収集を行い、集めた情報をもとに話し合う。そして、集めた情報や、話し合ったことを資料にまとめ、グーグルドライブで共有する。

タブレット一台があればどんな情報も調べて集めることができるため、子ども達は酒井氏が教える以上のことを発見してくることもあるという。

自発的に新しいタブレットの使い方を発見するデジタルネイティブ世代

品川4

引用:Edu×Tech

この他に、イベントでは酒井氏がある生徒に行ったインタビュー映像も紹介された。

その学生は、体育のダンスの授業で、グループを仕切っていたダンスが得意な生徒が欠席した時に、タブレットを役立てたと言う。欠席した生徒が、タブレット経由でフォーメーションや練習スケジュールを共有することで、授業のリーダーがその場にいなくても、有効に授業時間を活用することができたようである。

また、模試対策の自習にもタブレットを活用した例もあげられている。模試の試験範囲を、学校の授業で習っていなかったとき、タブレット内の学習アプリを活用して自習し、模試に臨んだという。

注目すべきは、教師から指導を受けずとも、生徒達が様々な用途で、自発的にタブレットを使っているという点だ。多くの学校では、校内のスマホやタブレットの利用を禁止しているように、生徒がデジタル端末を使うことについて、世間ではネガティブな意見が多い。

だが品川女子学院の事例を見ていると、デジタル端末をいい方向に利用するのもまた、生徒達だということが分かるだろう。生まれた時から、デジタル端末があったデジタルネイティブ世代の彼らだからこそ、自然と教師の思いつかないような有効な用途を思いつくのかもしれない。

変わらない「共にやる」場としての、学校の役割

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引用:品川女子学院

紹介してきたように、テクノロジーの活用により、未来の教育は大きく変化していくことが考えられる。テクノロジーにより、生徒達は優秀な教員の授業を、ネットの動画から視聴することができるようになった。

そのうち知識習得には、海外の有名講師の動画授業で終わらせることができるような時代がくるかもしれない。そうなれば、もはや大人数の生徒に対し、1人の教員が一方的に授業を行う光景は見られなくなる。そうした変化に合わせて、学校の教員の役割も、既に基礎的な知識を持った生徒達の議論を誘導する役目に特化すると考えられる。

一方で、教育分野において変わらないものも存在する。それは学校の、仲間と「共にやる」場としての役割だ。周りの環境に感化されて、自分も行動を起こすといったことはよくあることだ。

酒井氏が述べるように、「共にやることによって、1人でやることを刺激するという相乗効果を生み出す」のである。学校が、同年代の子ども達が集まる場である以上、こうした学校の役割は、未来の教育がどのように形が変わったとしても重要になるはずだ。

「28歳になった時、社会を幸せにする人材を育む」

品川6

引用:Edu×Tech

教育にITを活用するだけでなく、過去に伊藤ハムやサンヨー食品など企業とのコラボレーションも活発に行ってきた品川女子学院。一連の取り組みの背景には、同校の教育目標「28プロジェクト」がある。

「28プロジェクト」とは、生徒達が28歳になった時に社会で活躍できる姿をつくることを目指すプロジェクトだ。高校生の彼女達が、28歳になるまで約10年。テクノロジーを活用した新しい教育を受けた彼女らは、その効果を証明してくれるだろうか。今後に期待がかかる。

次回は、連載企画「教育×テクノロジー」をテーマに「Life is Tech」の事例を紹介する。

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