【連載企画】どう解決する?医療の需要過多ーヘルスケアIoT事例ー

WRITER : 楠瀬 朝子

  IoT

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近年、比較的重い疾患にかかりやすい高齢者・慢性疾患患者の割合が増加し、医療の需要が伸びている。

内閣府の資料によれば、超高齢化社会へと突入した日本では、加齢とともに病気やケガを訴える人の割合は増加傾向にあり、2010年には、高齢者の半数近くにあたる47%の人が、自覚症状を覚えている。また、日本人の死亡原因をみると、戦後結核をはじめとした感染症による致死率が低下する一方で、がんや糖尿病などの慢性疾患の割合が6割を占めている。

IoT2引用:http://www.ijmrps.com/

一方で、それに見合った効率的な医療システムが整っておらず、需要過多の事態が生じている。これは、医療財源が限られていることや、地方において医療人口が不足していることが主な原因だ。

厚生労働省の調査によれば、国内の医療費は39兆2117億円と、GDPの約1割を占めている。また、2012年における日本の人口1000人に対する医師数は2.3人と、OECD(経済協力開発機構)平均の3.2人を下回っている。その他にも、病院間で電子カルテの共有ができていないといった、データ共有の非効率性も指摘されている。

個人の健康管理で疾患予防が求められる時代

IoT3

引用:http://www.pharmed-myanmar.com/

このように、医療の需要と供給の不一致が生じている中で、「疾患を事前に予防する」という考えがでてくる。

これまでの医療は、疾患になった後で、医療が関わるというのが一般的であったが、これからは、疾患になる前の段階に注目する。個人で健康管理を行い、疾患を予防することで、需要と供給のバランスを取り戻そう、というわけだ。

では、どのように「個人の健康管理で疾患を予防をする」のだろうか?そこで、一役を買うのがIoTである。以下では、「個人の健康管理による疾患予防」に的を絞り、IoTが何を可能にするのかを紹介したい。

日常的に生体内データを記録

IoTにより、人々は日常的に生体内データを取得し、自分の健康状態を可視化することができる。

IoT4

引用:https://www.indiegogo.com/projects/nozpad-world-s-first-health-burnout-tracker

 例えば、「FitBit」はブレスレット型のウェアラブルデバイスで、ユーザーの心拍数や消費カロリー、歩数などを計測できる。同デバイスは、最長5日間にわたりバッテリーを維持することが可能で、毎日の使用に適している。

▼参照

Fitbit charge HR

取得した生体内データを分析

IoTはただデータを取得するだけではない。データを分析し、客観的なアドバイスもくれる。

IoT5

引用:Iotヘルスケア

 例えば「Nozpad」は、呼吸を記録し、健康状態を管理することを目的としたメガネ型のデバイスだ。メガネを装着すると、連携したスマホやタブレットから、ユーザーの呼吸パターンの分析結果を確認できる。そして、健康状態の悪化につながる可能性がある時には、アラートが届く。

▼参照

Nozpad

データをもとに、家族・友人や医者とのコミュニケーションを可能に

IoTで、データの記録・分析を行うと、その結果を家族や友人、さらには医者と共有し、連絡を取り合うことも可能になる。

IoT6

引用:http://www.themalaymailonline.com/tech-gadgets/article/be-your-own-doctor-with-tiny-connected-medical-kit

例えば、「Clinicloud」は、スマホに接続して使えるデジタルの聴診器とタッチレスの体温計がセットになった在宅用のメディカルキットだ。両デバイスを用いて記録した平均体温や呼吸数、心拍数などのデータはクラウド上で共有が可能で、必要な時には医者の診断を受けることができる。

▼参照

Clinicloud

IoT7

引用:http://www.fastcodesign.com/3040660/

「Embrace」は、スマートウォッチ型のデバイスで、生体内データだけでなく喜びや悲しみといった感情を分析することができる。ユーザーの緊急時には、連携したスマホにアラートコールが届き、すぐに駆けつけることが可能だ。

▼参照

Embrace

IoTによる健康管理で、医療の需要過多を改善

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引用:http://www.aoms.nf.net/

IoTにより、医療の需要過多といった状況は改善され、医療側の負担は軽減される。

デバイスを通じて医者とのコミュニケーションを取りながら、個人が自主的に健康管理を行うことで、事前に疾患を防ぐことができるケースが増え、通院のコストも減る。また、個人で記録した生体内データを病院でも使えるようになれば、より効率的な診察・治療が可能になる。

さらに、副次的効果として、医療はもっとソーシャルなものになるかもしれない。

例えば、前述のように、IoTを通じて、家族や友人と健康状態を共有でき、突然の発作や発熱など、本当に必要な時に連絡を取ることが容易になる。また、医者と患者の間でも、気軽にコミュニケーションがとれるようになることで、両者はもっとフラットな関係になる。

このようにして、「健康管理」という問題意識のもとに、社会全体のつながりが色濃くなっていくのではないだろうか。

第一回: 【連載企画】全世界的な広がりを見せるIoTの全貌に迫る

第二回:【連載企画】スマホで家を操作する!IoTによって実現する「スマートホーム」とは

第三回:【連載企画】どう解決する?医療の需要過多ーヘルスケアIoT事例ー

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