100兆円市場!2025年にIoTは高齢者市場を支配する

WRITER : 留田 紫雲

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近年、社会保障費の増大が大きな社会問題となっている。

国立社会保障・人口問題研究所「平成23年度社会保障費用統計」によると、2000年と2014年を比較すると、国民所得がほぼ横ばいであるのに対し、医療費は11兆円増となっている。それによって、今後増え続けると予想される社会保障費を削減する試みが求められるようになった。

また、ピンチはチャンスとでも言うかのように、みずほ銀行は2025年の高齢者市場規模は、高齢者人口の増加を背景に100兆円規模に拡大する見通しだとしている。

この巨大な市場にいち早く進出するのはどの業界なのだろうか。近年注目を集めているIoT(Internet of things)は、高齢者市場の主軸となる医療、看護業界に大きな変革を与える可能性を持っている。

そこで今回は、医療、介護業界に今後どのようにしてIoTが関わっていくか考察していく。

参照▼

社会保障給付費の推移

高齢者向け市場 ~来るべき – みずほ銀行

増え続ける社会保障費を削減することは可能なのか

そもそも社会保障費が膨らんでいる原因はなんだろうか?

一つ目に急激な少子高齢化が挙げられる。総人口に対して高齢者が占める割合は年々上昇しており、内閣府によると2025年には30%を越すと推測されている。その結果、社会保障費の規模が増大している。

また、入院治療が多いことも一つの原因だ。現在、死亡者のおよそ3/4が病院で息をひきとると言われている。そのため医療施設を増やす必要性があり、膨大な資金を費やしている。

果たして、社会保障費の増加に終止符は打てるのだろうか。厚生労働省によると在宅治療を希望する高齢者の割合は7割を超えるという。つまり、安全に在宅治療ができる環境を生み出すことによって、高齢者のニーズを満たし、さらに流れ出る社会保障費を削減できるのである。

参照▼

在宅医療の体制構築に係る指針 – 厚生労働省

IoTが医療、介護業界に変革をもたらす

今後、医療の世界で活躍するであろう2つのIoT技術をご紹介する。

①Amulyte

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引用:Amulyte – An Emergency Response Device. Reimagined

「Amulyte」はDropbox、Airbnbへの投資で有名なアメリカの投資会社Y Combinatorの支援によって立ち上がった”救命ガジェット”である。

デバイスの中にセルラー無線(携帯電話などの無線通信を行う方式)、Wi-Fi、GPS、加速度計(物体の加速度を計測する機器)、そして全体をコントロールするマイコン(コンピュータシステムを1つの集積回路に組み込んだもの)を搭載しており、在宅中はもちろんのこと、外出時にも介護者や家族は、被介護者の活動レベルや位置情報などをいつでも知ることができるようになっている。

上記の写真にあるペンダントの真ん中にはHELPボタンが取り付けられており、ボタンを押すとあらかじめ登録されている連絡者全員に緊急情報が届くようになっている。また携帯電話のように、電話機能も備わっており、端末本体料金が149$、月間サポート費が29$で非常に価格が安いことも人気の要因の一つである。

②安心ひつじ

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引用:睡眠センサー「安心ひつじ」(Safety Sheep Sensor)

「安心ひつじ」は被介護者が何時に起きたか、何時間の睡眠をとったか、睡眠の状態は良かったかなど、ベッドの上での活動を介護者に知らせてくれるセンサーだ。

マットレスや敷き布団などの寝具の下にセンサーを敷いておくことで、検知したデータはインターネットを介してパソコンやタブレット、携帯電話などで時間や場所を問わず確認することが可能である。

睡眠時間、活動時間、バイタルサイン(血圧、脈拍数、呼吸速度、体温など)をモニターで把握することができるため、些細なデータの変化から病気になる兆候に気づき、予防することができる。

これらのサービスにより、介護士が遠隔で顧客にアドバイスしたり、本当に必要な時だけ自宅を訪ればよいので、人件費の大きな削減につながる。

今後IoTはどのように高齢者市場に普及するだろうか

ガートナーの試算では、2020年までに260億個のデバイスがインターネットに接続されるという。果たしてこの中で何個のデバイスが高齢者市場で活躍するのだろうか。また「Amulyte」のようなウェアラブルデバイスは高齢者市場に普及するのだろうか。

株式会社MM総研によると、ウェアラブル端末の日本における市場規模は2014 年度111 万台、2020年度に604万台に拡大すると予想されている。2014年度のスマホ出荷台数が2770万台だということを踏まえると、今スマホを使っている人の約21%に相当する人は、2020年にウェアラブルデバイスを利用することになる。そのうち何%のウェアラブルデバイスが高齢者に使われるかは定かではない。

KDDI株式会社の調べでは、1000万世帯のうち3割弱の約300万世帯が、見守りデバイスの利用意向があると算出しており、年々進行する高齢化から、高齢者の活動を遠隔から見守るサービスの需要は今後高まっていくだろう。

特に日本IoTメーカーにおいてこの市場を獲得できるか否かが今後世界的に大きな勝負の分け目となる。なぜなら、現在日本は世界でもっとも高齢化が進んだ国の一つであり、日本での高齢者向けビジネスが成功すれば先進国へのロールモデルとなりうるからだ。

つまり、2025年に全国民の30%を占めるこの巨大な高齢者市場を獲得することで、優位に海外展開を進める大きな鍵となるのである。

参照▼

将来推計人口でみる50年後の日本

スマートフォンユーザーの特徴(従来型携帯電話ユーザーとの比較)

スマートフォンの国内普及率は36.9% スマホ満足度はソフトバンクが4年連続1位、携帯電話を含めるとKDDI(au)が8年連続1位に!

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