近年、技術の発達を背景に、小売店舗は変革を迫られている。CSAが出したFour In-Store Trends Marketers Can’t Ignore in 2015 はその記事の中で、2015年の小売店鋪の4つのトレンドに言及している。小売店鋪は顧客に対して、これまでになかった購買体験を提供していくことが求められている。
そこで今回は上述の記事を参考に、マーケッターが知っておくべき、2015年の小売店舗におけるトレンドを4つご紹介する。
1:ソーシャルメディアと実店舗の融合
従来、ソーシャルメディアはブランド認知度を高める役割を果たし、実店舗は顧客が購買の最終決定を下す場所として、それぞれ一線を画し、異なるチャネルと見なされてきた。
しかし現在は、デジタルマーケティングの成長が著しく、その状況は変わってきている。IAB の調査によると、59%の小売店において、ソーシャルメディアと実店舗を統合するために投資をする動きがあるということが、明らかになっている。
例えば店舗で購買中の顧客が、気に入った服を試着した様子をソーシャルメディアでシェアし、その反響が商品の購入を後押しするといったようなソーシャルメディアの活用事例が増加していくと予想される。
オムニチャネル元年と呼ばれた2014年が過ぎ去り、2015年が到来した。オムニチャネルの更なるステップアップが期待される本年は、ソーシャルメディアと実店舗の融合が加速することで、顧客が商品に興味を持ち、最終的に購入に至るまでのプロセスは更に多様化、複雑化していくはずだ。
2:店舗内で臨場感のあるデジタル体験を提供
iBeacon、RFID(ICタグ)、AR(拡張現実)、キオスク端末といった新技術の登場によって、店舗は顧客に対し臨場感溢れるデジタル体験を提供することができるようになった。
記事中でも触れられているように、iBeaconを用いて、ウィンドウショッピングをしている顧客が、マネキンの着ている服をスマートフォンから購入したり、AR技術を応用し、バーチャルゲームのキャラクターを実店舗に出現させるなどの取り組みは既に始まっている。
今後、最先端のテクノロジーを活用した近未来的なスマートストアが増えていくだろう。
3:モバイルを活用した新たな決済方法が登場
引用:Apple Pay
アップルペイに代表される、モバイルを用いた新たな決済方法が、従来の現金やクレジットカードによる決済を切り崩しにかかると記事で指摘している。
今後はモバイルだけではなく、顔認証決済を始め、生体内データとクレジットカード情報を紐づけた決済サービスが登場してくる可能性が高い。小売店業者は、顧客の利便性を高める便利な決済方法を導入し、顧客に新たな購買体験を提供していくことが求められる。
4:店舗内の顧客行動を取得し、マーケティングに活用
店舗内での顧客の動線を可視化したり、ターゲットを絞った顧客の分析を行うことで、今まで明らかにされてこなかった、何故顧客は購買に至ったのか、もしくは何故顧客はその商品を買わなかったのかという点を、店鋪は理解していかなくてはならない。
iBeaconや映像解析技術を用いた、インストアマーケティングサービスの登場により、店舗内の顧客行動理解が進んでいく。結果として、個別の顧客に合わせた販売プロモーションや店舗レイアウトの最適化が可能になり、販売効率が高まっていく。
2015年は実店舗マーケティングの変革が求められる年
近年iBeaconやARなど、新たな技術が次々登場し、実店舗における顧客の購買体験は変化し続けている。既に国内外の先進企業では最新の技術を取り入れたマーケティング手法を導入し始めており、2015年は、その導入事例が更に増えていくことは間違いない。本記事で紹介した4つのトレンドにいかに迅速に対応できるかが、デジタル化が進む小売業界での生き残りの鍵を握っているといっても過言ではない。2015年の小売業界の動向に要注目である。
▼参照
Four In-Store Trends Marketers Can’t Ignore in 2015
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