YCombinator 2014年冬季DemoDay採択企業が創るO2Oの未来

WRITER : 朴 泳虎

  IoT

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

Baidu IME_2014-4-11_0-18-38

 2014年3月25日にDropboxやAirbnbへの投資で有名なY Combinator※1が主催する冬季DemoDayイベントで2014年採択企業68社が自社プロダクトの発表を行った。今回はその中でO2Oイノベーションラボが特に推薦するO2O※2関連企業3社を紹介する。

O2O関連企業3社から見る近年のトレンド

O2Oというキーワードがバズワードとなってから早1年が経過する中、日本国内だけでなく海外もその流れは加速する一方である。特に今回のDemoDayでは年流行のIoT領域に関連した3Dプリンタ、ビッグデータ解析、CRMツール等が国内でもよく話題にあがるテーマが登場した。そんな2014年冬季DemoDayで採択された企業68社のうち、O2Oに関連すると想定される企業が8社※3存在した。その中でも特に推薦をしたい注目の3社を今回は紹介する。

特に注目を集めるオンラインとオフラインを繋げる会社達

①MadeSolid

Baidu IME_2014-4-11_0-10-33
(引用元:Xconomy『Y Combinator’s Winter 2014 Class: Be Impressed, Don’t Say “Invest”』)

MadeSolid は3Dプリンタユーザーに対して3Dプリンタの素材(普通のプリンタで言うインクにあたる)を開発・販売する会社である。3Dプリンタは第3次産業革命を起こす革新的技術であると期待されており、多くの企業が参入して競争をする事で価格低下と性能向上が急速に進んでいる。しかし、3Dプリンタの大きな課題として、成形に失敗する確率が通常の成形方法より遥かに 高い点と、工程が進んでからでないと成形に失敗した事を知ることができない点がある。

MadeSolidも創業当初は3Dプリンタを販売していたが、上記の理由から現状の3Dプリンタではビジネスに利用することは難しいと判断し、失敗の主な原因を調べていく中で現状で出回っている素材が悪いことに気付き、収縮が少なく、柔軟性・耐熱性・耐水性の高い3Dプリンタ素材の開発・販売へと事業をピボットした。日本でも精密機器メーカーのキーエンス等が3Dプリンタ自体を製造はしているものの、素材に特化した企業は世界でもまだ類をみない。

経済産業省の2014年2月の調査によると、国内3Dプリンタ市場は2012年で2,300億円となっている。そして2020年までに1兆円市場となることが予測される。日本は元来素材メーカーが世界的な地位を誇っていたこともあり素材開発は得意分野となるため、今後参入を検討する企業が増加すると面白そうである。

②Weave

Baidu IME_2014-4-11_0-11-20
(引用元:Xconomy『Y Combinator’s Winter 2014 Class: Be Impressed, Don’t Say “Invest”』)

Weaveは歯科医院に特化した患者からの電話と既存の顧客管理ソフトウェアを連携するオムニチャネルCRMツールを提供している。従来の受付では受付担当者が患者からの電話を受け取り、パソコンを操作して顧客の過去の通院履歴を照会した後に次回の治療のスケジュールを調整していたが、長い待ち時間があったり、ビジネスチャンスに繋がる情報を見逃したりするという課題があった。

Weaveを使用すると、電話の受信と同時に顧客の情報が表示され、迅速に予約を済ます事が出来る上にビジネスチャンスに繋がる情報を見逃すこともない。また、顧客に合わせてテキストチャットに切り替える事なども可能だ。治療の途中で来なくなってしまった顧客に対してのフォローアップを自動的に行なったり、受付担当者のスケジュールに組み込む事も出来るのでより多くの顧客を維持する事で売上向上が見込まれるとしている。

矢野経済研究所の「コールセンター(テレマーケティング)市場・ コンタクトセンター/CRM ソリューション市場に関する調査結果 2013」によると、CRMソリューション市場は2013年で6,792億円市場となっている。そして、2015年までに6,931億円市場となる見込みである。拡大する企業のITマーケティング設備投資予算を狙って多くの企業の参入が予測され、小売企業がオムニチャネルに関連した取り組みを広げる中で、様々なチャネルに対応したCRMソリューションは今後も市場規模を拡大し続ける事が予想される。

③42

Baidu IME_2014-4-11_0-14-48
(引用元:Xconomy『Y Combinator’s Winter 2014 Class: Be Impressed, Don’t Say “Invest”』)

42はカナダ、トロント発の小売店舗を対象にビッグデータ解析サービスを提供するスタートアップである。ビッグデータ解析は多くの大手企業が注目して取組みはじめているが、実際に解析をするためには社内体制の構築からシステム開発までを含め、優秀な人財と莫大な費用が掛かってしまう。そのため、中小企業にとってはあまり関心の低いテーマであったのがこれまでの実情だろう。

42はそんな中小企業向けに導入・運用費用が安価なSaaS型のオンラインPOSデータ解析サービスを提供している。店舗内のPOSデータをクラウド上で転送すると、独自のアルゴリズムで収益改善のポイントを自動的に分析してレポートで送ってくれる。日本でもIBM、博報堂などが小売向けのビッグデータ解析ソリューションを提供しているが、いずれも導入費用が高くなりがちであり、こうした中小企業向けにライトに導入が出来るサービスは今後増えていくだろう。

矢野経済研究所の「ビッグデータアナリティクス市場に関する調査結果 2013」によると、国内ビッグデータアナリティクス市場は2013年で1,244億円であり、2020年までに3,422億円市場となり、多くの企業の参入が予測される領域となる。膨大に貯まっている店舗毎POSデータを機械学習に掛けて未来予測をする、そんな時代がもうすぐそこまで来ている。

テクノロジーの進化と共に大幅に削減される設備投資費用

今回はY combinator採択企業の中で、O2Oに関連する企業を紹介した。やはり注目すべき点はこれまで高額な費用が掛かっていた点がテクノロジーの進歩によって廉価に提供することが出来るようになってきている点である。従来潤沢な資本のある大手企業のみが取り組むことが出来た事業やサービスをどんな人でも取り組めるような時代がすぐそこまで来ているし、今後はそうした傾向に拍車が掛かるだろう。現状、設備投資予算を狙ってサービス提供をする企業は要注意である。

 

<記事補足>

※1 Y Combinatorとはシリコンバレー最強の起業家養成スクールと名高いベンチャーキャピタルである。主にシード期のスタートアップに1万ドル程度の少額投資を行い、3ヶ月間で他のVCから投資を受けられるまで育て上げるという特長を持つ。合格率は1%前後の超難関であり、シリコンバレー内でもブランドを確立しているのでシード期を過ぎた起業も育成支援を目当てにやってくる。
※2 O2Oとは「 オンライン上のデータを用いてオフライン(もしくはその逆)の購買活動や企業活動に対して影響を及ぼす事」という広義のO2Oを意味する。
※3オンライン上の活動のみを対象としたサービス、マッチングサービス、ECサイトを除いた企業

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

各種お問い合わせはこちらから

  • マーケティング資料請求
  • お問い合わせ
  • 会社資料請求

あなたにオススメの記事

  • 人工知能の全貌に迫る!人工知能の活用事例10選

  • 今、数々のファッションブランドが飲食業界への参入を急ぐ理由

  • シリコンバレーの大企業が注目するグラフデータベースとは?その魅力に迫る!

  • どうなる3Dプリント業界? "幻滅期"を抜け出すカギはどこにあるのか

  • 【連載企画】今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

  • 【連載企画】いま、ファッション業界でIT革命が起きている

  • シリコンバレーの天才達が土日も休まず働く理由

  • もし桃太郎が現代のWebマーケティングで鬼退治をしたら