引用:Forbes
最近、スマートカーという言葉を耳にすることが増えた。スマートカーとはネットワーク接続機能を持った自動車のことで、スマートフォンのように多様なアプリケーション(例:Google Map)をインストールして活用したり、相互に位置情報を同期して完全な自動運転を実現することが期待されている。
スマートカーはIoTを担う重要なカテゴリの一つであり、我々の生活を大きく変える可能性を秘めている。しかし、便利なものには同じぐらいのリスクが付きまとうのが常である。スマートカーは高度なコンピューターを搭載した車両であるが故にハッキングされる可能性があり、最悪の場合は大きな事故を引き起こすと懸念されている。今回は、スマートカーが抱えるセキュリティ上の懸念点とその対策について語りたい。
既に現実のものになりつつあるスマートカーとその問題
引用:Tech Times
スマートカーは遠い未来の話では決してない。高い安全性能で注目を集めたGoogleの自動運転カーも2015年に入ってから既に公道実験を開始しており、自責事故は現在までほぼ0件となっている。同時に、スマートカーが抱える問題も既に現実のものとなっている。
米大手自動車メーカーのFiat Chryslerはインターネット接続機能を搭載した同社の人気車種Jeepをを発売したが、2名の研究者がインターネット上から車に不正アクセスして、車の操作ができることを証明した件を受けて、Fiat Chryslerは同車種1400万台のリコールを発表した。この事件はスマートカーにおける大きなセキュリティ上の課題を浮き彫りにし、物議を呼んだ。
スマートカーが抱える致命的な欠陥とは?
引用:CSO Online
スマートかーが抱える致命的な欠陥のひとつはスマートカー製造者の情報セキュリティに関する知識不足がある。当然ながら自動車メーカーの開発者は情報セキュリティの専門家ではないため、ハッカー達がどのような手法をもちいてハッキングを行うのかの認識を十分に持っているとは言いがたい。更に、スマートカーは新しく登場した分野であり、明確なセキュリティ基準が定められていないため、どのような対策をどこまですれば良いのかという点が不明確であり、手探りで開発を進めていく他ない。
この現象はスマートフォン黎明期に、未熟なスマートフォンのセキュリティの穴を突くハッキングが流行した形に似ている。しかし、スマートフォンと決定的に違うのは、スマートカーのハッキングが人の命に関わる危険性を孕んでいる事であり、行政・メーカー共に迅速な対応が求められている。
スマートカーの時代に求められること
引用:EXTREME TECH
では、スマートカーが一般的になる時代において、どのような事が求められるのだろうか。シンプルな答えとしてはスマートカーの製造者はITセキュリティの専門家、あるいはそのような人材を保有する企業と連携して、高い情報セキュリティを確保することである。
Intelの研究者は既にスマートカーのセキュリティに関する研究を進めており、2015年9月13日にスマートカー向けセキュリティ対策委員会(The Automotive Security Research Board)を発足し、セキュリティ基準制定に向けて協議を開始している。
ユーザー側にできる対策としては、常にOSのアップデートを行い、セキュリティを万全にしておくことがある。
もちろん、PCやスマホのセキュリティ脆弱性が日々発見されていることからも分かる通り、これだけでは十分な対策とは言い難いが、いずれにせよ、リスクを正しく認識してその時点で最善の対策を行うことが重要である。
▼参照
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