引用:Policus USA
ドローンとは、無人の航空機全般を指す名称である。従来は軍事目的で使われていたが、小型化・低価格化により、一般での活用が徐々に広がりつつある。例えば、Amazonはドローンによる一般家庭への荷物配達を検討しており、実際にテストを行っている。その他にも、農業やエネルギー産業においての活用が検討されており、大きな経済効果を与えることが期待されている。しかし、一方でドローンを使った犯罪や事件なども発生しており、ドローンの飛行を規制する制度や緊急時には撃墜するためのシステムを求める声が大きくなっている。今回は、ドローン普及の影にある事件や規制に関する今後の展望についてご紹介したい。
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使い方によっては大規模なテロや犯罪も可能にするドローン
引用:Express
ドローンは間違いなく我々の生活に大きなインパクトを与えうる利便性の高いものである。しかし、便利なものにはそれと同等の悪用方法がある。
今年1月、アメリカとメキシコの国境付近で麻薬を運搬していたドローンがショッピングセンターの駐車場内で墜落した。ドローンの中には3キロ近くもの麻薬が搭載されており、発見した当局により回収された。麻薬の運搬以外にも、中国では実際にドローンを使った盗難事件などが発生している。
そして、ドローンを使った犯罪において何よりも懸念すべきはテロリズムである。例えば、ドローンが都市部上空で化学兵器を噴霧すれば、大きな被害がでることは容易に想像できる。また、ドローンは小型で駆動音も小さいため、自動照準で撃ち落とすことが難しいのが現状である。
対ドローンの新兵器は『音』で撃墜する?
とは言え、ドローンに対して有効な対策が無い訳ではない。韓国の国立大学KAISTの研究により、音波を使ってドローンを簡単に撃墜する方法が発見された。ドローンには空中でバランスを保つためにジャイロスコープが搭載されている。これに特定の高周波数を当てると反響してバランスを保って飛行することができなくなる。しかし、実際にドローンを落とすためには近くで非常に大きな音を発する必要があり、まだまだ実用化には至っていないとのことだ。今後の発展に注目したい。
アメリカで着々と構築が進むドローンの交通管制システム
引用:ITpro
米航空宇宙局(NASA)は2015年8月下旬からドローンの航空管制システム「UTM(UAV Traffic Management」のテスト運用を開始する。UTMは無線通信によりドローンを管理して、ドローンの運航許可を出したり、飛行禁止空域に入らないように制止することができる。2020年までに本格稼働を予定しており、法律面と合わせてのの整備が進んでいる。
ドローンが描く未来の光と影
ここまでドローンを使った犯罪と、その対抗策としての撃墜方法、規制制度を紹介してきた。
しかし、どれだけ完璧な対策をしようともそれを突破しようとするものが現れる。例えば、上で紹介した航空管制システムによる飛行禁止区域の指定も、ドローンをハッキングしてしまえば無効化されてしまう。事実、今年の1月にホワイトハウスの施設内に墜落したDIJ社のドローンにはGPSを利用して飛行禁止区域に入った場合に強制着陸する機能が搭載されていが、ハッカーが送った偽の信号により無効化されていたことが後の調査で判明した。
とは言え、リスクばかりを気にしてドローンがもたらす恩恵を無視してしまうのは非常に愚かなことだ。現実との折り合いをつけながら、いかに最小のリスクで最大の効果を得ることができるのかを今後、模索していく必要があるだろう。
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