2014年はモバイルにとって非常に重要な年となった。
デジタルマーケティング調査会社のeMarketerによると、2014年末の時点で17.6億人がスマートフォンを所持・使用しており、その数は2013年と比べて25%増加した。それに伴い、モバイルコマース市場は大きな飛躍を遂げ、PCを使ったEコマースよりも著しい速度で成長した。その証明として、IMB.Digital.Analyticsの発表によれば、2014年はモバイルコマースの売上がオンライン売上全体の22%を占め、この数は前年より27%高い数値である。
更にAppleWatchの発表やApplePayのリリースなど、新しい技術も次々に登場してきている。この様に著しい変化を見せるモバイル領域で、2015年に注目すべき5つのキートレンドを見てみよう。
モバイルセキュリティが決定的に重要になる
引用:http://www.smallbiztechnology.com/wp-content/uploads/2013/05/mobile-security.jpg
2014年はセキュリティ関係者にとっては受難の年だった。複数回の大規模な情報流出が発生し、多くの個人情報が危機に晒された。流出した情報は金融機関のID情報からハリウッド女優のプライベート写真まで様々で、その殆どはモバイルデバイスでは無い所から流出した。にも関わらず、モバイルデバイスのデータ・セキュリティが決定的に重要になる理由は、Webとモバイルデバイスが緊密に連携するからだ。我々の生活に欠かせない物となったスマートフォンの中には、個人情報がこれでもかというぐらいに詰まっており、その中には企業情報なども含まれている。
Ciscoセキュリティマーケティング戦略シニアディレクターのJennifer Leggioは「企業は今後、顧客体験の為にセキュリティを犠牲にする事が出来なくなり、アプリ開発者の責任は更に重くなってくる。この事は、企業が自社アプリを開発するか否かという意思決定に、大いに影響をあたえるだろう。」とコメントしている。
▼参照
https://twitter.com/mediaphyter
IoT、ウェアラブルデバイスが大きく進化する
引用:http://cdn1.tnwcdn.com/wp-content/blogs.dir/1/files/2013/09/Nissan-Nismo-Watch-on-Wrist1.jpg
モノ同士がインターネットで接続され、相互通信できる様になるIoTの分野は、世界的に大きな注目を集めているが、我々はまだIoTの片鱗を見ているに過ぎない。スマートデバイスやネットに接続可能なモノが、今後も増え続ける事はほぼ確実であり、これらが相互に接続されれば、それぞれのデータを活用して私たちの生活はより便利になっていく。この中で、ハブまたはコントローラーとしての役割を担うモバイルデバイスは非常に重要だ。
最近までウェアラブルデバイスで最も人気だったのは、Nike Fuel BandやFitbitの様なフィットネス関連のデバイスだった。しかし、我々の生活を変えるという観点から見れば、消費カロリーや睡眠のデータの取得は十分なものではなかった。それに対して、これから発売されるスマートウォッチは更に多くの重要なデータを取得する事が出来る。例えば、心拍数、体温、呼吸、血圧などのデータを取得し、ネット経由で閲覧できるようになれば、遠くに住む家族や友人など、大切な人に異変がないかを随時確認できるし、病気を初期段階で早期発見するといった予防医療的な使い方も出来るようになってくるだろう。
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小売・ブランドのモバイル戦略はWebに回帰する
引用:http://rusbase.com/media/upload_tmp/mobile_internet_big.jpg
ここ10年、モバイルの世界にはイノベーションが起き続け、スマートフォン利用者は劇的に増加した。特に2014年を境に、モバイルコマースを通じて購買をする人の割合は、無視できない程大きくなった。アメリカにおいて1年で最も重要な商戦日であるBlack Fridayの日に、米大手家電量販店のBest Buyは、大きく来店者数が下落したのに反して、モバイルのWebトラフィックは著しく増大した。
これは小売企業がモバイルへの投資を増やす十分な理由と根拠になりうる。アプリもモバイル体験を構築する上で非常に重要であり、特定の機能の上ではWebよりも効果的だが、以下のデメリットがある。
・ユーザーにアプリをダウンロードさせて利用させるのが難しい
・情報を断絶化してしまい、SEOに役立たない
・OSのアップデートなどに随時、対応する必要があり、継続的に投資が必要になってくる
モバイルペイメントが大きく飛躍する
引用:https://www.apple.com/apple-pay/
秋に発表されたApplePayはモバイルペイメントをもう一段高い段階へと押し上げた。アップルはiPhoneとiTunes、そのビジネスモデルを構築する際に大手クレジットカード会社3つ(Visa,MasterCard,AmericanExpress)と提携を結んでいる。更に、アップルは既に数百万人のiTunesユーザーを抱えており、彼らのクレジットカード情報は登録済みであるなど、成功の条件を十分に満たしている。
モバイルペイメントの可能性はオンラインに限った事ではなく、実店舗でもEコマースの様にボタンひとつで会計をする事ができる。オンラインとオフラインの購買履歴を統合する事で、より実態に近い顧客像を理解する事ができるだろう。米スターバックスでは既にこの種の取り組みを初めている。
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From Coffee To Mobile King: How Starbucks Serves Up Its Mobile Strategy
データが統合された、より「賢い」スマートフォンが登場する
引用:http://www.forbes.com/sites/marketshare/2013/01/07/is-brand-loyalty-dying-a-slow-and-painful-death/
テクノロジーコンサルタント会社、AltimeterのCEO、Charlene Liによると、スマートデバイスの「相互接続性」が世界を大きく変えると言う。彼女は未来の姿を下記の様に語る。
「例えば、次のアポイントをカレンダーで確認している時、相手のプロフィール、ソーシャルフィード、今までのメールなどが紐付いて表示される。お気に入りのカフェに寄ってみると既に商品が準備されていて、そのまま持ち帰る事が出来る。」
デバイス、アクセス可能なデータソースが多様化する中で、これらを組み合わせる事で既存の枠組みに囚われない機能が実現される。更に、徐々に重要性を増しつつ有るコンテキスト(文脈)テクノロジーにより、データそれ自体がもつ背景や文脈を理解した形でデータ活用が行われるようになる。
17億5千万人が使うモバイルの活用に高まる期待
これまで2015年に起こるであろうモバイルマーケティングのトレンドについて紹介してきた。モバイルの重要性がこれから益々大きくなっていく事は確実である。また、今年、登場するAppleWatchなどのスマートウォッチが、顧客行動や購買パターンにどの様な影響をあたえるのかも、非常に興味深いテーマである。17億5千万人が持つ小さなデバイスが起こす大きな変化に、期待を禁じ得ない。
▼参考記事
5 Key Mobile Marketing Trends For 2015
▼参照
http://www.emarketer.com/Article/Worldwide-Smartphone-Usage-Grow-25-2014/1010920