※「Arch for Startup」より寄稿
アメリカでは今、数々の最先端技術を持つスタートアップがBeacon開発に取り組んでいる。まだ実験段階ではあるものの、過去の記事でも紹介したように、NFL(アメリカンフットボール)、MLB(野球)をはじめ、Macy’sなどの著名百貨店の一部店舗では既に導入が始まっている。我々Arch for Startupが拠点とするシアトルはBeaconのソフトウェアを開発するスタートアップが盛んな街である。今回は、シアトルでBeaconソフトウェアの開発を手掛けるスタートアップであるArtifact Technologiesという企業を紹介する。
博物館でのBeacon活用事例
引用: Geekwire
実は博物館や美術館は、Beaconの活用実験の場として最適である。昨年、Artifact Technologies社は、Seattle’s Pacific Science Centerという博物館で、自社が開発するMixby(ミックスビー)というスマートフォンアプリのサービスを開始することを発表した。Beaconというと,指定された区域に入るとユーザーに対してクーポンが配信されるなど、販売プロモーションを目的としたものが多いが、Mixbyは違う。このアプリの特徴は、リアル世界とアプリ内のバーチャル世界を結びつけることだ。Seattle’sPacific Science Centerの事例でいえば、Beaconが設置された区域にユーザーが入ると、アプリ内でしか見ることができない博物館のスペシャルコンテンツを見ることができるのだ。
引用: Estimote公式サイト
Artifact Technologiesは、Beaconを活用したソフトウェアの開発はしているが、Beaconそのものの開発は行っていない。彼らのソフトウェアは、ニューヨークに拠点を置くEstimote社のステッカー型Beaconと互換性をもっている。上の写真にある厚さ3㎜のカラフルなEstimote社のBeaconは、どこにでも貼り付けることが可能で、SDK(ソフトウェア開発キット)として99ドル(約12000円)から販売されており、ソフトウェアの機能を簡単に適用することができる。
Artifact Technologiesが企むBeaconアプリのイノベーション
Beaconを普及させるに当たって大きな課題となっているのは、ユーザーに専用のアプリをダウンロードしてもらわなくてはいけない点だ。Artifact Technologies社は、この課題を解決する事をビジョンに掲げている。その解決策は実にシンプルだ。Mixbyは位置情報をベースにBLE(Bluetooth Low Energy)を通してユーザーのスマートフォンにそのまま情報を送信する技術を開発している。GPSの位置情報を元にユーザーのスマートフォンが指定区域内に入ったことを検知すると、BLEを通してスマートフォンに情報を配信するという流れだ。BLEという技術が、ユーザーがアプリをダウンロードする手間を省いてくれる。
また、同社のクライアントである小売店や博物館は、同社の開発するプラットフォームを利用することで、クーポンやコンテンツの配信を行うだけでなく、顧客のデータの分析まで可能となる。
Beacon技術が未来の店舗を創りを担う
Artifact Technologies社は、まだ野望の達成に向けて走り出したばかりではあるが、独自のBeaconプラットフォームの開発や、ユーザーが専用のアプリをダウンロードする手間をなくすというビジョンは、間違いなく小売業界をよくするものである。Beaconというまだ実験段階の技術が、これからどう進化し、一般化していくのか。今後も目が離せない。
※「Arch for Startup」より寄稿
Arch for Startup
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