2月9日、国内最大級グルメクーポンアプリ「ホットペッパーグルメ」を運営する株式会社リクルートライフスタイル(以下、リクルートライフスタイル)は、Beaconを活用したO2O実証実験を開始した。
Beacon(ビーコン)とは、スマートデバイスに搭載されているBluetooth Low Energy(BLE)を利用した近距離無線通信技術である。2013年にiOS7に標準搭載されて以降、スマートデバイスが普及したこともあり、O2O(Online to Offline)施策への利用などで注目されている。
本記事は、リクルートライフスタイルのホットペッパーグルメアプリが実施している、Beaconを活用したO2O実証実験を紹介する。
▼参照
550店舗が実施するBeaconを活用したO2O実証実験
引用:リクルートライフスタイル
今回の取り組みは、グルメクーポンアプリ「ホットペッパーグルメ」のユーザーに対して、飲食店に設置したBeaconを活用し、クーポンやリクルートポイントを送付することで来店を促すものだ。この取り組みは福岡エリアと東京・神奈川エリアの2つのエリアで実施されている。
福岡での取り組みは、2015年2月16日~3月15日の間、市内の主要な駅付近や対象店舗約400の店頭・店内にBeaconを設置し、その近隣を通るとお得な情報がアプリユーザーに届くというものである。ユーザーが対象店舗に来店すると、アプリのウォレット機能の利用を促す通知が届き、会計時にその機能を使用すると、リクルートポイントが500ポイントおくられる。
また東京や神奈川でも、2015年2月9日~3月31日の間、約150店舗にBeaconが設置された。対象店舗の近隣エリアで、お得な情報がアプリユーザーにプッシュ通知される。来店するとクーポンが配信され、普段よりもお得に食事を楽しむことができるというものだ。
最適な情報を最適なタイミングで提供することを可能に
引用:estimote
今回の施策は、アメリカのローランド・ホールが提唱する「消費行動」の仮説「AIDMA※」のAttention(注意)とAction(行動)の段階で活用できる。Beaconを用いて店舗情報を適切なタイミングでユーザーに届け、最終的な来店という行動までのプロセスをカバーするものだ。今後はユーザーのデータを集約・分析することで、再来店を促すための施策を打つことも可能になる。例えば、来店回数をカウントして、その来店回数に応じて個別にクーポンやポイントを付与することで再度来店を促すことができる。
※AIDMA(アイドマ)の法則とは、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の頭文字を取ったもので、アメリカのローランド・ホールが提唱した「消費行動」の仮説である。商売の基本で消費者の心理的プロセス・モデル。
▼参照
今後は個別化された情報を届ける事が必須となっていく
株式会社ぐるなびが、515店の飲食店オーナーを対象に行ったアンケートによると、対象となったオーナーの85%がクーポンを発行する理由は、新規顧客の獲得だという。従来の「ホットペッパーグルメ」が発行していたクーポンは、アプリ上でレストランを検索する際の新規顧客獲得に役立つ。今回紹介した、位置情報と連動させたクーポンの配信は、見込み顧客が店舗周辺にいる際に来店を促すものであるため、今までアプローチできていなかった層に対してもクーポンを発行でき、来店を促す事ができるようになる。今後は、過去のアプリ利用履歴や、誕生日などの顧客情報に基づいて、顧客一人一人に対してより確度の高い情報を届けることができるようになれば、新規顧客だけでなくリピーターの増加にも繋げることができるようになっていくはずだ。
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