2013年末にiBeaconが登場し、2014年はiBeaconの普及が話題になった一年であった。一方でオンラインでの商品の購買比率が高まっているなか、iBeaconの技術は店舗での購買体験を再定義することができるだろうか?
本編集部でも、iBeaconについては2015年のデジタルマーケティングのトレンドとして度々取り上げている。今回の記事では海外の事例紹介とともに、iBeaconの導入により可能になることやそのメリット、また導入への課題について、改めてまとめていきたい。
最新海外導入事例 〜iBeaconを搭載したマネキン〜
iBeacon端末を搭載したマネキンを設置し、専用のアプリをダウンロードしたユーザーがマネキンに接近した際に、ユーザーに対して情報が配信される仕組み。特徴は、マネキンが着ている服の価格やその服が置いている場所、店舗のECサイトへのリンクなどが送信されることである。
このような事例は国内外問わず増えてきいる。国内のiBeacon導入事例に関しては、以下の記事でまとまっているので参考にしていただきたい。
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iBeaconの導入でできること
引用:Apple iBeacons: what are they and what do they mean for retail?
上記の事例のように、iBeaconを導入することでできることは様々である。以下にその例をまとめてみる。
①顧客が早く簡単に、情報にアクセスすることができる
マネキンの例にもあるように、顧客が情報を探すのではなく、店舗側から情報が配信されてくるため、顧客は商品の探索が非常に楽になる。
これが顧客個人の過去の購買履歴と結びつけば、1人1人にカスタマイズした情報の配信が可能になり、顧客にとって更に有益な情報を提供できるはずだ。
②来店していない人にも情報を配信することができる
先ほどの例のように、マネキンにiBeaconを搭載し、ウィンドウに陳列することで、店舗の外を歩く人にも情報を配信し、来店を促すことができる。
iBeaconをうまく活用することで、認知→接触→購買という購買ファネルのそれぞれの要素に対し、アプローチできるようになる。
③小売店側が優良顧客を認識できる
Beaconによって顧客の来店回数、滞在場所、クーポン配信数あたりの買い上げ率などのデータを蓄積することができる。またオンラインでの購買データと紐づけることで、オンラインのロイヤルカスタマーが入店した時に、店舗にアラートを出すことも可能になる。
④店舗スタッフの動きを効率化できる
どのくらいの回数、どのくらいの距離で顧客とコミュニケーションすることが、買い上げ率の向上につながるかを、モニターすることが可能になる。このデータに基づいてスタッフが行動することで、店舗スタッフの動きを効率化させることができるようになる。
⑤店舗レイアウトの改善ができる
顧客の購買データ、特に滞在場所ごとの顧客の買い上げ率といったデータの取得により、店舗内の陳列や動線の変更など、レイアウトを改善して店舗を最適化することができるようになる。
iBeacon導入における課題
上述の通り、iBeaconの導入によりできることは様々であり、iBeaconは小売店にとって希望の星となり得るが、その導入には課題も存在する。この課題とは、端的に言うと「iBeaconを使用する顧客が少ない」ということである。iBeaconの利用者が少ないのは、2つの理由が考えられる。
1つは、iBeaconを通じたサービスを利用するには、アプリをダウンロードしなければならないためである。iBeaconの登場によって、Bluetoothによるアプリの呼び出しは可能になったが、そもそもそのアプリをダウンロードしている顧客がまだ少ないのである。
もう1つは、小売店ごとの連携がまだ取れていないため、小売店ごとに別のアプリを使用しなければならないケースが多いためである。せっかくどこかの店舗でBeaconのアプリをダウンロードしても、他のブランドの店舗でまた違うアプリが必要になるのでは、顧客の利便性は高まらない。
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iBeaconが抱える課題を解決するためには
これらの課題を抱えるiBeaconであるが、必ず解決策はあるはずだ。担当者は課題を理解した上で、然るべき対策を取ることが、Beacon導入の成功の鍵となる。ここでは2つの解決策を提示したい。
①他では代用できない利益・体験の提供
Beaconのアプリダウンロードという障壁を乗り越えるためには、iBeaconの利用を通じてしか得られない価値を、顧客に与えることが重要である。それは割引率の高いクーポンという形でもいいだろう。iBeaconの利用を通じて店舗が得られるものは、何にも代えがたいデータであるはずだ。
②ペイパルやプラスチェッカーなどサードパーティアプリとの連携
どちらもショッピングに関連するサードパーティのアプリであるが、このようにショッピングの際によく使用されるアプリと各店舗のBeaconアプリが連動することで、アプリを複数個ダウンロードする手間を省くことが出来る。
例えば日本では、決済のアプリや家計簿のアプリとの連携などが考えられる。
iBeaconの未来
RFID技術(近距離)の無線通信によって情報をやりとりする技術)は昔から存在していたが、一般には普及してこなかった。しかしスマホの普及、モバイル端末の購買への影響力増加によって、RFIDであるiBeaconの普及が現実味を帯びてきている。
その普及のために必要なのは、iBeaconの価値を理解した顧客がもっと増えていくことである。今後小売のマーケティング担当者は、iBeaconで何をするかではなく、どのようにBeaconを使用する顧客を増やしていくかということを、業界全体で考えていく必要がある。
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