引用:retailtechnologyexperts.com
2015年、小売業界ではBeaconやウェアラブルなどの先端テクノロジーを活用して、顧客の購買体験を向上させる取り組みが多く見られている。
今回は5つの先端テクノロジーを活用した海外企業のサービス事例を紹介する。今後、BeaconやAR(Augmented Rearity:拡張現実)、3Dプリントといったテクノロジーによって、小売業界がどのように変化していくのか見ていきたい。
POSシステムで売り上げを二倍に伸ばしたOREA CAFE
引用:vendhq.com
オーストラリアに展開するOREA CAFE(オレアカフェ)は、Vend社のPOSシステムを導入することで、一日のコーヒーの売り上げを、半年間で二倍に伸ばすことに成功した。
Vend社のPOSシステム特徴は、ロイヤルカスタマーへのサービスの質を向上させることができる点にある。会計時に顧客が提示するカードを読み取ることで、レジ画面で顧客情報を確認できる。さらに、全ての従業員がスマートフォンやタブレット端末から、顧客の顔写真や注文頻度の高い商品といったデータを確認することができる。
これらのデータを活用することで、普段からサービスを利用してくれている顧客に感謝を伝えたり、顧客の嗜好に合いそうな他の商品を勧めたりと、ロイヤルカスタマーに対して質の高い接客ができる。そうすることで、顧客のリピート率を向上させ、売り上げの向上に繋げることができる。
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270店舗でiBeaconを導入したTesco
Tesco(テスコ)は同社の展開する施設内に店を構えるMagnum(イギリス大手アイスクリームチェーン)において、イギリスで最大規模となる 270店舗での iBeacon試験導入を実施した。
顧客のアプリ利用状況や iBeaconプロモーションを行った際に実際に店舗に発生する利益など、今後のモバイルアプリを用いたマーケティング戦略に必要な情報を得ることを目的としている。テスコが展開するiBeaconのサービスは、Magnumの店舗付近を通過した顧客が、Magnum新作のアイスクリームの割引券を入手できるというものだ。
iBeaconを店舗内に導入することのメリットは大きく分けると二点ある。
一点目は、潜在顧客にアプローチできる点だ。小売店の新商品や割引セールといった情報を知らない顧客も、アプリさえダウンロードしていればiPhoneにプッシュ通知が届き、そうした情報を認知させることができる。これによって、来店していない顧客にもリーチを広げることができる。
二点目は、顧客の滞在位置・時間から店舗内のホットスポットを把握できる点だ。顧客の滞在位置と滞在時間のデータを取得することで、顧客が滞在しやすい場所を知ることができる。その場所に店舗側の販売したい商品を置くことで、店舗側が顧客に購入させたい商品を、顧客が購入しやすい配置に置くことができる。
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ウェアラブルをサービスに導入するVirgin Atlantic
Virgin Atlantic(ヴァージニアンアトランティック航空)は、旅客機へのチェックインサービスにGoogleGlassを導入した。乗客がゲートを通過する際に、従来は目視で行っていたパスポートの確認をGoogleGlassを活用することで、パスポートの読み取り時間を短縮した。そうすることで、乗客に不快な待ち時間を過ごさせないようにしているのだ。
さらに、スタッフが装着するGoogleGlassのレンズの部分に、最新のフライト情報や天候、空港付近のイベント情報といった情報を任意の外国語で表示することで、乗客が必要とする情報をストレスの少ないコミュニケーションで伝える事ができるようにしている。
このようなデータの効率的な読み取りや、抽出したデータを任意の言語に変換して伝える取り組みは、今後小売店にも活用されるだろう。
観光庁の調査では2020年の東京オリンピックに向けて、訪日観光客は2020年に年間2000万人にまでのぼると予想されている。そうすれば、首都圏に位置する小売店では、今まで以上に外国語でのコミュニケーションが必要となり、顧客が必要とする情報も多岐にわたるだろう。
メガネ型ウェアラブルを用いれば、多言語への変換ができるだけでなく、道案内や付近のイベント情報といった顧客が必要とする情報を案内することが容易になる。そうすることで、顧客が必要としている情報を伝えることができ、コミュニケーションの質を高めることに繋がる。それによって、リピート客を増加させ、売り上げを高めることができるだろう。
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Fits.meのAR技術を活用した仮想試着サービス
引用:fits.me
2015年7月13日にFits.meが楽天株式会社に買収され話題となった。Fits.meが展開していたのは、AR(Augmented Reality:拡張現実)の技術を活用した仮想試着サービスだ。
このサービスの特徴としては、従来よりも快適で臨場感のある試着ができる点が挙げられる。顧客はスクリーンに投影した自分の姿に服を着せることができるので、試着をするために一回ごとに服を脱いだり着たりする必要がなくなる。さらに、試着の際にスクリーンに外の風景を映すことで、外観に合わせた試着を行うことが可能だ。
この技術は、海外アパレルブランドのRebecca Minkoffニューヨーク店でも活用されており、顧客はスクリーンを操作するだけで、試着や在庫の確認、スタッフを呼び出すこともできる。
最近は、服のバーチャルデータに重力値が組み込まれており、スクリーン上の人の動きに合わせて、スカートの裾や服の袖が揺れたり広がったりする仮想試着の技術も展開されている。
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Shoes of Preyの3Dシューズデザインサービス
Shoes of PreyはNordstromと提携して、リアル店舗で3Dのデザインアプリを使用することで、誰でもオリジナルの靴を作ることができるサービスを展開している。
このサービスの特徴は、購買体験の中で顧客が創造性を発揮できる点にある。顧客は店舗に設置されたタブレット端末のタッチスクリーンを操作することで、靴の色や素材、ヒールの高さや装飾品など、170の選択肢の中から自分の好みの靴を作ることができる。
顧客は単にShoes of Preyの商品が欲しいからだけではなく、Nordstromで自ら靴をデザインするためにShoes of Preyの商品を手にするようになる。
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誰もがシューズクリエイターに?最先端リテールテクノロジー事例
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先端テクノロジーが可能にする小売業界の未来
いかがだっただろうか。今回は5つの先端テクノロジーが、実際の現場でどのように活用されているのかを見てきた。
今後の小売業界では、商品の機能や値段による差別化が難しくなる一方で、店舗内での顧客の購買体験における差別化が重要となっていく。そうした中で、顧客の購買体験を高めるために、先端テクノロジーを活用する動きが今後も注目を集める。というのも、先端テクノロジーは顧客一人ひとりに適したサービスを可能にするからだ。
例えば、顧客の来店回数や注文頻度といった顧客情報の取得が容易となるため、普段からサービスを利用してくれている顧客に感謝を伝えたり、顧客の嗜好に合いそうな他の商品を勧めたりすることができる。また、ARを利用した仮想試着サービスや、3Dプリント技術を用いたシューズデザインサービスのようにデジタルを活用したサービスで、顧客は店舗でのショッピングをより楽しむことができる。
ECが台頭してきている中で、顧客は実店舗でしかできない購買体験を求めるようになってくる。店舗でしか味わえない豊かな購買体験を提供するにあたって、先端テクノロジーは非常に重要だ。
引き続き小売業界におけるテクノロジーの活用に注目していきたい。
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