NYタイムズスクエアの住宅ローンの格付けを行っているスタンダード・アンド・プアーズ・レーティングス・サービスの調査によると、場所によって大きな差があるが、NYタイムズスクエア地区の広告スペースの料金は、10年前と比較してほぼ2倍になっているという。これはニューヨークを訪れる観光客の増加が一因だ。現在、同市を訪れる人々の数は年間で過去最高の5090万人となっている。
さらに、広告スペースの多くがデジタルディスプレイ式の広告に転換していることも、要因の一つだ。こうした広告の設置費用はよりかさみ、貸出料はポスター広告の5~6倍になるという。
そんなNYタイムズスクエアの超大型ディスプレイで、通行人を巻き込むインタラクティブな広告を行っている企業が存在する。今回は話題性に富んだNYタイムズスクエアのインタラクティブ広告を紹介する。
大型ディスプレイに自分の顔が取り込まれるインタラクティブ広告:ヒュンダイ
韓国の自動車メーカー「Hyundai」は、タイムズスクエアにある大型ビジョンを使って、世界中から訪れた人々に笑顔をもたらすインタラクティブ広告を展開している。
スクリーンの中のMr. Brilliantという男性が通行人の中から数人を選び、カメラで顔写真を撮るのだ。画面の中でMr. Brilliantは、写真を撮られた通行人の顔を絵にしてくれたり、通行人は手元のスマートフォンで家族や友人へのメッセージを入力し、Wi-Fiに接続した状態でスクリーンに向かって投げるジェスチャーをすると、Mr. Brillianがキャッチする。
それらのメッセージを大画面上で紹介してくれるなど、インタラクティブでユニークな仕掛けが用意されているのだ。この考えは、歴代のヒュンダイのタイムズスクエア広告にも一貫していて、結果として、話題性や「口コミ」といったバイラルマーケティングの効果が十分に期待できる。
ヒュンダイは、過去に「ヒュンダイレース」と名付けたユニークなレースゲームも実施している。利用者は、スマートフォンに専用アプリケーションをダウンロードし、タイムズスクエアのWiFiネットワークに接続。スマートフォンをコントローラーにして、巨大なビルボードモニターでヒュンダイの小型スポーツクーペ、『ベロスター』のレースゲームが楽しめるという仕組みであった。
ゲームが終われば、得点がビルボードに表示され、ランキングも分かる。ヒュンダイは、多くの通行人を巻き込み、今までにない体験を提供し続けている。
史上最大!ビル8階分のサイズで広告費も桁違いなインタラクティブ広告:グーグル
ブランドの広告が数多くひしめくタイムズスクエアに、ひときわ目立つAndroidのビルボードが登場した。グーグルが用意した巨大なデジタルディスプレイは、なんとタイムズスクエアで過去最大で最も高価なアウトドア広告だそうだ。
通常約2週間のところ、4週間という長期間設置されるこの巨大ディスプレイは、とにかく大きさが桁違いである。広さは45th Streetと46th Streetの区間(つまり1ブロック分)、高さ2,322平方メートル(25,000平方フィート)で8階建て分の高さとなっている。
そしてこの巨大ディスプレイ、実はゲームとしても遊べるインタラクティブ広告になっている。通行者はGoogleの「Androidify」ウェブサイトまたはアプリを使ってAndroidアバターを作り、ディスプレイ手前に設置されたセンサーと連動したプラットフォームから画面上(といっても6メートルもある)アバターを操作して遊ぶゲームまで用意されている。
グーグルがこの広告のために、いくら費やしたのかは不明だが、今回使っているタイムズスクエアの広告スペースは、4週間で250万ドルの費用がかかると予想されている。サイズも広告費用も桁違いだ。
デジタルサイネージを活用していかに話題を集めることができるか
巨大な広告はインパクトがある。その上通行人が体験できるようなインタラクティブ広告にすることで、個別に訴求し、広告効果を最大化させることができる。
さらに、手元のスマートフォンによって撮影された写真は、SNS上で予想もできないくらい拡散する時代だ。企業側はそこの戦略も重要視すべきだろう。これからの時代を創っていくであろうNYタイムズスクエアの巨大広告に注目だ。
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