東日本旅客鉄道株式会社(以下JR東日本)は来年から、山手線で新型車両を運行させる。2020年に控える東京オリンピックに伴い、電車利用者が増加することが見込まれるため、車内の座席数を増やし、車いすや大型スーツケース、ベビーカーを持ち込みやすいようフリースペースも設置する見込みである。
そして、新型車両導入に伴って、車内中吊り広告が姿を消すと話題になっている。JR東日本によると、車内を広くする為に中吊り広告をなくし、代わりにデジタルサイネージ広告を導入するとのことである。
デジタルサイネージ導入のメリット
引用:JR東日本プレスリリース
車内広告にデジタルサイネージを使用するメリットを考えてみよう。1つは、従来の中吊り広告と違い、広告を手作業で張り替える必要がなく、人件費を削減できるという点である。また、テレビで放映されているCMをそのまま流すことも出来るので、CM作製費用を削減できるというメリットもある。
更には、デジタルサイネージを用いれば、時間帯によって表示する広告を変更することも可能である。例えば朝の通勤ラッシュ時間帯はサラリーマン向けの広告、女性専用車両適応時間帯の女性専用車両には、女性向けの広告といったように、ターゲットを絞った広告を掲載することが可能である。
電車内ビジョン広告は従来型中吊り広告よりも視認率が高い傾向
引用:電車内動画広告の「トレインチャンネル」 購買意欲を高める傾向
関東交通広告協議会が2013年に実施した調査によると、電車内ビジョン広告の視認率は75.7%と全体で最も高く、今回争点となっている中吊り広告の69.7%と比べても6%高い数字となっている。
引用:電車内動画広告の「トレインチャンネル」 購買意欲を高める傾向
また、調査対象広告について、「購入したいと思った」「どちらかといえば購入したいと思った」「広告を見てすでに購入した」人の割合を調査した「購入意向喚起度」では、電車内ビジョン広告が53.2%を獲得し、車内メディアでトップの結果となった。これらの調査結果から、車内の広告が全てデジタルサイネージに置き換わることで、広告効果の改善が期待できると言えるだろう。
無音の動画コンテンツをどう生かしていくか
前述したように、電車内のデジタルサイネージにテレビCMをそのまま使用するというケースも見受けられる。しかし、電車内のデジタルサイネージ広告は基本的に無音である。それにもかかわらず、音が流れることが前提で制作されているCMを、そのまま無音で放映しているため、違和感を感じたことがある人は少なくないのではないか。
今後全面的に車内広告がデジタルサイネージに置き換わった場合は、無音でも主張が適切に伝わるコンテンツ作りが重要になってくるであろう。
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