【連載企画】ITで需要予測と24時間予約が可能に!?国内外食産業×ITまとめ

WRITER : Editorial department

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第一回目の記事
で外食産業市場について解説を行ったが、今回は外食産業の国内IT活用事例について触れていく。

今回の記事では、ITを活用してコスト削減したあきんどスシローのビッグデータ分析事例と、飲食店向け予約管理アプリとして成長し続けている注目のサービスTORETAについて紹介する。

需要予測で廃棄量を約75%削減(ミューザ川崎店)

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スシローでトップクラスの売り上げを誇るミューザ川崎店

引用:IT pro

株式会社あきんどスシロー(本社:大阪府)では、回転すし総合管理システムを導入している。

神奈川県川崎市にあるミューザ川崎店では、1分後と15分後に必要な握りネタと数を常に予測。店長の勘と経験にITの力を加味し、食べたい握り寿司をタイムリーに提供する。システムの導入で、回転して時間が経った皿が減り、廃棄量が約75%削減された。

ICチップで単品管理、自動廃棄が可能に

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回転すし総合管理システム導入の成果

引用:IT pro

従来の課題は、人間が全てのレーンに並んだ商品を細かく管理できないために、鮮度の落ちた商品がレーンに流れてします可能性があることだった。

その解決策として、顧客の需要を的確に読み、好みのネタを素早く適正な数だけ作ることで鮮度を保とうと考えた。

概要としてはm皿にICチップを取り付け、単品ごとに管理することで、売れ筋をリアルタイムに把握できる。これを需要予測に生かすことで廃棄ロスを減らそうというのが狙いだ。

また、レーンにおけるネタごとの走行距離も収集している。

ネタごとにあらかじめ決めた走行距離を過ぎれば、「鮮度が落ちた」と判断して、自動的に廃棄する仕組みも導入している。例えばまぐろであれば、350m以上が対象になる。

需要予測により、寿司職人の経験と勘を標準化する

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40億件のデータから顧客の食欲を予測する

引用:IT pro

単品管理以外の取り組みでは、累計約40億件に達する販売ビッグデータを分析し、顧客の食欲を読む需要予測を行っている。スシロー独自の指標で喫食パワーとして設定している。

これまでの課題として、店長の経験が浅かったり、店長が不在の中で運営する場合に、顧客の需要を読みきれず寿司を握りすぎることによって、廃棄ロスが発生することがあった。

これが勘のいい店長であれば、顧客の体格や構成、食べた量、受付における待ちの状況などを踏まえて、どれだけ寿司を用意しておくべきかを判断できる。

そこで、IT活用で優秀な店長の“勘と経験”を標準化しようと考えた。店長の持つスキルを標準化できれば、全店の運営スキルの底上げに繋がるためだ。

1分と15分後で予測のタイミングを設定して、各テーブルごとに必要な寿司の量が算出される。

1分後予測は、各顧客が着席して平均で何分経ったかなどを基に計算される。一方、15分後予測は、過去の統計データから曜日や時間帯ごとの傾向値を出して計算されている。

顧客の基本的な傾向として、顧客は座った直後に大量に注文してその後は注文が減り、最後はデザートを注文する傾向が多いという。

ネタを9種類の色にひも付け

その他にもデータ分析と組み合わせてオペレーションにも工夫を凝らしている。

スシローではレーンに出すネタを「橙」「白」「黄」という具合に9種類の色で表して管理している。一番の売れ筋は橙色に、順に白色、黄色と続く。スタッフは色を見るだけで、どのネタを流せばいいかが一目で分かる仕組みにしている。

喫食パワーが小さい時は、売れ筋の橙色だけを流す。顧客が増え、喫食パワーが増してくれば、「黄色まで流せ(黄色という指示が出れば、より優先度の高い橙色と白色も合わせて流す)」という指示がシステムから出る。ネタの種類だけでなく、レーンに流す枚数もシステムが指示する。こうした細かな工夫で、現場の煩雑さを取り除き、作業効率を高めている。

今では需要予測の精度も高まり、廃棄が大きく減った。導入しなかったケースと比べて、廃棄を75%ダウンさせることに成功した。

スシローの原価率は50%ほどと高いため、廃棄の減少は収益アップにも直結する。

筆者としては、会員カードなどを設けて、前回来店時に何を食べたのかまでのデータを取得することができれば、リピーター分析などによって、更に店舗効率化ができるのではないかと考えている。

クラウドで管理できる飲食店予約アプリ「TORETA」

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引用:TORETA

予約の電話を受けたら、台帳の空いている時間を探して予約を書き込む、どの時間帯が空いているかを探して調整も必要……電話を受けただけでは、初めてのお客さんか常連さんかもベテラン店員でないとわからない。そんなアナログな店舗内作業をITで解決してくれるのが、株式会社トレタが提供する「TORETA」だ。

「TORETA」は紙の予約台帳にかわる 飲食店向け予約管理アプリで、レストラン、居酒屋などあらゆる飲食店の予約をiPadで簡単に管理することが出来る。音声録音やSMS送信にも対応し、予約データはクラウドにすべて保存される。2015年4月時点で累計予約数1000万人に達し、登録数は2600店舗を超えている。

創業者の飲食店経営時に体験した非効率性がサービスの源泉

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同社代表取締役の中村氏

引用:CAREER HACK

トレタの代表取締役の中村氏は元々飲食店経営を行っていた人物であり、「TORETA」が生まれた背景は中村氏の飲食店経営の経験がある。中村氏はITを活用すればもっと店舗経営が楽になると感じていたものの、飲食店で扱うには難しすぎるシステムが多いため、もっと簡単に使えるものが必要だと考えていた。

ITの活用によりコストやミス・トラブルを削減する

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シンプルで使いやすいUI

引用元:Wantedly

中村氏は「銀行のATMで引き出すレベルを考えて開発している」と語っているが、利用方法はとてもシンプルで使い易いものになっている。

予約を開始すると自動的に録音が開始され、電話を切った後にもどう応対したか確認できるようになっている。また電話番号を入れれば、過去の来店履歴も把握できる。

ほかにも料理のコース名や好み、アレルギーなどの情報も登録が可能で、予約終了後には、SMS(ショートメッセージサービス)で自動的に予約確認メールも送る機能もついている。

予約を受け続けていくと、顧客台帳という形で蓄積されると同時に常連客リストにもなり、クラウドに上がっているので、すべてのスタッフで共有でき、接客に生かすことが可能となっている。

Yahoo!との提携により24時間リアルタイム予約が可能に

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現在キャンペーンを実施中

引用:TORETA

4月15日、ヤフーの提供するグルメ予約サービス「Yahoo!予約 飲食店(以下、Yahoo!予約)」と連携し、ウェブ上のリアルタイム予約の提供を行うことが発表された。

飲食店の予約をしたいユーザーはYahoo!予約で対応する店舗の24時間リアルタイム予約が可能になる。予約台帳「トレタ」との連携によって予約管理が自動化されているため、店舗側からの確認連絡を待たずに予約確定が出来るのが特徴である。

16日時点での利用可能店舗は「俺のフレンチ・イタリアンAOYAMA」「Eggs ‘n Things」など18店舗で、順次拡大をしていく予定になっており、今後も動向に注目していきたい。

まとめ

外食産業はITの力によって、大きなインパクトを与えられる領域であると筆者は考えている。

今回の2つの事例については、それぞれ取得できるデータは違うものの、商品の単品管理、需要予測、24時間予約、パーソナライズされたデータ管理など大きく飲食業界の当たり前を変える取り組みとサービスになっている。

予約やデータ管理などは機械に任せて、人間にしかできないおもてなしのところに注力できれば、更に日本の強みであるサービス力に磨きをかけられるだろう。

今後も引き続き、外食産業から目が離せない。

▼連載企画バックナンバー

第1回:テクノロジーは外食産業復活の狼煙(のろし)となるか

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