近年、飽和状態にあると言われながらも売上高が10兆円に迫るコンビニエンスストア業界。
二大流通グループ、有力地場スーパー、異業種大手資本が軸となって、寡占化に向けた再編が急速に進みつつあるスーパーマーケット業界。
今回の連載企画ではこの2つの業界に焦点を当て、コンビニ・スーパー業界の現状と、いかにテクロジーを用いて課題を解決していくかについて考える。
第1回目となる今回は、コンビニ・スーパー業界の現状に改めて理解して、「いま」業界が抱える課題を明らかにしてく。さらに両業界の今後の動向を考察する。
売上高10兆円に迫るコンビニ業界の現状
昨今、拡大を続けてきたコンビニ業界だが、2010年頃からコンビニ市場は飽和状態にある。現在のコンビニの数は国内で約48,000店(2014年3月時点)を超える状況にあり、新規出店の余地が少なくなっているのが現状だ。
さらに近年見られる特徴としては、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3強と4位以下コンビニの業績格差が目立っている。業界3位と4位とのう売上高の差が約5倍も開くほどだ。
上位3社が業績や店舗数を順調に伸ばす中、サークルKサンクスではエリアフランチャイズの離脱が相次ぎ苦戦状態。ミニストップも売上高、出店数の鈍化が懸念されている。
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2強体制が続くスーパー業界の現状
引用:イオングループ
現在のスーパー業界はイオングループとセブン&アイグループの2強体制となっている。
イオングループはイオン、マックスバリュ、マルナカなどを傘下にして、さらに2014年にはダイエーを子会社化した。セブン&アイHDはイトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークマートなどを傘下に治めている。
イオンとセブン&アイ・HDの両社はそれぞれ約6兆円ほどの売上高を誇り、スーパー業界内では圧倒的な規模を誇る。規模の優位性を活かして仕入れコストを削減できるのが両社の強みであり、今後も規模拡大に向け、さらなる再編を進めている。
二大スーパーが力を入れているのがPB(プライベートブランド)商品の展開だ。イオングループではPB商品『トップバリュ』を、セブン&アイは『セブンプレミアム』をを展開している。
PB商品は卸売業者を通さず販売できるため、通常のナショナル商品に比べ5~10%ほど高い粗利益率を確保することが可能だ。また、スーパー側は消費者にも安価で良いものを提供でき、安くて良いものを求める消費者のニーズにも合致しているため、今後もさらなる普及が予想される。
コンビニ・スーパー業界の今後の動向に迫る
経済産業省「商業販売統計」によると、小売業年間販売額は、2010年頃から横ばい傾向が続いており、2014年は約137兆円である。業態別にみると、大型小売店のうち百貨店が6兆6,389億円、スーパーが12兆9,527億円、そしてコンビニが9兆4,772億円となっている。
少子高齢化で、縮小傾向は確実の国内小売市場。好調なコンビニ業界でも市場飽和がささやかれる中、限られたパイをめぐり“スーパーらしさ”“コンビニらしさ”の取捨選択をどう見極め、高めるかが各業界の課題となる。
モバイルデバイスの普及やビッグデータ活用といったITの発展が進み、テクノロジーの活用が上記の様な成長を続けるコンビニ・スーパーといった小売店に与える影響が大きくなっている。
例えば、膨大な顧客データの分析により、小売店舗側も売上向上やコスト削減目的の施策を進めることができ、商品設計等が工夫される事により、消費者側もより快適な購買体験を得る事ができる。
連載企画の第2回目以降で、具体的なテクノロジーの活用事例を紹介しつつ、コンビニ・スーパー業界の未来の姿を考察していく。
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