スマートデバイスがもたらす消費者中心のオムニチャネル戦略事例

WRITER : 楠富 智太

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近年、各種メディアで「オムニチャネル」という言葉が注目を集めている。オムニチャネルとは、言葉の通り「すべてのチャネル」という意味で、あらゆるチャネルを連携させて消費者にアプローチする手法だ。

この言葉の浸透スピードが速いのは、オンラインでの購買が急速に普及したからにほかならない。また同時に従来から展開しているリアル店舗への誘客や、その後のオンライン店舗への相互再送客が、企業にとってマーケティングしていく上で避けては通れない問題になったということもある。消費者がスマートデバイスを常時携帯し、どこでも情報を収集・発信する時代となっているのだ。

今回は、そんな時代を生き残るために、スマートデバイス・マーケティングの最前線と、それがもたらすオムニチャネル戦略を紹介する。

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 引用:O:der

 

Beacon使って、混雑時にも行列に並ぶことなく商品を受け取れる

スマホアプリ「O:der」を軸にした店舗向けソリューションを開発している株式会社Showcase Gigと、ハンバーガーショップthe 3rd Burgerを展開するユナイテッド&コレクティブ株式会社は、スマホのみで完結する注文システム「スマートオーダー」を共同で開発した。これは実際に「the 3rd Burger アークヒルズサウスタワー店」に導入されている。

「スマートオーダー」は、消費者が「混雑時にも行列に並ぶことなく商品を受け取れる」ことが最大の特徴で、スマートデバイスで注文と決済を完結させる店舗向けのオーダーシステムである。

消費者はスマホアプリ「O:der」を用い、店へ行く前に事前オーダーし、混雑時も店舗で並ばずに商品の受け取りと決済ができる。さらに消費者は来店で貯まるデジタルスタンプにより、商品クーポンなどをアプリから受け取ることができる。

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引用:O:der

 

 

導入店舗も、客を“待たせない”差別化サービスの提供、注文システムを簡略化できる店舗オペレーションが簡単になる。さらにBeacon(ビーコン)機能などで近距離にいる見込み客への効果的な誘致、電子チラシやデジタルスタンプ化による販促コストの削減する。そしてデジタル化によって顧客の行動履歴であるビッグデータを蓄積し活用できるというメリットもあるのだ。

従来の販促と店舗オペレーションを劇的に変える可能性を秘めており、試験運用では昼のピークタイム1件あたりの注文処理速度を従来の2倍以上に高める結果が得られたそうだ。店舗側は消費者の購買機会増加によって売上が向上したり、消費者側としても待ち時間が短縮し、満足度の向上するということが考えられる。

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引用:O:der

 

 

数㎝~10m以内の特定の人をピンポイントに認識できる

店舗には、iOS 7以降のiPhone、iPadなどで使えるBeacon通知システムを設置する。数㎝~10m以内の特定の人をピンポイントに認識できることを活かし、来店者をスタッフへ通知、近くにいる見込み客の誘導のために情報をプッシュ通知したり、デジタルスタンプやクーポンの付与などに使う。レジ横には通信距離を数㎝ほどに狭め、NFCと似た感覚でタッチして識別できるタッチ式Beaconシステム「MyBeacon touch」を導入している。NFC機能を備えないiPhoneでも同様のサービスを提供できるようにした点を推している。

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引用:MyBeacon touch

 

 

消費者中心のオムニチャネル戦略によるシームレスなサービス展開

オンラインとオフライン(リアル店舗)を統合できる小売業者は、店舗、オンライン、モバイルショッピングをシームレスに統合したハイブリッドな消費者体験を提供することができる。アメリカのMacy’s(メイシーズ)は、新規のデジタルチャネルユーザーのニーズや行動様式に迅速に応えてきた結果、短期間でオムニチャネル・リテイリングにおける世界的なリーダーの地位を確立した。さらにMacy’sは、オフラインでのモバイルでのやりとりをスムーズにし、「オンラインで購入、店舗内で受取り」をいち早く実現しているのだ。

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引用:O:der

 

 

実店舗とオンラインストアを統合することで、買い物が楽になると同時に蓄積された消費者データを活用することで、サービスの質が高まる。その結果、自社の製品、サービスが個別訴求できるようになり、消費者に支持されるようになると、ブランド価値が高まる。これが定着していくと、購買ニーズが生じたときに指名ブランド買いが起こるのだ。単なるウィンドウショッピングやWeb閲覧ユーザーが、まさに“ブランドロイヤルティの高い購買者”に転換するユニークな顧客体験が起こるのだ。実店舗は、これを実施しない手はないだろう。今後の動きに期待である。

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