【インタビュー】人工知能が人間のセンスを学習?SENSY渡辺社長が語るテクノロジーの未来とは?

WRITER : 岩田さゆり

  人工知能(AI)

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店頭ですぐにお客さんの好みの商品を見つけてきてもらうことができたら、買い物に長い時間をかけずに商品を買うことができるかもしれない。

EC上でも、店頭と同じような接客を受けることができたら、商品選びに失敗することもなくなるかもしれない。

そんな夢のようなサービスをカラフル・ボード株式会社は実現しようとしている。

カラフル・ボード株式会社は、2011年に設立された。2014年11月に人工知能アプリSENSYを開発し、ユーザーの「好き」「嫌い」を分類することでユーザーのファッションの感性を学習していくサービスを提供している。

今年に入ってからは、9月に人工知能接客サービスを新宿の三越伊勢丹に導入している。来店したお客さん一人一人の好みを分析し、その人に合ったパーソナルアイテムを提案する接客サービスだ。

同じく今年の9月には、東京ガールズコレクションとコラボし、ファッションショー×人工知能のプロジェクトを行うことを発表した。東京ガールズコレクションの関係者や参加者一人一人の人工知能を融合させることで、1台の人工知能を生み出し、そのデータをもとに新しいトレンドをつくりあげるという内容である。

このように、アプリだけではなく、リアルでのサービス展開もはじめているカラフル・ボード株式会社。

今回はカラフル・ボード株式会社の代表取締役CEO渡辺祐樹氏(以下、渡辺氏)に、会社立ち上げの背景から現在のサービスの反響、さらに、渡辺氏が考える未来の「テクノロジー×ファッション」の世界と、その中でカラフル ・ボード株式会社が目指す彼らのビジネスやテクノロジーの在り方についてお話をしていただいた。

 

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人工知能が導く、アパレル業界の課題解決

-カラフル・ボード株式会社を設立した背景を教えてください。

もともと学生時代のときから起業しようと考えていた中で、前職でアパレル業界の課題に直面し、それを解決したいと考えたことがきっかけでこの会社を設立しました。

以前、コンサルティングファームでアパレル業界のプロジェクトのリーダーとして働く機会がありました。当時働いていて分かったのは、アパレル業界では在庫が多く残るという課題があることでした。在庫を多く残すことは、セールの期間を延ばすことにつながり、セール期間でも売れなかった商品がある場合は、セール期間が終わった後もセール商品を店頭に残さなければならない場合があります。残った在庫を店頭に出すということは、鮮度の落ちた商品を出すことと同じです。このような負のスパイラルに陥るのです。

この課題を解決するためには、商品の需要や、お客さんの商品へのニーズを知ることが重要だと思いました。そこで、「モノづくり」と「マッチング」は重要なテーマであると考え、これらのビジネスを行うことでアパレル業界の問題を解決することを決めたのです。

そこに大学時代たまたま勉強していた人工知能を利用できるのではないかと考え、現在の会社設立に至っています。

-会社を設立されてからSENSYをリリースするまでに他に取り組んでいたことはありますか?

クラウドソーシングのような、全国のクリエイターさんやデザイナーさんがネットワークを通して商品企画を行えるプラットフォームを作っています。このサービスは、会社設立半年後くらいから行っています。さきほど、モノづくりとマッチングというテーマを挙げましたが、このプラットフォームはモノづくりの課題を解決し、SENSYはマッチングの課題を解決しようとしています。それぞれの課題を解決するため2つのサービスに分けた結果、このようなサービスを現在提供しています。

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引用:COLORFUL BOARD

SENSY立ち上げから1年、着実にユーザーが増え続けるサービスの秘密とは?

-現在のユーザー、提携ブランドの反響をお聞かせください。

現在リリースから1年が経ち、ユーザーは順調に増加しています。しかし、まだまだアプリとして分かりづらい、使いづらいといった課題があるかと思います。そのようなところを直近では解決する必要があると考えています。

ブランドさんに関しては、当初から多くのブランドさんに参加していただいています。現在はアプリよりも広い、プラットフォームという概念のもと、ブランドさんならではのサービスを外部に生み出していこうとしています。それが三越伊勢丹さんとの取り組みだったり、東京ガールズコレクションさんとの取り組みだったりします。

SENSYの人工知能のアカウントをつくることによって、アカウントをつくってくれたユーザーの方にプラットフォーム上でサービスを行っていこうと考えています。例えば、SENSYのアカウントが接続された三越伊勢丹さんで使えるアプリや東京ガールズコレクションで使えるようなアプリですね。

このような新しいサービスにいろんなブランドさんや企業さんが興味を持ってくれているから、反響が大きいし、ブランドさん・企業さんとのコラボアイディアも生み出せています。

-三越伊勢丹さんに人工知能接客サービスを今年の8月にプレリリースしてらっしゃいましたね。

準備自体は5月、6月からしていました。8月に三越伊勢丹さんへのプレゼンテーション、9月に導入し接客を2週間、次は11月に行う予定でいます。最初の1、2年はいろいろな取り組みを、段階的に行っていきたいと考えています。

-SENSYのユーザーは現在どのくらいいるのでしょうか?

現在は約4万ダウンロードほど頂いています。ユーザーからのダウンロードは、メディアで取り上げてもらったり、企業さんとのコラボを通じて、ユーザーの方から積極的にダウンロードしていただくことが多いですね。来年の春ごろまでの目標は30万ダウンロードですが、現在はユーザー数よりも、プロダクトの完成度を上げることに力を入れています。

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引用:COLORFUL BOARD

一人一台、ドラえもんのような人工知能を持つ未来

-カラフル・ボード株式会社の、今後のテクノロジーの活用について教えてください。

ファッション以外の分野で展開していくことが一番大きいですね。現在すでに20社くらいの企業さんとファッション以外の分野でお話を進めているところです。一気にはできないけど、ファッションに近いところから、例えばコスメとか音楽とか、そういった分野に足を伸ばしていきたいと考えています。来年から本格的にファッション以外の分野を進めていきたいです。

-ライフスタイル領域や音楽領域の市場には、すでに多くの競合がいると思いますが、どのようなアプローチをしていきたいですか?

僕らは競合と考えられるサービスと戦うのではなく、僕らのプラットフォームを提供していくことで様々なサービスと組んでいきたいと考えています。例えば、今の僕らのアプリはファッションアプリというジャンルになっていますが、最終的にはファッションアプリを運営している企業さんにもプラットフォームを提供していきたいと考えています。

-貴社のサービスで、今後ユーザーにどのような世界観を提供していきたいですか?

ドラえもんのような人工知能のロボットを一人一人に対してつくっていきたいですね。自分の人工知能をつくってそれを育てる。その人工知能をウェブサイトやリアルな店舗などに連れていくことで、いろんなサービス受けることができるという世界観です。一人一台の人工知能を持つことができる社会に変えていくことで、各ユーザーは自分の好むアイテムを発見しやすくなります。さらに、それらのデータを販売店やECショップで利用すれば、ユーザーがどんなアイテムを求めているか予測もできるようになります。

このように、消費者にも企業にもwin-winとなるようなサービスを今後増やしていきたいですね。

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引用:WANTEDLY

テクノロジーが発展していく中、日本の企業に必要な2つのキーワードとは?

-渡辺氏が考える、今後のファッション×テクノロジーの展望を教えてください。

ファッション業界の中ではさらにECの比率が高まっていくと考えています。しかし、店舗ではできているけどEC上ではできていないという課題が残っています。この課題を解決するために、EC上でテクノロジーが増えていくのではないでしょうか。例えば、EC上での接客などの分野が今後進歩していくはずです。

SENSYを使うことで、試着の案内・コーディネート提案など、リアル店舗では店員が行っている接客をEC上でも実現できるようにしたいです。その人にあわせたコーディネートを人工知能がつくってくれたら、便利ですよね。

また、現在のECで解決できていない、サイズの最適化というテーマにも取り組んでいきたいと思います。ECではフィッティングの部分がネックになっていて、購入に至らないことが大きな課題です。そこを解決することが今後重要になってくるのではないでしょうか。

-最後の質問です。渡辺氏から日本のスタートアップに向けてこれだけはアドバイスしたい、と思うことはございますか?

一つ目は、産学連携についてです。SENSYの核となるAIに、ファッションの感性を学習させる技術は、慶応義塾大学と千葉大学との産学連携によって開発した技術です。産学連携は私たちの技術力の源でもあるし、私たちの強みでもあります。

二つ目は、オープンイノベーション。スタートアップに限らず、日本の企業の多くは、要素要素のパーツは優れた技術を持っていると思うのですが、それらをどのようにつなげて産業にしていくのかというデザイン、つまりオープンイノベーションをつくり出していくことが苦手なのかと思っています。イメージとしては、 大きな円を描いて自分たちがフォーカスしていく面以外を、他に必要なリソースを持っているパートナーを集めて埋めていくことで、事業を展開していく必要があるのではないかと考えています。

僕らには技術力があるので、それらを組み合わせてビジネスに適用できるようなかたちにしていきたいと思います。

逆にアメリカの企業を見てみると、様々な分野でオープンイノベーションが行われています。日本は技術レベルではアメリカとは同じくらいですが、どう産業にするかがなかなか見えてきにくく、産業レベルでは、アメリカと比べて動いてる桁が違います。

今後はどう人工知能を産業に生かしていくのか考え、いろいろな企業と協力していきたいですね。

 

渡辺氏の描く「テクノロジー×ファッション」の未来の姿を想像していただけただろうか。彼らのサービスが今後世の中をどのように変えていくのか、目が離せない。

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