世界が激震する「ディープラーニング」がロボットにもたらすもの

WRITER : 朴 泳虎

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ドラえもんが発明される22世紀まで、あと85年となった。

残念ながら、我々の周りにはまだ世話を焼いてくれる家政婦ロボットや、人間と同じようにした思考を持ち、自分の判断で行動するロボットは存在していないが、確実にその未来に向けての距離は縮まってきている。

例えば、Amazonが2013年に発表した空からお届け物をしてくれるドローンや、Googleが目下開発中の自動運転車、これらも立派なロボットなのである。

今回は、我々の身近に迫りつつあるロボットと、ディープラーニングが合わさる事によって実現されるかもしれない未来の姿についてご紹介したい。

我々の生活に溶け込み始めているロボット

ロボット2

引用:ロボット×ディープラーニング

前述したAmazonのドローンや、Googleの自動運転車はまだ実用化されていないが、日本発の、既に実用化され、我々の会える場所にいるロボットがいる。それは、2014年6月にソフトバンクから発表されたPepperである。

Pepperの最大の特徴は表情・音声から人間の感情を認識して学習する事が出来る点だ。

例えば、笑顔で「ありがとう」と言えば、その行為が良かったものとして認識して、怒った顔の場合は良くないものとして認識する。更に、全てのPepperはクラウドAIに接続されており、個体が収集したデータをアップロードして学習して、それらを集合知として利用する事で加速度的に成長・進化していくという仕組みを持つ。この表情認識・音声認識には機械学習が利用されている。

この認識機能の部分に機械学習の一種であるディープラーニングを用いる事で更に可能性は大きく広がる。

具体的に言うと、従来の機械学習の場合は事前に認識する対象の特徴データを入力する必要があり、この作業の多くが人手によって行われていたのだが、ディープラーニングの場合は生のデータを入れるだけで自動的に特徴を抽出して学習を行う事ができる。

例えば、今までは人の顔を認証しようと思ったら、顔の特徴点などを手動で機械に学習させる必要があったが、ディープラーニングを使えば、顔画像データを読み込ませるだけで自動で特徴点を抽出して学習できる様になる。※

つまり、人間があらかじめ手を加えなくても、どんどん新しい概念を自ら学んで行く事ができる。

ロボットとディープラーニングが切り開く未来

ロボット3

引用:ロボット×ディープラーニング

映画やアニメの中の物語でしかなかった自分で考え、動くロボット。

彼らが我々の生活に溶け込む時、世界はどのように変わっていくのだろうか。

Pepperを開発したソフトバンク代表の孫正義氏は「人がロボットと共に働く未来が来る」と主張している。孫氏によると、自ら状況を認識して、学習できるロボットは従来の単一的な作業しかできない産業ロボットと違い、人間の様に新しい作業を覚えて行う事が出来る。

更に、ロボットは休みが要らない上に、電気代とたまのメンテナンス以外の費用は基本的に掛からない。これにより、人間の労働力の3倍以上(人間の労働時間は1日8時間なのに対して、ロボットは24時間稼動できる)を遥かに少ない費用によって実現できる様になる。

その結果、人間は単純労働以外の付加価値をつける業務(商品企画・デザイン・設計)に専念する事ができ、再び日本の製造業の競争力は世界最高になるという。

この自ら状況を認識して、学習できるロボットを作る上で、欠かせない知能を開発するための基幹技術がディープラーニングなのである。

人間とロボットが共存する上での課題

今まで、ロボットが我々と共存する社会の可能性について論じて来た。しかし、その実現の為には解決しなければいけない課題が山積している。そして、その多くは人間でも判断する事の難しい、哲学的・倫理的な問題が多く含まれている。そのいくつかの例を見てみよう。

1. 安全性の確保

人間への接触度が高くなるにつれて、ロボットが予期しない行動をした時の危険性は高まる。

例えば、医療・介護ロボットがエラーなどによって予期しない行動を起こしてしまった場合、人命に関わる重大な危機を引き起こす可能性がある。故に、人間への接触度が高くなればなるほど、安全を確保する為の厳重なシステムを構築して、常にエラーをモニタリングする、またはエラーを起こしても危険に繋がらない様な設計を行う必要がある。

2. 誰がロボットの倫理を決めるのか

ロボットが担う役割の中には、時に重大な倫理的決断を迫られるものがある。

よく例として出されるのは、自動運転車が走行している際に前方に人が飛び出して来た場合、飛び出してきた人を避けて搭乗者が事故に合うリスクを取るのか、それともそのまま進むのか、といった問題である。もしロボットが事前に決められたアルゴリズムに従うとしたら、それを決めるのは誰なのか。エンジニア?専門家?政治家?それとも民意だろうか?

3. ロボットの行動に関する責任

仮にロボットが人間と同じ作業を出来る様になったとしても、人間のルールが適用できるとは限らない。人間社会では、ある一定の罰則を与える事でルールが守られる事を担保しているが、ロボットは人間の様に懲役や死刑を嫌な事だと認識できるだろうか。もし、ロボットに責任能力が無いとすれば社会的な責任を負うのは誰なのだろうか。

終わりに

この様に、ロボットには人間の在り方を大きく変える可能性がある一方、解決が容易でない課題も存在する。しかし、確実に言える事は、未来はロボットと共生する社会の方向に少しずつ向かっているという事なのだ。我々一人一人がそれを理解し、答えを考え続ける事が求められる時代が近い将来ににやってくるのかもしれない。

▼参考

http://www.businessinsider.com/a-new-robo-brain-lets-computers-learn-from-the-internet-2014-8

学習には、事前に正解となるデータを与えた教師あり学習と、正解となるデータを与えずにとりあえず特徴から分類させる教師なし学習の2種類が存在している。教師なしの場合はデータの持つ特徴から分類しているだけなので、分類したものが何なのかは人間が判断する必要がある

▼参考

http://d.hatena.ne.jp/Zellij/20130608/p1

▼ディープラーニング連載企画バックナンバー

第1回:今世界で注目を集める「ディープラーニング(Deep Learning)」とはなにか

第2回:やさしく分かるディープラーニング(Deep Learning)の成り立ちと歴史

第3回:世界の超巨大企業が取り組むディープラーニング(Deep Learning)開発

第4回:ディープラーニング(Deep Learning)開発を行う海外スタートアップ3選

第5回:AI・ディープラーニング(Deep Learning)に関する3つの未来予測

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