近年、環境に配慮した再生エネルギーの開発が注目を集めている。これは、石油、天然ガスなどの自然資源には限りがあるため、いつか枯渇してしまう恐れがあるからである。自然資源の枯渇を防ぐため、先進諸国ではスマートシティプロジェクトを官民一体で進めている。また、自然資源保護以外にも、増え続ける世界人口を見据えたスマートな都市作り、それぞれの都市に合った街づくりによる文化支援などスマートシティを進める理由は多岐にわたる。今回は連載一回目として、「スマートシティとは何か」に迫っていきたい。
第1回:【連載企画】世界の最先端ICT技術が結集!未来型都市「スマートシティ」とは?
第2回:【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向
第3回:【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える
第4回:【連載企画】最新テクノロジーで夢のスマートシティを実現する先端企業5選
スマートシティとは環境負荷を抑えた新しい都市の姿
引用:http://www.smartcity-planning.co.jp/index.html
太陽エネルギー、風力、水力、地熱等の再生可能エネルギーを社会に普及させることを目的とした一般社団法人、新エネルギー導入促進協議会によると、スマートシティとは「市民のQoL(生活の質)を高めながらも、環境負荷を抑えつつ健全な経済活動をうながすことで、さらなる成長を続けられる新しい都市の姿」と定義される。 世界的なエネルギー消費の急激な増加を見越し、国内では2009年にスマートシティ計画がスタートした。また、海外ではシンガポール、オランダ、インドなどで、先進的な取り組みが行われている。 日経BPクリーンテック研究所によると2030年までのスマートシティの世界的な市場規模は累計約4,000兆円にまで上る。国内では現在、横浜市、豊田市、けいはんな(東大阪地方)、北九州市の4都市でプロジェクトが進行中である。2009年11月、国内外のリーディング企業8社が「スマートシティプロジェクト」を立ち上げ、2013年1月現在、参加企業数は27社に増加している。各社の連携により道路、電力などの基礎インフラから文化支援といったところに至るまでの総合的な問題解決を目指している。 ▼参照 Japan Smart City
スマートシティが実現する世界
スマートシティプロジェクトが進むことによって、主に以下の事が可能になる。
電力の効率利用
従来は需要に対し適切に配給されていなかった電力を、スマートグリッドと呼ばれる次世代送電網システムにより、地域全体をネットワーク化することで効率良く消費者が利用できるようになる。
電気自動車の普及
官民一体となって電気自動車の普及を目指し、充電インフラ整備や、システム開発が行われる。その結果、電気自動車の充電ステーションは一気に増加する。
デジタルサイネージの活用による環境負荷の低減
IT技術の発達で、屋外のあらゆる場所でデジタルサイネージ(電子看板)を使った、リアルタイムの情報発信が可能になる。その結果ペーパレス化が進み、CO2削減、環境負荷低減、自然資源の保護に繋がる。
高齢化社会を見据えた高齢者見守りサービスの普及
医療や介護の分野では、高齢化が進む将来の日本を見据え、緊急時の通報サービスや、スマートデバイスを活用した見守りサービスを普及させていき、さまざまな角度から高齢者を見守ることを可能にする。 ▼参照 Smart City Project
スマートシティの最小単位「スマートハウス」
引用:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1502/02/news016.html
スマートハウスとは、家電や設備機器をインターネット上で一括管理し、生活者のニーズに合わせてサービスを提供できる家のことである。スマートハウスの強みは太陽光発電、排熱の利用等によって自らエネルギーを生み出し、外部に配給できることである。スマートハウスは電気自動車とも相性がよく、都市全体の電力最適化にも貢献するため、スマートシティプロジェクトの成功を左右する重要な役割を担っている。 連載の第2、3回では国内、海外での事例を取り上げ、第4回では、スマートシティ市場に参入している主な企業について触れていく。最終回となる第5回では、スマートシティによって社会がどのように変化していくかを解説する。
第1回:【連載企画】世界の最先端ICT技術が結集!未来型都市「スマートシティ」とは?
第2回:【連載企画】シンガポール・オランダ・インドの海外事例から読み解く世界のスマートシティ動向
第3回:【連載企画】日本のスマートシティプロジェクトから持続可能な未来を考える
第4回:【連載企画】最新テクノロジーで夢のスマートシティを実現する先端企業5選